蓼 つづみ

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12/24/2025, 8:27:56 PM

クリスマスだからと
何かをしようとしたのは
母だけだった

まな板の上では
手際よい音が鳴り

フライパンの底で
バターが音もなく
崩れてゆく

白く泡立つ前に
粉が振り落とされ
一気には混ぜない

牛乳を注ぐたび
台所の空気が
少しだけ甘くなる

量は量らない
でも失敗しない

あめ色の玉ねぎと
チーズの溶けた中に
気づけばあった あたたかさ

題 遠い日のぬくもり

12/23/2025, 11:28:24 AM

窓の向こうは白く霞む

明かりが揺れて
テーブルの上に
繭のような橙を落とし

焼き菓子の香りが
時間をゆるめる

子どもたちの声が
空気の中でそっと弾み

希望は
大きな言葉になる前のかたちで
この部屋に在る

静かなあたたかさが
満ちる夜

題 揺れるキャンドル

12/22/2025, 11:34:15 AM

こちらにも属しきれず
あちらにも閉じきれず
外に出ることも
中心に踏み込むことも、しないまま
ずっと、縁を保っている

世界の中にいる
けれど、世界そのものにはならない

感情を持つ
でも、感情に溺れない

兆しを見る
でも、その眩しさを信じすぎない

この、常に少し脇にいるという
自分を壊さずに在るために
獲得した位置

そこにある細い光は
誰かを照らすためのものではなく

ただ、
感謝と謝罪を
深く理解するために

内に持ち続けている

題 光の回廊

12/21/2025, 11:57:32 AM

…軋んで、壊れそうだ

碧く熾り続ける灰が、
保てる臨界点を超えて、
尚も、降り続いてしまう

その引力は、強すぎて
下手に、言葉をかけられない

言葉をかけた瞬間、
僕も君も、逃れられずに
引きずり込まれてしまうのが、
わかっているから

想いは深く、
胸へと、自然に落ちる

でも、口に出せば、
その境界は、溶けてしまう

だから、黙っていることが、
唯一の祈りであり、
抵抗なのだ

黙っているうちに、
何か大切なものが、
埋もれてしまわないか、
案じてしまう

題 降り積もる想い

12/21/2025, 9:58:47 AM

生を共にしようという申し出は
未来を結ぶようでいて
本当は
それまでの時間を
どう扱ってきたかが
滲み出る瞬間だ

噛み合わないまま
差し出された結び目

気持ちは
置き去りにされた

それでも
時間は角を落とし
その結び目を
ほどかず
裁かず
抱えたままにした

円満は
時間を丸く整えようとする
円滑は
今を滞らせずに流す

ふたりは
円満でなくていい
円滑であればいい
その流れの中に
温かみは
あとから
生まれる

題 時を結ぶリボン

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