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5/12/2022, 11:02:13 AM

昨日はかくれんぼをした。
その前はおままごと。
お世辞にも普通とは言い難い外見の私に、臆することなく話しかけてくれる双子ちゃんが可愛くて、愛おしくてたまらない。
たまに3人でイタズラをしたりして怒られることもあるけれど、毎日がとっても楽しい。
この日々がずっと続けばいいと、何度思ったことか。
それでもやっぱり、日々彼女たちは成長している。いつかは私と遊んだ日のことも忘れてしまうんだろう。
悲しいけれど、応援してあげなくちゃ。

ああ、願わくばいつまでも、こどものままでいて。

4/28/2022, 2:13:50 PM

彼はいない。
それはつまり、俺もいないことを指す。
あいつらと食べたたい焼きの熱さも、袋いっぱいに詰め込まれたサラダ油の重さも、自転車で坂道を下る爽快感も、何一つ無いことになる。
「それは嫌だなあ」
「なに、いまさら」
彼はそう言って目の奥の深い深いところで俺を見つめた。
「さいしょから、そういう話でしょ」
駄々をこねる子供を宥めるような目を向けられて、少し嬉しかった。
「でも、ね」
きみが、まだっていうなら、止めないよ。
そう言って空を見上げた彼は、何を思っているんだろう。あの人のことでも思い浮かべているのだろうか。
俺はバカだから、よく分からない。
だけど、あいつらとはもっと一緒にいたいなあ。
そう呟くと、彼は俺を見て笑った。
「——いいよ」
その目の奥のほうに、僅かな揺らぎがあったのは、バカな俺の気のせいだったろうか。

3/26/2022, 12:26:54 PM

「夢を、覚えているんだ」
昨日の夢も、一昨日の夢も、ずっと前の夢も。普通の人なら目が覚めてしばらくすると記憶から消されてしまう夢の話を、俺はずっと覚えている。
そのせいで、今俺がいるこの世界が夢なのか、現実なのかすら分からない。
「店長さん、おかわりください」
「……うん」
彼女がいるということは、夢の中なんだろう。
可愛らしい猫の模様がついたマグカップを受け取り、温かいココアを注いでいく。最後に角砂糖をふたつ入れて、彼女に渡した。サービスと言って小さなカップケーキを差し出せば、彼女はまるでネコのように目を細めて小さく喜んだ。
思えば、最近はずっとここにいるような気がする。これじゃ夢の中が現実だと言っても過言じゃないや。
この場所が嫌いというわけじゃない。
それでも、友達とくだらない日々を送ることができているあいつのように、俺も過ごしてみたかった。
普通の人間で、ありたかった。

——今更、ないものねだりだけれど。

3/26/2022, 8:02:59 AM

「先生、泣かないでくださいよ」
そう言って俺は、目の前で顔を濡らしている彼にティッシュ箱を差し出す。目元に触れる薄紙は、瞬く間にしとどに濡れていく。
ああ、鬱陶しい。すぐ泣くこの人も、世話を焼いてしまう俺自身も。
好きじゃないのに、見離すことができない。
「ありがとうございます」
そんなことを言われてしまえば、なおさら。
でも、好きじゃない。
あんたなんか、大嫌いだ。

11/7/2021, 2:33:53 PM

私とくろは似ていない。髪の色も、目元も、性格も。
私に比べてくろは気が弱いし、いつもおどおどしていて正直うざったい。いっつも猫背だし、声は小さいし、ねぼすけだし、頭はそこまで良くないし。
そんで料理は私より上手だし、私よりちょっとだけ足が速い。ちょっとだけね。悔しいけど。
周りからもよく「似てないね」って言われる。そりゃそうでしょ、二卵生なんだから。
ていうか、似てない方がいい。
似てなければ似てないほど、私とくろは好きなように生きられる。比べられることも無くなるんだって。あいつの受け売りだから内容は少しむずかしいけど、よーするに、似てない方がお得ってことでしょ。
まあ、んん……お揃いがいやなわけじゃないんだけど。このヘアピンだって、くろとお揃いが良くてこれにしたわけだし。
……あぁちょっと!何ニヤニヤしてるの、今のぜっったいくろに言っちゃダメだからね!



私としろはよく似ている。変なとこで意地を張っちゃうところとか、お互いのことを大切に思っているところとか。あと、いたずらが好きなところとか。
確かにしろは私より賢いし、むずかしい本をよく読んでいるから、たまに話しかけにくいときもあるけど。
でもね、これは他の人にはないしょだけどね、しろって、私と同じくらい怖がりなんだよ。
いつもは胸を張って背筋を伸ばして堂々としているけれど、実はただ強がっているだけってときもある。似てないねって言われることが多いけど、私とそっくりなところはけっこうある。
しろはたまに怖いけど、似てるねって言われると少しうれしい顔するの、私は知ってる。もちろん私もうれしいよ。
だから、しろがこのヘアピンをくれたときはすっごくうれしかった!
私の大切なたからもの。ずっと大事にするの。
照れくさいから直接言えないけど、私、しろがだいすき。
……って、ねえ!はずかしいから、今のぜったいしろに言わないでよ!

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