黒山 治郎

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笑顔が眩い人だった
他者の目を惹く程に
良くも悪くも中心で
外を知らぬ人だった

好奇心は猫をも殺す
境界とは常に曖昧で
内から出るは容易い

 いきはよくとも
 かえりはこわく
 月に叢雲花に風

叢雲が月を呑み込み
風は花を食い散らす

無知では身は守れず
無垢では心も守れぬ

白さ故に黒は塗られ
穢れだと謗りを受け
終いには指先集まり
花は散るも定めだと
落ちた花に虫は集る

煮詰めた涎も拭わず
下卑た口々を歪めて
馳走に愉悦と残した
下劣な色の虫食い痕

床は涙を飲み終えて
望まぬ種は灰へ埋め
何の罰かと天を仰ぎ
応えかと見紛う雨に
心を乱した君が嗤う

ー 花咲いて ー



【作者からの後書き】
精神的な疲労が文章に影響しているのか
何度書き直してもバットエンドになったので
開き直って後味の悪さを増し増しにした。

7/23/2024, 7:15:25 PM