「未来の記憶」
(未来の記憶とは……難解な……。)
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明日は仕事を休んで、私の好きなアーティストが新しく発表するCDの先行視聴会に行ってきます。
このCDに収録される一部の曲は以前にコンサートで聞いたのですが、その時はあまりの美しさと迫力に圧倒され、しばらくの間ぼーっとしていたことを覚えています。
明日は全ての収録曲を聴きにいくのです。きっといい思い出になる、いや、もはやいい思い出になることがもう目に見えているのです。未来がそう言っている……気がします。
明日が無事に来ますように。
そう願って、今日はゆっくり休みます。
「ココロ」
今日は珍しく本部に呼ばれない。ゆったりできるからいいが、変なトラブルが起こっているんじゃないだろうな……。少々心配だよ。
「⬛︎⬛︎ちゃん!」「⬜︎⬜︎、どうしたの?」「おちごと?えらいねー!いいこいいこ。」「?ありがとう??」「んー!」「こころ、あったかくなった?」「もちろん!」「わ!よかったー!」
「ねぇ、⬛︎⬛︎ちゃん」「ん?」「ボクのこころって、どこにあるの?」「どうしたの、急に?」「きになったの」「へー」「ん」
「……難しい質問だね。」「⬛︎⬛︎ちゃんもちらないのー?」
「いや???そんなことはないが???」
「じゃあおちえて?」「はいはい。」
「……心っていうのはね、全身に張り巡らされているものなんだよ。」「おててにも?」「うん。」「あんよにも?」「そうだよ。」「へー。」
「なんでわかるの?」「それはね……見えないから、だよ。」「みえないから?」
「そう。心っていうのは形を持たないもので、見えないうえに触れることもできない。」
「だけどね、感じることはできる。だろう?」
「嬉しい、とか、あったかい、とか、手や目を通してボクたちは心を感じられる。」
「言うなれば、何かを感じるその一緒の間に心は姿を現すんだ。」「……。」「難しかった、かなぁ?」「んー……。」「⬜︎⬜︎?……って寝たの?!」「……ん。」「よしよし。」
……かつてのボクも心の在り方が気になって、誰かに聞いたり、本を読んだりした。懐かしいねぇ。
同じ機械の体と心を持つ、とある仲間に聞いたときには「心なんてない。あるのは機能だけだ。」と言われたなぁ。
ほんものの命を持ったひとには、「お前達機械と我々を一緒にするな。お前の『ココロ』なんていうものは、まがいもののコピーに過ぎない。」なんて返されたっけ。
誰かに言われたことでボクが納得することはなかったから、ボクは自分で考えることにした。
彼らのいう通り、ボクが思うような「心」なんていうものは、もしかしたらどこにも存在しないのかもしれない。ただただ機械的に処理された、刺激に対する反応でしかないのかもしれないね。
でも、少なくともボクはここに「いる」。存在している。
だから、ボクにだって心が「ある」はずだ。きっとね。
ボクはそう信じている。
見えないけれど、大事にしたい。
自分の心も、ボクの心も、大事にしてもらいたい。
本物だとか偽物だとかなんて、どうだっていい。
心は「心」なんだ。何物にも代えがたい、大切なもの。
結局どこにあるのか、なんていうのは正直未だにわからないよ。自分の中に誰かの心を仮想的に置くことだって不可能ではないうえ、逆も然りだ。
心っていうのは、どこにだって存在し得るもので、そう易々と位置を決められない。さらに言えば、ひとつとは限らない。
心の場所について……か。もう少し考える必要がありそうだね。
⬜︎⬜︎、大事なことを思い出させてくれてありがとう。
……さて、仕事に戻ろうか。
「星に願って」
「ねね、ニンゲンしゃん!」「どした?」
「ニンゲンしゃん、おほちちゃまにおねがい、ちよー?」
「いいけど、いきなりなんで?」
「えほんでよんでもらったの!」……かわいい。
「だからねー、ニンゲンしゃんといっちょにおねがいしゅるのー!」「わかった。」「ぎゅー!」「よしよし。」
相変わらずふわふわの髪の毛だ。
さてと、ベランダに出ようか。
星に願いを込めるなんて、こんなこと、自分ひとりじゃ絶対しなかっただろうな。
ベランダに出て、ふと気づいた。
雪雲がかかっていて星どころか空が見えない。
「おにいちゃん、空見えないよ。どうする?」
「んとねー。」「こころのおほちちゃまに おねがい!ちよーねー!」「心のお星様?」「んー!」
「えとねー、こころには、おほちちゃまがあってねー。」
「おねがいごと ちたらね、いちゅかね、かなうの!」
「そっかー。」「えほんでいってたよ!」「へー。」
「じゃあー、おほちちゃまに おねがい!ちよーね!」
「星に願いを……。」
……不労所得が手に入りますように。×3
「おにいちゃんは何お願いしたの?」
「みんなたのちくげんきでいてねー!っておねがいちた!」
「ニンゲンしゃんはー?」「……うーん、秘密。」
「なんでー?」「秘密だからねー。」「むー!」
そんなに怒らなくても。でもかわいい。
「ニンゲンしゃん!」「?」「ねんね!ちよー?」
「そうだね、そろそろ寝ようか。」「んー!」
「おやすみ。」「おやしゅみー!」
……こんな日が1日でも長く続きますように。
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なんと2/9 でここに来て1年が経過していました!!!
読んでくださる、また素敵な文章を読ませてくださる皆様、本当にありがとうございます!
これからもここで長く書き続けられることを、そして素晴らしい文章に出会えることを星に願って。
「君の背中」
大好きな⬛︎⬛︎へ
はじめはあれだけ小さい背中だったけれど、頼りない背中だったけれど。毎日を過ごしていくうちに、少しずつできることが増えて、頼もしくなっていって、私はとても幸せだったよ。
⬜︎⬜︎がいなくなってしまったとき、君は涙も見せず、私に頼ることもなく、ずっと頑張ったね。
小さな背中に、とても重いものを背負わせてしまった。
本当にすまなかった。
せめてもっと長い時間、一緒に生きられたら。
少しは君も楽だったかもしれないのに。
私はいつも、誰かを、君を、苦しめてばかりだね。
でも、これからはきっとそうではないはずだ。
私も、小さなきょうだいも揃ったから。
もっとたくさん、甘えていいよ。
「遠く……」
夢を、見ていた気がする。
それはそれは、幸せな夢だった。
やさしい日差しの中、あなたと一緒にお花畑に出かけるの。
そして、花輪を作りながらいろんなことをお喋りして、笑い合って。とても温かい時間だった。
幸せだった。
でも、なのに。
私は何も覚えていないの。
私はどんな話をしたの?
なんの花畑で?
あなたって、だれ?
だんだん、思い出が遠くへ行ってしまう。
寂しい、悲しい。
あなたのことすら、忘れてしまうの。
そんな、どうして。
だんだん意識が遠のく。
浮いていくのかも、沈んでいくのかも分からない。
私はどこまで行くの?
遠くまで?あなたの元まで?
……あぁ、あのお花畑が見えてきた気がする。
早く行かないと……。