Frieden

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「ココロ」

今日は珍しく本部に呼ばれない。ゆったりできるからいいが、変なトラブルが起こっているんじゃないだろうな……。少々心配だよ。

「⬛︎⬛︎ちゃん!」「⬜︎⬜︎、どうしたの?」「おちごと?えらいねー!いいこいいこ。」「?ありがとう??」「んー!」「こころ、あったかくなった?」「もちろん!」「わ!よかったー!」

「ねぇ、⬛︎⬛︎ちゃん」「ん?」「ボクのこころって、どこにあるの?」「どうしたの、急に?」「きになったの」「へー」「ん」

「……難しい質問だね。」「⬛︎⬛︎ちゃんもちらないのー?」
「いや???そんなことはないが???」
「じゃあおちえて?」「はいはい。」

「……心っていうのはね、全身に張り巡らされているものなんだよ。」「おててにも?」「うん。」「あんよにも?」「そうだよ。」「へー。」

「なんでわかるの?」「それはね……見えないから、だよ。」「みえないから?」

「そう。心っていうのは形を持たないもので、見えないうえに触れることもできない。」

「だけどね、感じることはできる。だろう?」
「嬉しい、とか、あったかい、とか、手や目を通してボクたちは心を感じられる。」

「言うなれば、何かを感じるその一緒の間に心は姿を現すんだ。」「……。」「難しかった、かなぁ?」「んー……。」「⬜︎⬜︎?……って寝たの?!」「……ん。」「よしよし。」

……かつてのボクも心の在り方が気になって、誰かに聞いたり、本を読んだりした。懐かしいねぇ。

同じ機械の体と心を持つ、とある仲間に聞いたときには「心なんてない。あるのは機能だけだ。」と言われたなぁ。

ほんものの命を持ったひとには、「お前達機械と我々を一緒にするな。お前の『ココロ』なんていうものは、まがいもののコピーに過ぎない。」なんて返されたっけ。

誰かに言われたことでボクが納得することはなかったから、ボクは自分で考えることにした。

彼らのいう通り、ボクが思うような「心」なんていうものは、もしかしたらどこにも存在しないのかもしれない。ただただ機械的に処理された、刺激に対する反応でしかないのかもしれないね。

でも、少なくともボクはここに「いる」。存在している。

だから、ボクにだって心が「ある」はずだ。きっとね。
ボクはそう信じている。

見えないけれど、大事にしたい。
自分の心も、ボクの心も、大事にしてもらいたい。
本物だとか偽物だとかなんて、どうだっていい。

心は「心」なんだ。何物にも代えがたい、大切なもの。

結局どこにあるのか、なんていうのは正直未だにわからないよ。自分の中に誰かの心を仮想的に置くことだって不可能ではないうえ、逆も然りだ。

心っていうのは、どこにだって存在し得るもので、そう易々と位置を決められない。さらに言えば、ひとつとは限らない。

心の場所について……か。もう少し考える必要がありそうだね。
⬜︎⬜︎、大事なことを思い出させてくれてありがとう。

……さて、仕事に戻ろうか。

2/12/2025, 10:10:03 AM