星には、あまり興味が無かった。
別に特別綺麗だとも思わなかった。
...けれど、星のように目を輝かせながら
夜空を眺めながめるあいつの横顔は--
---何よりも、美しいと思ったんだ。
#星座
79作目
小さい頃に、一度だけ。
ただの悪ふざけの一環で、お姫様ごっこをした事があった。
《よろしければ...私と踊っては頂けませんか?》
綺麗に跪き、手の甲に口ずけを落とした。
その姿は、あまりにも美しく、まるで咲き誇るバラのようで--
思えば、あの時から。
俺はあいつの手の中だったのかもしれない
踊りませんか?
78作目
...もし、また。
あいつに会うことが出来るのなら...
まずは、思いっきり抱きしめて欲しい。
あいつの腕の中は暖かくて心地いいし...またあの腕で...優しく包み込んで欲しい。
...あの時は恥ずかしくて、腕の中でモジモジとすることしか出来なかったけれど
今度はしっかりと、俺も抱き締め返してやりたい。
そしたら、きっと、あいつはすごく驚くんだろうなぁ...。
それで...久しぶりにあいつの手料理が食べたい。
昔は何でも丸焦げにするようなやつで、俺の方が上手かったはずなのに
少し教えただけでいつの間にか料理の腕抜かされてたんだよな〜...
はぁ、あいつのそういうなんでも出来る天才肌なところは少し気に食わねぇなぁ...
...まぁ、気に食わねぇってだけで嫌いではねぇし...むしろ美味しいご飯が食べれるのは嬉しいことだしな。
それで、なんやかんや雑談して、笑いあって、楽しい時間を過ごして、
またあの腕に包まれながら眠りについて、一日を終えて...。
そんなあいつとの日常を、また現実にすることが出来たのなら
それはどれだけ、幸運で、幸せなことなのだろうか...?
#巡り会えたら
77作目
俺の最初で最後であろう奇跡は、あいつと出会えて事だと思う。
深海に浸って、生きることを諦めかけていた俺を
引きずり上げて、生きる希望を見い出してくれた。
不器用ながらも、優しく接してくれた。
...そんなあいつと、もっと特別な関係になりたいと願う俺は、やはり奇跡に頼りすぎているのだろうか...?
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#奇跡をもう一度
76作目
夕焼けに照らされたあいつの姿が
今にも崩れ去りそうなくらい、儚く、脆いものに見えたから
俺は繋いだあいつの手を強く握りしめたんだ
#たそがれ
75作目