ミルクをちびちび飲み進める私を見てるでしょ。
天使に見えくるでしょ。
窓から吹き抜ける風も心なしか私の香りに思えてくるでしょ。
余白の少ない私の瞳を見つめるでもなく君は欲しがる。
喉に詰まるクッキーが熱くなって、それが心地良くて。
全部が遊びのよう。不思議な子だって諦めてくれたっていい。
移り気で好みがコロコロと変わる。
全てについて来てくれたら結構。
君はそんな私も芸術作品にしてくれる。
白いワンピースシャツを首輪の代わりに着せて
私を支配してるんだよ。
そんなことにも気付かないで、今日も私を見つめてる。
欲しいの、君の視線がすごく。
旅をするふりをして遠くから君を追ってるんだよ。
天使なんかじゃない、頬のピンクも
ニセモノ。
私を見てるでしょ。ニコリともしない私を。
気持ちがいい。全てが。
君を纏う私の価値。
ミルク2リットル浴びる朝。
細く伸びた長い手足。
ピンクと白の肌。
全部に期待していいよ。
君の視線を頂戴。
抜け出せない子宮の中で響く歌声を聴いている。
広く広がるここを抜け出すように走り抜けるけど、
迷宮。
切なく響く鼓動を懐かしむ。
あの思い出を思い出しながら。
生まれるその時に力む。
きっと走って。きっといつかそこで。
呼ばれる私の名前を、愛でられたなら。
彼女は私を満たせる。
私は私の名前を呼び、彼女のお腹の上で寝る。
その時、光は差す。
女神様は私を知っている。
痛いほど私を知っている。
報われた私の望みと願いは、天の恵み。
幸福を数えようとしないで、
そう言ってた。
また迷宮に迷い込む。
また彼女の鼓動の中に生まれ。
彼女の温かみの中で辛い時も過ごしていく。
長くなった脚を眺めながら
長い命を感じる。
困難を目の前にしても
立てと聞こえる。
これは誰の声?
女神様はいるのか?そう思ってしまった。
きっとすべて女神でなく偉大な彼女の声だ。そう思って曲げない。
何もかも忘れろってことなんだ、それくらい依存してもいいんだ。
私はこの世界に生まれて幸せに生きる権利があると。
彼女の言葉を辿る。
名付けられた名前自体に何かが宿っている。
エンドロールに向かっていく。
ちょっと待っていて、つまらないと思ってもおいていかないでね。
見たなら私を最後まで見て。
たとえ死に様でも。
名付けた名前を呼んで。
もう神も信じていない。
愛しているからすべてを。
暖かい彼女の子供として。
あなたの子供よ。
緑の壁紙、トマト色の壁紙とかそんな感じ。
空を見上げた時見えるものが海外のシンプルめの雑誌の1ページ
であるように想像しているんだけど
思っているようにならないね。
実際リアルのところ、見えるのは目を凝らして見える星と
人間には早すぎたくらいの深い藍色。
これほど野生で育てられていれば良かったと思うことは無い。
所詮は私も、現代人の一人。
カーテンを閉めて部屋で一人で踊ろう、ステップは見ずに。
これこそ私達の幸福さ。
夜が更けるまで月曜から日曜を数えて。
思う存分人間の進化に感謝して、今を生きよう。
今は光を弱にして
ドアを閉めて。
部屋に閉じこもって空を避けながら必死に生きよう。
空を見つめてみた今日。
画面ばかり見すぎた両目には暗すぎたみたいだな。
どうでもいっか、早く目を閉じて寝よう。
明日からはまた同じように働き詰めの身体。
哲学的なことを考えようとしたんだ。
空を見上げて、それじゃ考えようとし、こうなったんだ。
気持ちがいいほど何も湧いてこないんだ。
私にかかればあの莫大な空でさえ、
ただの背景に早変わりさ。
意味のないことばかり考えてる暇はないし、
考えたいことを考えるよ。
見やすくてさ、形が見えるものが好きなんだ今は。
夜が更けるまで月曜から日曜を数えて。
早く乗れるビートを見つけて。
心を満たせる主張力の強い星がお望みだよ。
深く見入るのは、正直老後でいいかも。
手の届きもしない、近付いて来もしない
空の見方なんてたかが知れてるんだ。
欲しいのは私の心に従順で、愛嬌があるやつだよ。
ビビッドで、どっかのオヤジの車ん中みたいな
どっか馴染みのあるやつなんだ。
年取るたびに恋しくなるんだ。
困ったな、答えのない空を美しいだなんて言えるはずなんだ
いつもなら。
理屈なしの証明不要な、人間の臭さだな。
色々あって細かく説明できないんだけど、
激しく吹く風の中で、
言いたいことがある。
負けたって死ぬ運命だって愛している。
木の中に音楽を見つけたり、目の中に宇宙を見つけたり。
冒険みたいな日々を愛している。
冷たい言葉で傷付いたり、傷付けたり、
そんな私達を愛している。
繋いだ手の中で温かみを作っている感じとか。
まだ、忘れられないことばかり。
愛せることを愛している、
それよりもあなたを。
それよりもこの気持ちを。
それよりも途切れることのない永遠を。
息をすることが、可視化されると
一気に襲ってくる。
孤独と自分の肉体の脆さ。
手の中には入ってこれないあなた。
繋いだ手の温もりは最後、冷たくなる。
それを知ってる、それを知ってるのに
離せない、この手。
冷たいよ、手の温もりが私に伝わる時、壁ができる。
前を向くときあなたの手を握るけど、
馬鹿だって思うよ。
あなたはここで、私はここだよ。
ほんの1マイクロの距離が私達を引き離す。
走ってあなたか私か分からないほど速くすべてを感じて。
それでも、あなたとの繋がりは、やっぱりこの手だね。
愛している。
それで全て解決してしまえ。
何も見えないふりをし、何も感じないふりをして
死を待つ二人と、それを止める愛と、何もかも平気にさせてしまう愛と、
結局死へと毎日を過ごす私達。
長い散歩道だけ歩こう。
「私」と、「あなた」じゃなければ、
あなたの笑顔を見れない
あなたに愛しているが言えない。
熱くて、冷たさなんて忘れるほどの愛をしよう。
余計な言葉は要らない。
手を取って。
幸せと歩こう。
目が覚めると、
タイムラプス
何もない部屋のコマ送りをただただ眺めるそんな朝を
誰にも見られることはないと安心して、独りだと悲しくなって。
平気だった昨日もどこかへ消えてる。
もしかしたらずっと平気じゃなかったのかも。
だってだってこんなに冷たい。シーツの上で。
苦しむ音はしない。今日もまた無音の中に生まれた私。
しましまの安っぽいけど心地良い寝巻きの中で飛び回る
黄色いバタフライ。
誰かの音はしなくて、ただ回るクーラーの音を聴く。
饒舌なんだね、ずっと喋ってる。
頭がくらくらする程に。
心の端っこを意識した。限界を感じたの、息切れするくらい。
もう眠っていたい、ずっと巻き付けられていたい。
この大きな眼が開くとき別に何も見えてないの。
ただ大きな白背景と滲む棚と窓の光。
硬く動く顎、力の入らない手の中。
黄色の蝶が飛び回るのその間に
大きな体が空っぽに座ってるだけ。