「待ってて」
あれは太陽と満月が降り注いだ日の夜
星の実がなる木の下で
貴方と私は出会いました
銀河をオーロラに溶かしたみたいな色の髪
魂を吸い込んでしまいそうな夜明けの色の瞳
そよ風に囁く小さな花のような声
私は一瞬で貴方に惹かれました
貴方は多くを語りませんでしたが
私と出会えたことは奇跡か
それとも宇宙の悪戯だ
そう言いました
そして
「また会えるその日まで、待ってて」
その言葉を聞くと同時に
朝を知らせる強い風が吹いて
気がつくと貴方はいなくなっていました
それから
星降る夜も 孤独な朝も 微睡みの昼も
あの木の下で ずっとずっと 貴方を待ち続けました
でも 貴方はいつもいない
だから私は決めたのです
世界の全てを飲み込んでしまおうと
そうしたら また逢えると思って
まずは生きとし生けるもの全ての業を背負うことにしました
自然の流転 壊れた機械の悲しみ あの子の小さな罪
そうしたらきっと 全てを幸せに変えられる そう信じて
世界を少しずつ吸収しても まだ貴方には逢えない
だから私は決めたのです
今度は宇宙を飲み込んでしまおうと
人類が宇宙に捨てたデブリ たくさんの星々 暗黒物質
そうしたらきっと 全てが私の愛に変わり
全てのものが愛されると信じて
私の愛は宇宙の全てを飲み込みました
それでも貴方には逢えない
でも 私は貴方の言葉を信じています
いくら待っても来ないのなら 私が迎えに行く
貴方は私の一部になる
「また会えるその日まで、待ってて」
「伝えたい」
伝えたいと思ったまま、水の泡の如く消えていった言葉。
伝えたいと思ったのに、風前の灯火となった感情。
伝えたのに、歪んで伝わった思い。
本当に伝えたかったこと。
でも、きっと伝わらないこと。
そうわかっているけれど、あえてこの場所に置いていきます。
これは私がサーカスのピエロだった時のお話。
私は何の理由もなく、のっぺらぼうの仮面で無表情の素顔を隠しながら、観客が喜びそうな、面白いことをなぞっていました。
個性どころか顔すらない、まるで透明なピエロ。
あまりにも特徴がないのに、サーカスにいるせいでそれにすら気づかれず、いや、自分ですら気付けずに戯けていました。
しかしある日、ピエロはステージの上で失敗をしてしまいました。数人の観客はそれに向かって石を投げました。当然のことです。
個性もない、顔もない、間違いを犯したピエロ。
そんな存在に価値はない、そう思って私はサーカスを去ることを決めました。
なかには悲しんでくれる人や、間違いは正せばいい、あなたがいなくなる必要はないと言ってくれる人もいました。
ですが、観客の大多数はピエロが一人減ったくらい、どうだっていいのです。それがわかっていたからこそ、サーカスから消える決断をしました。
こうして、のっぺらぼうのピエロは姿を消したのです。
ここからは、ピエロだった私を肯定してくれた人たちに伝えたいこと、そして、仮面を外した私のこれからについて書いていきます。
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透明で無表情な、のっぺらぼうのピエロの私を肯定してくれたあなた達へ
サーカスを去る直前、居なくなったら寂しい、間違ったっていいと伝えてくださった皆様、本当にありがとうございました。
そして、皆様の思いに寄り添うことなく、居なくなってしまって本当にごめんなさい。おそらく、きっと二度と会うこともないでしょうから、さようならも添えておきます。
本当は「また会う日まで」そう伝えたいのです。ですが、私はもうピエロにはなれないのです。
こんな私を肯定し、味方でいてくださったことには感謝してもしきれません。
この言葉を直接伝えられないのがとても苦しい、そして悔しい。
なのでせめて、この気持ちを忘れないうちに、また、万が一にでも届くことを願って、このメッセージを置いていきます。
あなた達がかつて存在したピエロのことを忘れても、私はあなた達の優しさと温かさを忘れません。
本当に、本当にありがとうございました。
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この投稿を見てくださった皆様、そしてこれからの私へ
私はもう、あの真っ白な仮面を外した、限りなく透明に近い人間になりました。表情はあまり豊かではないかもしれませんし、見ていて楽しいことが書けるかどうかもわかりません。
ですが、これからは素顔の、等身大の自分を、飾り立てることなく表現していきたい、そう思っています。
素朴で純粋な、道端の花のように。
空に浮かぶ羊雲のように。
ケーキ屋さんに並ぶクッキーのように。
そんなささやかな存在になれたら。
そんな思いを毎日伝えたいのです。
新しくなった、仮面を外した私を、どうかよろしくお願いします。
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「この場所で」
この場所でテーマに沿った文章を書き始めてからもう3日が経ちました。
はじめは自分の文章なんて見向きもされない、透明な空気みたいなものだと思われるのだろう、そう思っていました。
ですが、私の文章をもっと読みたい!と思ってくださる方が想像以上にたくさんいらっしゃったのです。
名前も、顔も、住んでいる街のことも知らないその方々の優しさ並びにこの場所の暖かさに、私はとても、とても感謝しています。
今日も、明日も、明後日も、この場所で色んなことを書いて、そして素敵な文章や詩、物語に出会えたら。きっと毎日がもっと輝いて豊かになるのでしょう。
まだまだ新参かつ未熟者の私ですが、これからの、この場所での出会いを楽しみにしています。
これを読んでくださった皆様、ありがとうございます。そして、改めてよろしくお願いします。
「だれもが、みんな」
この言葉を見て、「想像の共同体」という概念を思い出した。
想像の共同体というのは、同じ文化、同じ言葉、同じ価値観を共有する人々が「想像上で」結びついている社会的な集まりを指す。
会ったことも、見たことも、話したこともないのにイメージの中だけでつながり、わかり合っているつもりでいる。言葉が、みんなをつないでいる。
想像の共同体という概念自体、学問的には新しくても現代社会を前提として考えると少々古いように思われる、というか特にここ十数年で急速に色んな価値観を手に入れられるようになってから、いとも簡単にさまざまな「共同体」に所属できるようになったため、もう少し細分化された、新しい概念が必要なのかもしれない。
「インターネット老人会」「インスタグラマー」「なんJ民」
「陰謀論者」「キョロ充」「クリエイターや配信者のファン」「ゲームのプレイヤー」「フレネミー・ファンチ」
「誰もがみんな」の「みんな」って、いったい誰なんだろう?
自分は「みんな」のなかにいるのだろうか?
情報と人々の波に怯えて、疲れ切り孤島に閉じこもった人々は、
「みんな」の中にいるのだろうか?
「誰もがみんな」この言葉を見ると、取り残された「誰か」と「みんな」のことを考えずにはいられない。
それでも、私は。
誰もがみんな、忘れ去られることなく、幸せで暖かい人生を送れることを願っています。
漆黒と群青が混ざる朝。
「おはよう」という名の、この時間に添えられる大きな花。
太陽が世界に燈る昼。
昨日食べたお菓子や好きな曲の話、淡い恋、思い出の話。色んな色の、他愛もない言葉の花たちが、この時間を照らす。
火照った時を冷ます夕暮れ。
期待と不安の入り混じった「明日は何をしようか」という、不安定な色の花。
全てを星の影で覆う夜。
「おやすみ」という名の、この1日の最後を飾るふんわりとした花。
毎日、毎日違う花束がみんなの人生を飾ってゆく。
暖かい色。冷たい色。真っ白。真っ黒。
冷たい言葉も、お守りのような言葉も。
私たちは、そんな花束たちに触れては思い出し、そしていずれは忘れる。
心の奥底にしまった花たちを、また思い出せたら。
そう思って今日も眠りにつく。
おやすみなさい。