人の温もりが、只々恋しくなった。
それだけの、なんだか幼稚な理由が、俺の足を無意識にあいつの元へと向かわせた。
そして気づいた時には、あいつの寝室のドアをノックしていた。
あ、と思った時には既に手遅れで、扉がゆっくりと開き、中からパジャマ姿のあいつが顔を覗かせた。
「あ、えと...その、すまん。なんでもないんだ...おっ俺戻るから...邪魔して悪かったn」
慌ててその場から離れようとしたところで、突然腕を掴まれて引き寄せられてしまった。
今のその状況を直ぐには認識出来なくて、けれど認識した瞬間に、身体が沸騰するほど熱くなった。
「なっ、おま...!?///」
「...こうして欲しかったのだろう?」
俺が驚いている間に、こいつは落ち着いた声でそう呟いた。
「違っ......」
違う、そんなんけないだろう。と、いつもの俺だってらそう言っていただろう。
けれど、なんでかな。今は、この抱き締められている状況に、安心感を感じていた。
なんでだろう、そう思うやいなや、こいつは背中をさするように撫でてきた。
「大丈夫...大丈夫だ...」
ゆっくりと、ゆっくりと、言い聞かせる様に言葉を掛けられて、
まるで子供をあやす様な手つきで、背中を撫でられて、
そうしたら、なんかもうダメで
今まで溜まっていた何かが溢れ出るように目尻が熱くなって、
その後は、ただ。声も無く、静かに、あいつの肩を借りて泣いてしまった。
#涙の理由
85作目
家で過ごす、あいつとの時間。
ご飯を一緒に食べて
テレビを見ながら楽しく談笑して
一緒に寝る
そんな何気ない時間一つ一つに、俺の心は踊ってる。
#ココロオドル
84作目
今回は雑過ぎてすみません!!
常に、努力し続けた。
...全ては、父の言う「価値のある人間」になる為に。
価値のある人間の定義なんて、正直言って俺自身よく分かっていない。
けれど、父からして見れば
俺はまだ「価値のある人間」では無いらしい。
だから...だから。
そんな父に、「価値のある人間」と認めて貰えるように
常に只々勉学に励んだ。
......
来る日も、来る日も。
ずっと...ずっと。
-----
今日も今日とて、図書室で勉強に勤しんでいた。
この図書室は基本人の出入りが少なく、静かな為何気に俺のお気に入りスポットだ。
...まぁ、勉強できればどこでもいいのだが。
「......冷たッ...!?」
そうして机に向かっていると、不意に、冷たい何かが頬に当たった。
「...フッ...面白い反応するな...」
なんなんだよ!?と思い顔を上げてみると、そこには俺よりも成績も何もかも優れた生意気な後輩がいた。
...両手にそれぞれコップを持ちながら。
「...お前、また来たの?」
無意識に、そんな言葉が口から零れた。
そう、この後輩。数ヶ月前からこの図書館に...しかも俺のところにわざわざ来るようになったのだ。
「あぁ、来た」
そういうや否や、当然と言わんばかりに俺の隣に腰かけ、コップをひとつ差し出してきた。
「...なにこれ?」
「何って...フルーツポンチだが?見て分からないか?」
「いや、見てわかるが...なんで??」
「...少しは休憩したらどうかと思ってな...わざわざ作ってきた。感謝しろ」
なんだこいつ、上から目線すぎじゃねぇか?
と思いながら
「いやいや意味がわからん、というかなんでフルーツポンチなんだよ??」
「...前に先輩からお前の好物のことを聞いたんだ。...つべこべ言うな、食べろ」
「いやだから...はぁ、分かった、食べるから...」
このままだといつまで経っても攻防が終わる気配が見えなかったら、仕方なく俺の方から折れて食べることにした。
「...最初から素直に観念しておけばいいものを...」
いや本当、なんなんだこいつ...なんて心の中で愚痴る。
最近は毎日こればっかりなのだ。
勉強を教わりに来たと言ったかと思えば、懐からお菓子を...しかも手作りのやつを取りだして渡して来るし
今回みたいに、突然現れて食べ物を渡してくるようなこともある。
こいつの行動は最近理解不能だな...そう思いながら、フルーツポンチを一口口の中に含む。
...悔しいが美味い。
いや、まぁ確かに料理は上手いと感じてるし認めてるし...だけどそう言うなんでも出来るところに腹が立ったりする。
...料理ができない俺からの一方的な妬みだが...。
「...そんなに美味いのか」
「...はい?」
「いや、嬉しそうな顔しながら食べてるからな...」
「な!?そんな顔してねぇよ...!!?」
「いや、俺にはそういうふうに見えた。よっぽど好きなんだな」
「そんなことねぇよ...!?いや、好きじゃなくは無いけど...」
「声がでかい、...好きなら好きと言っておけばいいだろう?」
「いや、そりゃそうだけどさぁ...---」
---楽しい
こいつと関わり始めてから、そう思うことが増えた。
ずっと勉強で張りつめていた何かが、スっとほぐれるような感覚になれる、
不思議な感覚に包まれる。
ずっと、ずっと、勉強しかない、勉強をしないと...しないと
と思っていた俺の気持ちを、変えてくれた。
こいつとの、一時の休息の時間。
声に出すのは恥ずかしいから、今ここで言っておく。
「ありがとう」と
#束の間の休息
83作目
余談
実はこの話、あるアニメ?漫画?のキャラの要素を結構入れて書いてます( ˘ω˘ )
そのアニメが好きなら結構わかるかも。...いつもの話もこのキャラのことを考えて書いてることが多いですが...
はい、以上。どうでもいい余談でした。
ここまで読んでくださっている方がいましたら、ありがとうございました。
消え入りそうな、不安定な存在
一人で勝手に抱え込んで、またどこかへ行ってしまう。
他者を思うその心からの行動は、
時に自分の心すらも偽って、押し潰すから
「お前が大切なんだ...愛しているんだ。だから、だから...もう、勝手にどこにも行かないでくれ、離れないでくれ...」
そう、言い聞かせるように。
あいつを抱き締める腕に、力を込めた
#力を込めて
81作目
葛藤した日々、奮闘した日々。
全ては、弟を守る為に、この不条理な世界を生き抜く為に。
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親を早くに、そして突然失い、引き取り手のいない俺達は野宿の日々を過ごした。
食べれる物も、寝床の確保さえも難しくて、
その上、街ゆく人々には白い目で見られ、時には薄汚いと理由で暴力さえも振るわれた。
泣きたくなった、死にたくもなった。
...けれど、できなかった。
...正確には、俺自身がそれを拒んだんだだけ。
だって俺には...弟が居たから。
両親を失い、生きる希望を見失った俺に、唯一光を与えてくれた存在。
弟が居たから。
弟を守ると言う、弟が幸せに暮らせる世界を実現させると言う目的があったから
俺はどんな辛いことも、苦しい事も、乗り越えることが出来た。
乗り越えて、そうした上で、前に進むことも出来たんだ。
それ以外の事に、希望なんて見いだせなかったから。
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「?...どうしたんですか?」
...昔の、幼く、弱かった俺。見ているか?
今では、俺はこの世界の核心部の機関で働いている。
一度は決別した弟とも仲直りを果たして、
あいつはあいつなりに、強くなって、頼れる友人もできている。
「...いや、なんでもない...」
かく言う俺も、あの頃では考えられないほどの、俺には勿体ないくらいの幸せを貰っている。
環境を理解してくれる親友も、実力を認めてくれる上司の方も、そして...最愛の人も、今俺のそばに居てくれている。
あの頃の、苦労も、苦しみも、悲しみも、全ては無駄ではなかったんだ。
だから、過去の俺よ、一筋の希望を信じ、あの日々を生き抜いてくれた俺
...どうも、ありがとう
#過ぎた日を想う
あの日々の俺に感謝を
80作目
追記
もっと読みたい数700突破ありがとうございました!!
私が書いた作品をこんなにも多くの方に読みたいと思っていただけて嬉しい限りです、ほんと(泣)
これからも、こんな感じでダラダラと書いていきますが、どうぞよろしくお願いいたします(_ _*))
改めてありがとうございました〜(ㅅ´ ˘ `)