霧夜

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小さい頃に、一度だけ。

ただの悪ふざけの一環で、お姫様ごっこをした事があった。

《よろしければ...私と踊っては頂けませんか?》

綺麗に跪き、手の甲に口ずけを落とした。

その姿は、あまりにも美しく、まるで咲き誇るバラのようで--

思えば、あの時から。

俺はあいつの手の中だったのかもしれない

踊りませんか?
78作目

10/4/2023, 12:38:59 PM