始まりはいつも君だった。
出会った時も、初めて一緒に遊ぶ時も、今の関係になる時も。全部、君が声をかけてくれたのは君からだった。
今の関係になってからも、君はいつも僕の手を引いてくれてたね。僕は、君の優しさに甘えてしまったね。たくさん無理をさせてしまったし、いろんな気持ちを抱えさせてしまったんだ。
僕に隠していた君の涙を見つけた時の気持ちは、今だって忘れられてない。
そうやって、僕はいつも君を無理をさせていたんだろうか?
君の涙を見つけてからも僕はすぐには頼れる人間にはなれなかった。それでも、君は僕の隣で笑ってくれていたんだ。
だから、最後だけでも…君との関係に終わりを告げる役目だけは、僕がやらなくちゃいけないね。
今度こそ君と対等な存在になれるように。
こんな不甲斐ない僕でも。君との新たな始まりを告げたいんだ。
「僕と家族になってください。」
空知らぬ雨とはよく言ったものだな。
きみの空のような碧から大粒の涙がこぼれた時に、ふとそんなことを思った。その雨を止める術を持ち合わせていなければ、雨を凌ぐ傘も持っていない僕は困り果ててしまった。
別に、きみにそんな顔をして欲しかった訳じゃない。それなのに、僕の言葉は存外君の顔を曇らせてしまうらしい。
ただ、僕はきみに笑って欲しいだけなのに。たったそれだけなのに。どうにか上手くいかないんだ。嗚呼。恋とはなんて難儀なものなんだろうか。
きみの望むものならなんでも差し出すから。どうか、どうか雨よ早く止んでおくれ。そして太陽のような眩しい笑顔を見せてくれないだろうか。
「もう終わりにしたい。」
貴方にそう言われた時、何かが崩れる音を確かに聞いた。私という存在が不安定になるのを感じた。
でも、そんなこと貴方に悟られたくない。だから私は眉を下げて、笑いながら「わかった。」この一言だけ伝えた。
本当は泣きわめいて縋りつきたい。「終わりだなんて言わないで」って言って貴方を困らせたい。
でも、そうしないのはこれが本気の恋だったから。
貴方には綺麗な私を見ていて欲しいから。
その代わり、何年か先の未来で「そういえばこんな恋人が昔いたな」って。「いい女だったな」って。少しだけ私のこと、思い出してね。