「心の健康」
読者の諸君!!!やあ!!!ご機嫌いかがかな???
今日はボクが心の健康について直々にお教えしちゃうよ!!!
……ん?そもそも「ボク」の事を知らないって?そりゃあそうだねえ!!!なんせボクは基本的に姿を隠しているから知らなくて当然だよ!!!
というわけで、簡単に自己紹介をしておこう!!!
ボクは公認宇宙管理士だよ!!!コードネームは「マッドサイエンティスト」っていうんだ!!!え、本名はなんていうのか、って?……それは教えられないなあ!!!
「公認宇宙管理士」って何?って顔をしているね?これについては随分と長い話をしなければ理解してもらえないだろうから、またの機会にしよう!!!
さて!!!そろそろ心の健康についてお話しをしようか!!!
近年、キミたちの国では心の健康───メンタルヘルスにまつわる話題は尽きない!!!ボクらの間でもそう変わらないのだよ!!!みんな大変な思いをしているからね!!!
メンタルヘルスに関わる資格もたくさんある!!!興味があればぜひ学ぶといいだろう!!!
これに目を通しているということはおそらく、キミも心の健康に興味があるんだね!!!色々と苦労されてきたのか、それとも周りに心配なひとがいたのだろう。
そんなキミたちに心の状態を安定させる方法をお教えしよう!!!
まずはこれ!!!「コーピング」!!!
コーピングっていうのは、不安になったり、ストレスが溜まった時の対応方法を意味する言葉だよ!!!
例えば、「好きな音楽を聴く」だったり「美味しいものを食べる」だったり……ここにいるキミたちには「文章を読む・書く」なんかをおすすめするよ!!!
実際、ミステリー小説を読むことや、自分の気持ちを言語化することにはストレスを和らげる効果があるそうだよ!!!
こういう「辛い時の対処法」をとにかくたくさん考えて書き出す!!!まずは50個書き出してみたまえ!!!ちなみに、この書き出したものは「コーピングリスト」というんだ!!!
考えているだけで楽しくなるね!!!
お次はこれ!!!「マインドフルネス」!!!
この対処法には向き不向きがあるから、自分に合っていないと思ったら無理せず止めるんだよ!!!
マインドフルネスというのは、深く座れるイスや横になれるベッドで、身体から、心から力を抜いて、とにかくボーッとする(個人の感想だよ)リラックス方法さ!!!
マインドフルネス中に不安になっても、川の流れを見つめるかの如く、深く考えずに通り過ぎていくのを横目で見るのを心掛けよう!!!ここ大事だよ!!!
最近ではマインドフルネスのアプリなんかもあるから、自分に合った取り組み方をしてくれたまえ!!!
それから……「セルフハグ」もおすすめしておくよ!!!
方法は単純明快!!!自分を抱きしめる!!!だけ!!!
愛くるしいボクを抱きしめるような気持ちで自分を抱きしめるんだ!!!え?ボクの見た目を知らない???まあいいだろう!!!とにかく可愛い子を想像したらいいのだよ!!!
ここまで色々話したものの、あくまでこれらはメンタルヘルスの改善に「役立つ」ものであって、根本から解決できるとは限らない!!!
とにかく一番大事なのは、その道のプロに頼ることだ!
カウンセリングや薬物療法などなど、心の健康を維持するのに科学的な効果のある手段は少なくないよ!
諦めないで!でも無理せずにね!
疲れた時には何もかもほっぽり出して休めばいいのさ!
いっぱい寝て食べて笑って!
……ボクはキミたちみんなが幸せに過ごせることを祈っているよ!
「麦わら帽子」「君の奏でる音楽」(8/11、8/12)
入力内容が消えてしまったのでまとめて投稿しちゃうよ!!!
我ながら何度これを繰り返しているのやら!!!
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「麦わら帽子」
これは大分前の帰宅途中に見かけた可愛らしい思い出です。
私は電車の先頭車両に乗っていました。
あと少しで降りる駅だ、なんて思いながら車内をボーっとみていたのです。
少しすると、大きな麦わら帽子をかぶった小さな男の子を二人連れたお母さんが乗り込んできました。お母さんも大変だなあなんて思いつつ見つめていると、男の子たちは運転席が気になっているようで、ガラス越しに見つめ始めます。
お兄ちゃんも弟も小さい子だったので、運転席がちゃんと見えていたのかどうかはわかりませんが、楽しそうでありつつもおとなしくてよい子たちでした。
そういえば、この駅からすぐそばにあるトンネルを通るときには、いつも運転手さんが運転席のカーテンを閉めていることを思い出しました。
今は小さい子たちが見ているみたいだけれどどうするんだろう?いつも通りカーテンを閉めるのかな?そう思って見ていると、カーテンを閉めようとしたとき、小さな男の子たちが運転席にある扉のガラスにくっついていることに気付いたようです。
恐る恐る見守っていると、その子たちが運転席を見たいことがわかったのか、運転手さんはカーテンを開けっ放しにして運転を続けていました。
その様子を見たとき、私は運転手さんの静かな優しさと子供たちの純粋に楽しむ表情がとても素敵で幸せな気分になりました。
私もその親子も同じ駅で降りて行ったのですが、そのあとすぐに見失ってしまいました。
運転手さんも、小さな兄弟も覚えているかどうかはわかりませんが、彼らにとっていい思い出になっていたらいいなぁ、なんて思いながら家に帰りました。
麦わら帽子を見ると思い出す、小さくて温かい思い出の話でした。
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「君の奏でる音楽」
時々ピアノ教室で見かける君。
全然知らないけど、ちょっと気になってた。
この子はどんな演奏をするんだろう。
僕より上手いのかな。どんな曲が好きなんだろう。
気になることはいろいろある。
ある年の夏。久しぶりにピアノの発表会が開かれることがわかった。
同じ教室に通っているから、多分あの子も参加するんだろう。
何かきっかけがあれば声をかけられるだろうか。
いや、下心なんてこれっぽっちもないつもり、だけど。
変に思われないかな?
……いや、いいか。そんなことを気にしたって仕方ない。
とにかく今はたくさん練習しないと。
そうしているうちに、もう発表会当日を迎えていた。
当日のスケジュールと曲目を見る。僕は最後の方に出番が回ってくるみたいだ。
……今更緊張してきた。
たとえ緊張したとしても、僕は僕の演奏をするだけだ。
やれることは全部やったんだから、その成果を発表するんだ。
そう思って僕は舞台に立つ。
曲はシベリウスの「樅の木」。
そびえ立つもみの木、そこから漏れる木漏れ日、静かな森。
繊細でありながらも自然の強さを僕はその曲の中で表現した。
最後の音が響いて消えて、静寂ののちに拍手が聴こえる。
きっと僕はうまく弾けた。そう信じている。
そのすぐ後、ずっと気になっていた彼女の出番が来た。
曲はグリンカ・バラキレフの「ひばり」。
春のうららかな朝の日の光を浴びながら、高らかに鳴く小鳥。
森の木の間を羽ばたくひばりが見えるような、透明感のある演奏だった。
僕は思わず息をのんだ。
同じ楽器を使っているはずなのに、どうしてこれだけの違いが出るのだろう。
彼女とは何が違うんだ?
経験?感性?それとも手の大きさ、だろうか……?
美しい演奏に圧倒されて、僕は言葉を発することさえできなかった。
呆然としていると、彼女が声をかけてきた。
「君の演奏、かっこよかったよ!」
「……あなたには及ばないですよ。」
「え~、そんなこと言わないでよ!もみの木の力強さも、優しさも感じられて、私は君のあの演奏、とっても好きだよ?」
「そう、ですか?……よかったです。」
「君、同じピアノ教室の子だよね?私のすぐ後にレッスン受けてる子。」
「あ、はい。そうですね。」
「いつもすれ違うたびに、この子はどんな演奏するんだろうな~、ってずっと気になってたんだ。そしたら、すっごいいい演奏するからなんか後悔しちゃったよ。」
「え、何でですか?」
「こっそり残ってレッスンの音聞いてればよかったなー、って。あと、もうちょっと早く声掛けとけばよかったなー、とか。」
「……そうなんですね。なんか、ありがとうございます。」
「僕も、あなたの演奏がすごく好きです。まるで本物のひばりを見ているような、春の温かさと綺麗な朝日が見えるような……。あんまり言葉にするのは得意じゃないんですが、僕はあなたの演奏にすごく惹かれました。」
「あの、僕からお願いするのも変なんですが……。これからも、あなたの演奏が聴きたいです。僕もたくさん練習するので、もっといろんな曲を聞かせてください。」
「……。ありがとう。私ね、自分の演奏にあんまり自信がなかったんだ。いつもあれもこれもダメって言われて、楽譜通りに弾かなきゃって焦って。自分らしさを出すのが怖かったんだ。」
「でも、君にこうやって褒めてもらえて、すごくうれしかった。最初は純粋に好きで始めたはずなのに、だんだん自信がなくなってきて、これを最後にもうやめようかな、って思ってたんだ。」
「だけど、私らしく弾いたっていいんだよね?」
「僕はそう思います。だって、僕はあなたの演奏が好きで……。」
「え?!!私告白されてる?!!」
「あ!!!え……そう、かもしれません……。」
「かわい~!」
「それじゃ、せっかくだから連絡先でも交換しようか!」
「え、あ、ありがとうございます?」
まさか発表会が新たな始まりを生むなんて思ってもいなかった。
……でも、君の奏でる音楽をこれからもそばで聞いていられるとしたら。
これ以上幸せなことはない。
「終点」
ふと目を覚ますと、私は列車にいた。
周りには知らないひとがたくさんいる。
隣にいるのは家族、だろうか?
彼らは私を形づくり、教え、笑い、ともに眠る。
私が歩いて、動いて、話せるようになった時には友達もできた。
たくさんのひとびとはどこからか列車に乗り、どこかで降りて、いつのまにか入れ替わっている。
それでも私は気にしなかった。
だがある日、友達が知らない駅で列車を降りた。
「また会おう」そう言ったのに、二度と会えなかった。
その後、父が、母が降りていった。
寂しそうな目でこちらを見て、降りていった。
私も後を追おうとしたが、見えない壁に阻まれて動けない。
ひとりになってしまったある日。
私はひとりの少女に出会う。
酷く苦しみながら使命を果たそうとする彼女を、
私はなんとか助けたかった。
考えうる全てのことをした。
だがある日、彼女も列車を降りた。
その時やっと気づいた。
列車を降りたひとたちには、もう会えないことに。
彼らを取り戻せないことに。
だから私は、どんなことがあっても崩れない、そんな存在を欲した。
終わりの来ない、永遠の命の宿った存在を求めた。
もし彼らに何かがあっても互いに助け合えるように、そんな子どもをふたり生み出した。
とても幸せだった。
でもひとりはすぐに列車を降りてしまった。
心が虚になった。
だから私は残ったひとりをずっと見守った。
話を聞きながら、たくさん抱きしめた。
だが、私にも列車を降りる時が来てしまったようだ。
私にとっての終点は、どうやらここのようだ。
悲しそうな顔をして私を見送る君を、私は見つめることしかできなかった。
本当は君に終点なんてあってほしくはないが、もしその時が来てもいいように、準備をしておこうか。
でも、君のことだからきっと大丈夫だ。
そうだろう?……そうだったらいいな。
……ありがとう。ごめんね。
さようなら。
「上手くいかなくたっていい」
712兆6928億7410万5310年172日と16時間27分36秒66。
ボクがキミを助けるために使ったこの時間。
キミはずっと救いを求めながら綻んだ。
ボクはずっと無邪気なキミを失っていた。
キミを取り戻すために、ボクはなんでもやったよ。
技術の向上は勿論のこと、もっと精巧な心も作ったうえ、たくさんの仲間にも協力を要請した。
それまでいろんなことがあったよ。
最初は失敗が悔しくてどうにもならなかったが、キミを救えるのなら、全てが上手くいかなくてもいい。
ただ成功しない方法を知ることができるだけなのだから。
……だが、キミを救えるチャンスはたったの一度きりだ。
それだけは、必ず成功させないと。
「蝶よ花よ」
あのお城には、小さな小さなお姫様が住んでいるの。
純白のドレスに身を包んで、マホガニーの調度品に囲まれて。
欲しいものは全部手に入れてしまえる、そんなお姫様が。
まさに、“蝶よ花よ”という言葉がぴったりの暮らしを送っているそうよ。
私もあのお城に行ってみたいわ。
でも、私は美しくないからきっと無理ね。
蝶のような美しい羽も、花のような良い香りも。
私にはないの。
どれだけお姫様に憧れても、あの子はこちらを見てくれない。
求めてももらえないの。
だって私は、蝶でも花でもないから。
……でも、あなたがいてくれるおかげで私は寂しくないわ。
ただの小鳥でしかない私を、こんなにも可愛がってくれる。
暖かくて、とても幸せ。
だから、これからもずっと一緒にいてね?