「大切なもの」
今日も朝8時に目を覚ます。体は動くが頭はまだ目を覚まさない。寝ぼけたまま自称マッドサイエンティストに朝の挨拶をする。
「おはよう!!!相変わらずキミは寝起きが悪いね〜!!!ほら、朝ごはんだよ!!!今日は特別サービスでベーコンとレタスとトマトを入れてみたのさ!!!これは美味いに違いない!!!」
それはBLTといってサンドイッチの組み合わせとしては定番だ。
「そうなのかい?!!にしてもさすがボクだね!!!この星のデータをまだ十分精査しきれていないというのにこの組み合わせを思いつくなんて!!!」
「BLT…… Bacon Lettuce Tomato か……!なるほどなるほど!」
自分はそいつ特製のサンドイッチを頬張った。
定番なだけあってうまい。
「あ!!!見たまえよ!!!桜がそろそろこのあたりでも満開なんだって!!!キミも花見に行かないかい?!!いや、行くぞ!!!ボクも四季とJapanese Wabi-Sabi の精神を感じたいのさ!!!」
人が多いから遠慮する。ごった返す場所に侘び寂びなんてあったもんじゃないだろ。
「まあ人が多いのは仕方ないだろう!!!だが!!!ワビサビがなくたってワイワイ楽しむのもいいじゃないか!!!それに、桜は散り際だって美しい!!!」
「ほら、兼好法師だって『花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは』と言っているだろう?!!満開じゃなくたっていい!!!ボクはキミと花見に行きたいんだ!!!」
……。
「ボクは心配だよ。チョーカガクテキソンザイがいうことじゃあないだろうが、キミは何か、ニンゲンとして大切なものが抜け落ちているような、そんな気がするんだ。」
「今は多様性の時代だから、あれこれ言うべきではないのはわかっているよ?それでも、やっぱりキミには伝えておいたほうがいいと思ってね。」
「キミはもっと自分自身を、自分の心を大切にしたまえ。キミと過ごしていて思ったが、キミはボクよりも感情の起伏がなさすぎる!それになんだか、そんな歳でもないのにくたびれた雰囲気があるんだよ……。」
「まあとにかく、まずは形から入りたまえ!!!
ほら、ボクのマネをするんだ!!!キミの笑顔を見せる時が来たぞ!!!」
……こうか?
「そうそう!!!その調子だ!!!」
「次は笑ってみたまえ!!!
ハーッハッハッハ!!!」
はーっはっはっは……
「そうそう!!!キミが幸せになるには、未知の存在を調査するためには、まず形からだ!!!いいかい??これを毎日続けたまえよ!!!」
……正直ちょっと面倒だ。
でも、自分のためにも、あんたのためにも、宇宙のためにも。
やれることはやろうかな。
「エイプリルフール」
「時は22177年!!!」
いきなり嘘をつくな。
「ボクらは宇宙を超えた存在を守るべく!!!」
そこまで大事ではなかっただろ。
「もんんのスゴイ力を発揮して!!!」
そうか?
「立ち上がった!!!」
まぁ……そうだな。
「ボクはあまりにもおっかない存在に勇敢にも立ち向かった!!!」
自分はいないことにされてる気がするが。
「いいや、そんなことはないぞ!!!キミも素晴らしい闘いっぷりを見せてくれた!!!スーパーダークマックスマーベリックストームレーザーを見事に使いこなしていて胸熱だったよ!!!」
そんなことはしてない。
「そしてボクらはそいつを打ち倒した!!!」
そもそもまだ正体もわかってないだろ。
というかはちゃめちゃな嘘をつくな!
「何を言っているんだい?今日はエイプリルフールだぞ!!!今日に限ってはウソをついても許されると聞いたが?!!まさかそれもウソだというのかい?!!」
いや、そんなことはないが……。
(あ、それなら自分も嘘をついてやろう。)
「ふふふ……。知らなかったか……?この世界が、この自分によって作られたものである、ってことを……?」
「いや、知ってるよ?正確には、キミではない何者かが作った世界である、ってことくらいだが!」
は……?それはどういう───「そのうえでボクは自称マッドサイエンティストとして振る舞っているのさ!!!」
「その『何者か』によってボクらは都合良く動かされたうえ!!!この世界を傍観する存在が複数いるってことも知ってるよ!!!」
……どこを向いて話してるんだ……??
「ボクが君たちの存在に気づいていないとでも思っているのかい?そいつは大間違いだ。ボケッとした顔をしているが、君、君たちだよ。画面の向こうにいる、君だよ。」
画面?なんの話だ?
「ボクはきっちり君たちのことを認識している。そのことを忘れずにいたまえよ。」
なーんてね!これはウソだよ!!!
だって今日は、エイプリルフールだからね!!!
「幸せに」
「ようやくこの騒動にも区切りがついたね!!!
まさかキミと一緒に解決できるなんて思いもよらなかったよ!!!本当に、本当にありがとう!!!」
あぁ。この長い戦いに決着がつくとは自分も思ってなかった。
あんたの役に少しくらいは役に立てただろうか?
そうだったらいいんだが……。
「そうだね!!!キミは大いに寄与してくれたよ!!!」
そうか、そうだったんだな。
それなら、よかった。
だが、この宇宙の危機を乗り越えたってことは、自分たちよりも遥かに上位存在であるあんたとはここでお別れだ、ってことだよな。
このうるさい暮らしに終止符を打つときがようやくきたんだ。
ほっとするような、寂しいような。
「あぁ、そうだね!ここにはもう用がなくなっちゃったから、ボクも元いたところに戻るとするかな!!」
「今までありがとう!!!
キミも、いつかちゃんと幸せになりなさい」
そういった瞬間、ミントグリーンの髪の自称マッドサイエンティストは目の前から姿を消した。
そうか。これで本当に終わったんだな。
いつもならずっとやかましい声が響いていたのに、あっという間に静かになった。
この隙間を埋めようとして、自分は買い物に出かけた。
スーパーやホームセンターの店内のごった返す音が、思わずあいつを思い出させる。
寂しさを紛らわすためにきたはずなのに、かえって寂しくなってしまった。
買い物もほどほどに、自分は早々に家に戻った。
「あぁ!!おかえり!!!」
……???
そこにはもう元の居場所に戻ったはずのあんたがいた。
「戻ろうと思って実際戻ってみたけど、ヒマだな〜と思ってまた来ちゃったよ!!!いいだろう?!!」
別にいいよ。
「ほ〜らまたそうやって照れる〜!!!素直に嬉しいと言いたまえよ!!!」
はぁ。これからまた賑やかな生活が元通りになるのか。
あえて言葉には出さないけど、正直ちょっと嬉しい。
「さて!!!もう晩御飯の時間だよ!!!」
そういってあんたはハンバーグをこね始めた。
ありがとう。
これからもよろしく。
なんてこった!!!寝てる間に内容が消えてしもた……(´・ω・`)
3/29「ハッピーエンド」
突如として現れた宇宙を吸収する未知の存在を探るべく!!!
小さな宇宙の塵になった私の居場所を求めて
ボクは進み始めた!!!
私は進み始めた
ある日出会ったキミとともに!!!
ある時出逢ったあなたを待って
けれどキミはあんまり乗り気じゃなさそうだった!!!
けれどあなたはどれだけ待っても
だからボクはいろいろ調べて考えたよ!!!
どれだけ待っても来なかった
やはり研究は楽しい!!!素晴らしい!!!
だから私は決めたのです
もっとこの星のことを知りたい!!!
この宇宙を全て呑み込もうと
この宇宙を救うためにも!!!
あなたを見つけるために
キミとボクのためにも!!!
私ごとあなたを愛するために
だがなかなかうまくいかない!!!
でも私の中にあなたはいなかった
だからボクらはジタバタした!!!
だから私は決めたのです
できることはなんでもした!!!
私と「あなた」が平和に暮らせる世界を作ることを
それでもまだまだうまくいかないね!!!
それも奪われてしまった
それでもボクらは
それでも私は
ハッピーエンドのために
ハッピーエンドのために
動き続ける
抗い続ける
゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚
3/30「何気ないふり」
あまりにも眠いのでとりあえず一旦投稿します!!
ちゃんと書きます!!!
P.S. ちゃんと書いたよ!!!
゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚
キミはいつもねぼすけで無気力!
そのうえなんだかネガティヴだ!!
まだまだ若いというのに!!!ボクを見習いたまえ!!!
それはさておき!!
ボクとともに宇宙の危機に立ち向かってくれてありがとう!!!
キミしか引き受けてくれなかったから助かるよ!!!
最初はボクどころか何にも興味がなさそうで、
調査どころではなかったよ!!!
だからボクはちょっとずつ自己開示を始めたんだ!!!
そしてキミたちニンゲンのことをさらにきめ細かく知ろうと思ったのさ!!!
その甲斐あってか、はじめはそっけなかったキミも
色々話してくれるようになった!!!
ボクはわかってるよ!
何気ないふりをしながらもボクの作る朝ごはんを喜んでくれていることを!!
何気ないふりをしながらもボクと話をするのを楽しんでいることを!!
何気ないふりをしながらも宇宙を救ってくれようとしてくれていることを!
きっとキミとならなんだってできる!
そんな気がするのさ
「見つめられると」
今日は珍しく暇だ。いつもはやかましい自称マッドサイエンティストも騒いでいないし、やることもしたいこともない。
ため息をついて、外を見る。どんよりとした空が広がっていた。
見るものも無くなってしまったので、目の前で謎の機器類を散らかしている「チョーカガクテキソンザイ」の動きを見ることにした。
揺れるミントグリーンの髪。
サイズの合っていない白衣。
それから、星を宿して輝く……というかなんかギラギラした目。
「何見てるんだい?」
いや、暇だから目で追ってただけだ。
それにしても、こいつ不思議な目をしてるよな。
なんというか、見るたびに色が変わっているような気がする。
「よくお気づきで!!!流石ボクを認知出来るだけある!!!ボクの目はニンゲンのそれとは違って高性能なのさ!!!詳しく知りたいだろう?!!」
いや、別にそこまで知りたく───「ボクの目はミクロからマクロまで、ぜーーーんぶお見通しなのさ!!!例えばこのイチゴの種!!!このくらいに拡大できるのさ!!!」
そう言いながら壁に相当精細なイチゴの種を投影した。すげー。
「それから、この星の姿を映してしんぜよう!!!」
たしかに、自分が暮らす星が映し出されている。
これは目というよりもむしろ超能力とかの類では……?
「この目は可視光スペクトルの値をランダムに映しているのさ!!!」
可視光スペクトル……?へー……??
最初は嬉々として自身の目について説明していたが、長く一緒にいるうちに段々にんげんくさくなっていった。
「……なんだい??見つめられても何も出ないぞ??」
にんげんくさく、にんげんくさく。
「なんだよ〜!!!そんなに見つめられると照れちゃうだろ?!!ボクの瞳にカンパイなのかい?!!そうかそうか!!!」
「……こほん。あー、これはボクによるニンゲンへの『最適化』された行動であることをお忘れなく!なんてね!!!」
見れば見るほど、不思議で綺麗な瞳だな。
「キミもいい目をしているじゃないか!!!黒は可視光スペクトルに含まれない色だからね!!!」
いつもはそんなこと言わないくせに。
見つめられても、何も出ないぞ?
でも、見つめられると少し嬉しい。