短い小説 『溢れる気持ち』
うちの周りには、何かに一生懸命になりすぎてそのことしか頭にない者がいる。
例えば、身体を鍛えるのに必死になりすぎて怪我しても筋トレやめない人。
人に何かを教えるのに必死になりすぎてスパルタみたいになっている人。
彼らは、気持ちが溢れすぎて爆発している。
私も、気持ちが溢れることは多々ある。様々なことに。私はクールに見えて感情的だ。私は自分が出来ることを増やしてやりたいことをやりたいという気持ちが溢れている。その為か、出来なかったら悔しい気持ちでいっぱいになるし、出来たら嬉しい気持ちでいっぱいになる。
昔はもっと感情的だった。何もできない自分が嫌すぎた。
「おい?その程度しか出来ないのか??」
昔の話だが、性格の良くない人がいた。その人はたくさんの人を殴ったり騙したり泣かせたりして周りから嫌われているが、本人は全くお構い無しという雰囲気だった。その人の暴走を止めようとしても歯が立たず、胸くそ悪い思いをしたこともあった。一発蹴ってやりたいが、上手く出来ないことに腹が立って仕方がなかった。
その人は、今は引っ越したようだが…?
「…」
何もない空間。外も中もなく、果てしなく虚無。そこで、一人うずくまっていた。殺風景過ぎる空間、そこにいる一人も、その空間に溶け込んでしまいそうであった。
顔も体もやつれており、服もボロボロで、体も何年も洗ってないようだった。
一人は涙を浮かべ、頭を抱え込んだ。何かに怯えるように手足が震える。
“あの時何で人に優しくできなかったのだろう…”
その人は取り返しのつかないことをしてしまったようだ。たくさんの人を悲しませた結果、世界から追い出されたのだ。
後悔しても仕切れず、ひたすら後悔するしか出来ず、絶えず涙が溢れたのだった。
2/6/2023, 10:13:25 AM