黒山 治郎

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7/28/2024, 5:04:14 AM

者共、いい加減にせぬか。

口々に挨拶もせず慇懃無礼に願いばかり宣うが
利己的に擦り寄る輩なんぞ数えてもられん
叶うかどうかを無意味に心配する前に
少しは、天罰が下るやもと恐れたらどうなのだ。

とはいえ、土地神たる我々が
こうして地に足を下ろしてしまっては
もう手遅れではあろうがな…。

反省を終えたと我らが判断するまで
ここいらの土地は不毛不作と荒れ果てるだろうが
まぁ、言ったとて無作法者等に
我々の欲する反省の意味が
理解出来る時が来ればよいがねぇ…。

ー 神様が舞い降りてきて、こう言った。ー

7/27/2024, 7:33:22 AM

事の発端は些細で
本当に粗末な理由だったよ。

「誰かに知って欲しかった」

たったそれだけの行動理念に
聞き手である事が得意だった幼少期が合わさり
文字を覚えてからは記者を志す様になった。

語彙のパズルは時代と共に変化し
飽きる事も無く、記者への道は明るく思えた。

だが、現実は…社会は違ったよ。

需要と供給にそぐわぬ物語は修正液に塗れ
冤罪を解く為に見聞きした一部始終は
上が好んだ場面だけが切り抜かれ縫合され
ノンフィクションはフィクションになるんだ。

君なら耐えられるかい?
少しでも誤解を晴らす助けになれば…
少しでも事実を知る人が増えれば…
そう思い、言葉をいくら連ねようとも
上が検閲して少しでも気に入らなければ
無惨にシュレッダーが食い散らすんだよ。



さぁ、もう分かっただろう?
私はもう君達を手伝える心強い記者ではなく
望まれた話を描くゴーストライターでしかない
“誰かの為に”だとか、そんな浅い行動理念じゃ
君達もゆくゆくは私と同じになるだろうね…。

ー 誰かのためになるならば ー



【作者の戯言】
一度突き放した後に若者達の活力に当てられて
結局は後半で実力を発揮してしまうタイプの記者

7/26/2024, 8:32:33 AM

「あの方は神霊様に選ばれた
衣を持たぬ幼き天女よ」

豪奢な座敷楼の中央で
裾を折り畳んだ羽の無い雛
栄えある尸童(よりまし)

神霊に見初められた頃より
慣れた村から引き抜かれ
託宣を授ける時のみ
神憑りの儀に相応しい扮装と共に
囀る(さえずる)事を赦される

村の者達は童女へ傅き(かしずき)
村から出る者もないままに
たいそう大事にしたそうな

座敷楼という籠を与えた者に
加護を授けられ村に縛られるとは
たいそうな皮肉であろうと
人知れず虚像は苦笑した。

ー 鳥かご ー

7/23/2024, 7:15:25 PM

笑顔が眩い人だった
他者の目を惹く程に
良くも悪くも中心で
外を知らぬ人だった

好奇心は猫をも殺す
境界とは常に曖昧で
内から出るは容易い

 いきはよくとも
 かえりはこわく
 月に叢雲花に風

叢雲が月を呑み込み
風は花を食い散らす

無知では身は守れず
無垢では心も守れぬ

白さ故に黒は塗られ
穢れだと謗りを受け
終いには指先集まり
花は散るも定めだと
落ちた花に虫は集る

煮詰めた涎も拭わず
下卑た口々を歪めて
馳走に愉悦と残した
下劣な色の虫食い痕

床は涙を飲み終えて
望まぬ種は灰へ埋め
何の罰かと天を仰ぎ
応えかと見紛う雨に
心を乱した君が嗤う

ー 花咲いて ー



【作者からの後書き】
精神的な疲労が文章に影響しているのか
何度書き直してもバットエンドになったので
開き直って後味の悪さを増し増しにした。

7/21/2024, 11:02:23 PM

お兄さん、ちょいトお隣失礼すルよ
こんな涼しい夏ノ日ハァ
どうにも煙草も美ン味くて
困っタものだねぇ…?

そうだ、ここ出会ったノも何かのご縁ダ
少しお遊戯でもイかがかな?

良い反応だ…ジゃあ…
交代で質問を投げ合いナがら
お互いの欲しいモノをより早く当てる

はいかイいえで答えられる質問で
相手ノ今、欲しい物を当てるんだが…
チょっと刺激が足りないかねぇ?

デハ、欲しい物を間違う度に…
罰が加算されてくッてのはどうだい?

マぁ、良くあるお遊戯の決まり事だが
それラしく刺激にはナるだろう?
イかがかな?

決まりだ
それじゃ、始めようか。

ー 今一番欲しいもの ー

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