「手紙の行方」
この手紙を読んだあなたは────。
これは、字の汚すぎる人間同士の、不幸の手紙の話である。
「ククク……世の中の愚かな連中が俺の書いた手紙に振り回されますように───、と。」
その手紙にはこう書かれていた。
"3日以内に、この手紙を読んだあなたのもとへ不幸が訪れます。不幸になりたくなければ、同じ内容の手紙を5人以上に送ってください。"
これを受け取ったのは───。
「なに……これ……?」「どしたー?なにそれ!今時ラブレター?!」「いや、わかんない……。」「わかんないって、そんなわけ……ん……?」
「なに……これ……?」
「字汚すぎでしょwwwもはやおもろいwww」
「いや、これなんて書いてあるか気になるんだけどっ!」
「知らなーい❤︎アラビア語のほうが読めそうかもー⭐︎」
「とりあえず……読む!」
彼女が読めたのはこんな内容だった。
"ろ日以内に、この手紙を読んだあたたのもとへ棒が訪れます。棒になりたくなければ、筒じお客の手紙を与人い土に送ってください。"
「絶対違う!!けど、井土与人くんならいる!!よし!井土くんに手紙を書くよ!」
数日後───
「よっちゃん、おはよ───何やってんの?」「よっちゃん言うな。てか、これ何?お前が書いたん?」「ん……?なに……?マジで知らん。」「マジかー。」
「何この怪文書?」「俺が聞きたい。」
「3目以内に、この手紙を読んだあたたのモをへ棒が言い方れます。」「マジ?!」「なんで信じられるんだよ」「おもろそうと思って」「洒落にならん」
「棒になりたたければ、箇じあ用の手紙を与人い土に送ってください。」「は????」「なんで苗字と名前逆なん?」「そこじゃないだろ」
「なんで俺が棒にならなくちゃいけないんだよ。」「え?実は信じてる?」「信じるわけないだろ???」「信じてたらおもろいのに……。」「残念そうにすんな。」「ぴえん」
「これはお前にやるよ。」「いらね〜〜!!!」
その後───
「……けっ。あの手紙結局俺のとこに帰ってきたじゃねーか。多分あれ最初に書いたの俺なのに、なんでこうなった。」
……不幸の手紙は、あなたのそばに存在しているかもしれません……(?)。
「輝き」
日の出。朝露。ダイヤモンドダスト。水面。雨。星。
笑顔。涙。思い出。刃先。花火。夜景。
それぞれ違った輝き。
みんな違って、みんないい。
「時間よ止まれ」
僕は奴を憎んでいる。世界を憎んでいる。
いずれは奴を殺し、世界も滅ぼす。
全ての時を永久に止めてやる。
まずは奴の大切なものから消そう。
友人、恋人、家族。
そいつらの時間を止めてやった。
次は、奴の生まれ故郷を。
全てを燃やし尽くし、要塞都市は陥落した。
ざまあみろ。
それから、奴の旅した国々を破壊し尽くす。
草花を、音楽を、伝承を、全て消し去ってやった。
まだだ、まだ足りない。
奴がいる限り、時は止まらない。
奴は、奴はどこへ行った。
世界は燃えたのに、奴はまだ息の根を止めない。
ああ、我が力よ。
奴の時間を止めろ。時間を止めるのだ。
時間よ、止まれ。
「ありがとう」「君の声がする」(2/14、15)
君の声がする。
苦しみ、助けを求める君の声が。
ここはかつて故郷だった場所。
今やただの焼け野原。皆が家も家族も失った。
君の声。どこだ、どこから聞こえる?
なかなか見つけられない。
燃え盛る炎の、ごうごうという音ばかり聞こえる。
見渡す限り、火と瓦礫。
君はどこ?
火の中から聞こえる叫び。
僕は燃える家だったものに飛び込む。
僕も燃える。僕が焼けるにおいがする。
見つけた。君がいる。
僕は君を瓦礫から引き摺り出した。
ボロボロの君と僕。
君は絞り出すような声で、僕に「ありがとう」と言う。
嬉しかった。ほっとした。
でも、君はもう動かない、息もしない。
助けたのに、助けられなかった。
この街に、焼けた僕だけが残った。
孤独な僕が、残ってしまった。
生きる術も、目的も、全て失った僕に価値はない。
僕も、瓦礫の一部になってしまおう。
せめて君だけは、綺麗な姿で残ってくれ。
さようなら、ありがとう。
「そっと伝えたい」
-ある日のこと-
「ニンゲンくん、そろそろ晩ご飯の支度をしようか───「ボクがやるー!」「ありがとう、⬜︎⬜︎。気持ちだけ受け取っておくね?」「やー!ボクがやるのー!!」
-またまたある日のこと-
「おはよう、お着替えしようか!」「や!ボクがおきがえしゅるのー!」「……。」
゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。
「ニンゲンくん、最近⬜︎⬜︎がなんでも自分でしたがるんだよ。」いいんじゃないか?子どもらしくて。
「まぁ、それはそうなんだけど。」
「とはいえ、あの時はね……。」なんかあったのか?
「キミは見ていなかったっけ?昨日の⬜︎⬜︎の……がんばり……フフ……を!」な、何笑ってるんだよ。
「いやあ、思い出すと面白くってさ!フフフ……。」
「だって、その時ズボンとして履こうとしてたの……キミのパジャマの上側だったんだよ?!!」
「本当はそっと伝えようと思ったが、あまりにも本人が真剣だったから、言い出しづらくってね……。」
「しばらく見守っていたら、怒りながら『ぜんぜんはけない!』って言うんだ!だから手伝うふりをして、キミのパジャマは回収しておいたよ。」どうもありがとう。
「まだ着替えもひとりじゃできないから、キミも時々手伝ってあげてね?」はいはい。
「⬛︎⬛︎ちゃん!ニンゲンしゃん!なにちてるのー?」
「⬜︎⬜︎がかわいいってお話をしていたのさ!」「へー。」
「ボクもおはなち、しゅるー!」
「やっぱりかわいいね〜!」「……かわいい。」「ありがと!みんなかわいいよー!」「おれいのおかち、おじゅんびしゅるから、まってて!」
これは、小さな機械がお菓子と牛乳を盛大にひっくり返す10秒前の話である。