「伝えたい」
伝えたいと思ったまま、水の泡の如く消えていった言葉。
伝えたいと思ったのに、風前の灯火となった感情。
伝えたのに、歪んで伝わった思い。
本当に伝えたかったこと。
でも、きっと伝わらないこと。
そうわかっているけれど、あえてこの場所に置いていきます。
これは私がサーカスのピエロだった時のお話。
私は何の理由もなく、のっぺらぼうの仮面で無表情の素顔を隠しながら、観客が喜びそうな、面白いことをなぞっていました。
個性どころか顔すらない、まるで透明なピエロ。
あまりにも特徴がないのに、サーカスにいるせいでそれにすら気づかれず、いや、自分ですら気付けずに戯けていました。
しかしある日、ピエロはステージの上で失敗をしてしまいました。数人の観客はそれに向かって石を投げました。当然のことです。
個性もない、顔もない、間違いを犯したピエロ。
そんな存在に価値はない、そう思って私はサーカスを去ることを決めました。
なかには悲しんでくれる人や、間違いは正せばいい、あなたがいなくなる必要はないと言ってくれる人もいました。
ですが、観客の大多数はピエロが一人減ったくらい、どうだっていいのです。それがわかっていたからこそ、サーカスから消える決断をしました。
こうして、のっぺらぼうのピエロは姿を消したのです。
ここからは、ピエロだった私を肯定してくれた人たちに伝えたいこと、そして、仮面を外した私のこれからについて書いていきます。
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透明で無表情な、のっぺらぼうのピエロの私を肯定してくれたあなた達へ
サーカスを去る直前、居なくなったら寂しい、間違ったっていいと伝えてくださった皆様、本当にありがとうございました。
そして、皆様の思いに寄り添うことなく、居なくなってしまって本当にごめんなさい。おそらく、きっと二度と会うこともないでしょうから、さようならも添えておきます。
本当は「また会う日まで」そう伝えたいのです。ですが、私はもうピエロにはなれないのです。
こんな私を肯定し、味方でいてくださったことには感謝してもしきれません。
この言葉を直接伝えられないのがとても苦しい、そして悔しい。
なのでせめて、この気持ちを忘れないうちに、また、万が一にでも届くことを願って、このメッセージを置いていきます。
あなた達がかつて存在したピエロのことを忘れても、私はあなた達の優しさと温かさを忘れません。
本当に、本当にありがとうございました。
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この投稿を見てくださった皆様、そしてこれからの私へ
私はもう、あの真っ白な仮面を外した、限りなく透明に近い人間になりました。表情はあまり豊かではないかもしれませんし、見ていて楽しいことが書けるかどうかもわかりません。
ですが、これからは素顔の、等身大の自分を、飾り立てることなく表現していきたい、そう思っています。
素朴で純粋な、道端の花のように。
空に浮かぶ羊雲のように。
ケーキ屋さんに並ぶクッキーのように。
そんなささやかな存在になれたら。
そんな思いを毎日伝えたいのです。
新しくなった、仮面を外した私を、どうかよろしくお願いします。
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2/12/2024, 4:42:39 PM