狼星

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2/7/2023, 12:39:06 PM

テーマ:どこにも書けないこと #87

『どこにも書けないこと』か……。
書けないこと書くってテーマ、難しいなぁ…。
書けないことといえば、恋愛小説書けないなぁ…。
書けないというか、見るのは全然ありなんだけど、経験ないからか…?
だからってカレカノになる予定も、今のとこないしなぁ…。
小説書くってなったら、大体ファンタジーと現代を重ねて書くから、現代の土台ができないと無理なんだよね。
偽物っぽいというか…。(偽物なんだけど。

『どこにも書けないこと』=本音
っていうのがあるかも。みんなそうかもしれないけど。
自分ははっきり言葉にして本音を言ったり、書いたりはできない。
でも少しだけ自分の本音をかすめて、物語を描いていることが多いかも。
伝えたいこと+自分の考え(少しの本音)みたいな!

※今回は呟きみたいに書いてみました。
 こういうのはありですか…?
 共感してくれる人いてくれたら、嬉しい。
 狼星でした。

2/6/2023, 1:03:54 PM

テーマ:時計の針 #86

僕たちは未来へ向かう。この能力は本当に便利だ。
しかし、もう過去に行くことはないだろう。
過去を変えるのはリスクが大きすぎる。今回だって未来が変わっている可能性がある。
僕たちはシャドウとリーリエにもう一度会えるのか。
ララキのような人外の知り合いに会って、忘れられていないか。普通に話せるのか。
勝瑠に言ったら心配させそうだから言わなかったが、きっと勝瑠だって同じようなことを考えていただろう。
「勝瑠」
僕が弟の名前を呼ぶ。彼はビクッと肩を上げた。
「なに? 真兄さん」
僕にへにゃっとした顔で言うが、きっと怖いと思う気持ちは一緒だろう。
「大丈夫。大丈夫」
僕はそう言って彼の頭を撫でる。
「もう…兄さん。僕そんな子供じゃないよ…」
そう言いながらも僕の撫でている手を、振りほどくわけでもなく。
「シャドウは絶対に俺たちのことを覚えている」
僕がそう言うと、勝瑠は口をツンとさせた。
「リーリエだって絶対に覚えているもん!」
そう言ってから勝瑠はプッと吹き出し笑った。
僕もつられて笑った。
いつの日からか、気づくと笑うことも少なくなっていた。兄弟と笑い合うのがこんなに至福だとは知らなかった。

「未来に帰ってきた、な」
僕がそう言うと周りを見た。周りには高いビルが並び、空は真っ黒なのに明かりがついている。どこからか人間がうじゃうじゃと渇いてくる。
僕はそれを毎日のように見て。ときにはそれに紛れて生活していた。そんな日々も最近はあまりしてこなかったためか、懐かしさすら覚えてくる。また、日常に戻ったら普通になるのだろうけど。
「真兄さん。シャドウとリーリエは、どこにいるんだろうね」
確かに、集合場所を言うのを忘れた。ただ僕はこの街を一望できる場所を知っていた。
「1つ心当たりがあるとすれば…あそこだな」
そう言って指さす。僕たちはそこへと向かった。

ーーカン、カン
僕は階段を登っていく。勝瑠は会ったときに空を飛んでいた。しかし、今日は一緒に階段を登っている。
「たまには階段もいいかな」
なんて言って隣にいるがバテている。
「大丈夫か?」
「へーきへーき。こんなのよゆー」
そう言いながらも、表情は全然余裕は無かった。
「もうそろそろ着くから」
そう言うと僕は勝瑠を励ます。

「着いたー」
そう言って拳を掲げる勝瑠。着いたところは僕と勝瑠が再開したあのビルの屋上だった。ここからだったら見えるかもしれない。彼らの姿が。そう思ったのだが、その必要はなかったようだ。
『オイオイ…おせーぞ』
『本当ですよ。もう少し早く来てください。首を長くしすぎて麒麟になりそうでした』
シャドウとリーリエがそこにいた。
『全く、リーリエの言う通りだぜ。この兄弟はそんなに人外を待たせることが好きだな』
ケケケッとお馴染みの笑いをしているシャドウと、リーリエがこちらに来る。
『ケリはつけてきたか』
シャドウがニヤッとして言う。
「もちろん」
僕は口角を上げる。
『怪我はしてない?』
『オイオイ、どこぞの母親かよ。リーリエ』
『えぇ! 私は勝瑠と真様の第二の母親ですもの』
リーリエが胸を張って言った。
『あ! それいいな! じゃあ、俺は第二のとーちゃんとなるぜ!!』
『シャドウ…。貴方。父親って感じはしないけど…』
そんな感じでワイワイやっている2人。知らないうちに仲良くなっていたようだ。
『あ、そう言えばララキも楽しみにしていたぜお前らが帰ってくるの』
シャドウが思い出したようにポンッという。
「ララキ?」
「あぁ…。僕の大切な親友だよ」
僕がそう言うと
「じゃあ、挨拶しに行かなきゃね」
そう笑った勝瑠。僕たちは闇夜へと戻っていく。

ふと、街を離れるときあの化け物のことを思い出した。あの化け物がやろうとしたことは人外の世界を作ろうとしたんじゃないかって。そうだとしたら僕も最初、同じことを思ってやろうとしていたな。そう思った。
まぁ、今では知る由もないが。

過去はもう変えない方がいい。
時計の針が一定に動くように、
時も一定を刻み、思い出を紡ぐ。
良いことばかりじゃない。
でも、悪いことばかりでもない。
過去は変えられないからこそ、過去になって振り返ると
「あぁ、こんなこともあったなぁ」て懐かしく思える。それを変えてしまうだなんて、もったいない。

だから僕たちはもう過去には戻らない。
未来へと駆ける。
二人一緒に手を繋いで。

                     __end.
『時使い兄弟のキズナ』

※こんにちは、こんばんわ。
 あるいはおはようございます。
 狼星です。今回は『時使いの兄弟のキズナ』という話
 を書かせていただきました。
 リレー小説、第2弾です。どうでしたでしょうか。
 お楽しみいただけたら、狼星は嬉しいです。

 私としてもこのリレー小説企画は、時を越えての小説
 づくりなため、予想外のお題にはどう対応しようかい
 つも迷ってしまいます。(短編にすればいいのに…。
 
 さておき、無事に終えることができてよかったです。
 次からは短編に戻ろうかなとも思っています。
 またいつか、第3段のリレー小説もやろうかなと、
 考えてもおります。
 
 いつも楽しみにしてくれている方、いてくださったら
 嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。
          以上、狼星でした。また明日。

2/5/2023, 12:37:10 PM

テーマ:溢れる気持ち #85

僕と勝瑠は時を駆けるーー

僕たちは知らない地に足をつけた。
僕はどこか懐かしい感じがした。初めてじゃないのは知っている。でもその時の記憶はないはずだった。
それでも、僕の中に何かがうごめいている。そんな気がした。それが一体何なのか。僕には理解できない。
「真兄さん」
僕を呼んだ隣にいる勝瑠を見る。僕はどんな顔で彼を見たのかはわからない。
「ごめんなさい」
ただ、勝瑠は僕に謝った。謝らなくてはいけないのは僕なのに、勝瑠は何に謝っているのだろうか。
「僕…」
僕は気がつくと、繋いでいる手と反対側の手で勝瑠の頭を撫でていた。勝瑠は驚いたように僕を見ている。
「ごめんっていうのはこっちの方だ。今まで…今も。思い出せなくてごめん。勝瑠はずっと僕のことを探してくれていたのに、僕はそれを知らずに暮らしていて」
僕はそう言うと勝瑠は下を向いた。少し小刻みに震えていた。

「真兄さん、行こう。この先にヤツがいるはずだ」
僕たちはずっと手を繋いでいた。
もう離さない。離してたまるか。もう離れ離れになんてならない。
「行こう」
僕がそう言って一歩踏み出す。僕たちはこれから戦いに行くんだ。

ーーコツコツコツコツ。
そこは未来で勝瑠が捕らえられていた、あの施設だった。この時代にすでにあった。そしてヤツも存在していたのだ。
『おい、まだか!!』
そういう声が聞こえる。勝瑠の手を握る強さが強くなったのを感じた。きっとヤツだ。
「勝瑠。もう一人で戦わなくていい。一緒に」
そう言って僕は勝瑠の手を握り返した。勝瑠は僕を見る。そして頷く。
ーーガチャ
音がしてドアを開く。
『何者だ!!』
下っ端っぽい男が叫ぶ。中には数人の下っ端と化け物がいた。
「「この計画を終わらせに来た」」
僕たちは声を揃えていった。すると、奥で叫んでいた化け物がピクリと耳を動かした。
『ボスの計画を止めるだなんて笑わせてくれる。小童共』
下っ端は笑った。気味が悪かった。
こんな前の時代から化け物を作るために何人の犠牲を。
「そう笑っていられるのも今のうち。かかってこいよ、下っ端共」
『この野郎!!』
下っ端たちが襲ってくる。多数相手なんて普段なら絶対に相手にしたくない。でも今回は、一人で立ち向かっているわけじゃない。勝瑠が、弟がいるから…。
僕たちは能力を所々で使いながら、下っ端たちを処理していった。そう時間はかからなかった。
「あとはお前だ。化け物」
僕がそう言うと化け物は僕たちを見て、ニタァと笑った。
『なんだか見覚えのある奴らだと思ったら逃げたやつにそっくりだ。やっぱりここに帰ってきたか。お前らの親は俺の実験台となったことだが…。お前らを取り逃がしたことだけが心残りだったよ。お前らをここで捕らえ、時止めの能力、この俺が利用してやるよ』
化け物がそう言って僕たちに近づく。と、その時。
『自分の子、守れないで』
『親を名乗れるものですか!!』
2つの声が響く。
『な、何だ!?』
化け物の動きが止まった。何かにより捕まったようだ。その声は続ける。
『私達の分まで、生きて! 真!! 勝瑠!!』
僕たちは化け物に近づくと、化け物にあるものをかけた。それは…
『あれ、俺…何してんだ?』
記憶を消す薬だ。これで計画はなくなる。
ボスが記憶のなくなった今、この組織の目的は全てなくなったも同然だった。ヤツを殺すという選択肢もあった。しかしもう、一度未来でヤツを……。
いや、この過去が変われば未来も変わっているはず。未来の僕は手を汚さずに済んでいるはずだ。

「勝瑠。そろそろ…」
僕がそう言うと少し離れたところで何かを見ている勝瑠に近づく。そこには何かがあった。
「これ、母さんのだ」
勝瑠の言葉にハッとなり、それを見た。それはロケットペンダントだった。
「でも…これ開かないや」
勝瑠が寂しそうに呟く。結局化け物の記憶を消しても、僕の記憶が戻ることはなかった。勝瑠はそれに対して僕よりもショックを受けていた。
僕は少しでも勝瑠を励ましたくてそのロケットペンダントを受け取る。
「真兄さん?」
勝瑠は僕を見て首を傾げた。僕が少し力を入れるとそのロケットペンダントが開いた。その時、不思議なことが起こった。脳内に流れ込んできたのは過去の記憶…?

「真兄さん…? 大丈夫?」
僕は勝瑠を見た。僕を見る勝瑠はぼやけていた。
溢れる気持ちが抑えられなかったみたいで僕の目から自然に涙が出ていることに気がついた。
「勝瑠…」
僕はそう言って彼を抱きしめていた。
「真、兄さん…?」
「ぜんぶ…全部思い出した」
僕がそう言うと勝瑠の肩の力が抜けた。
そして2人で泣いた。これは悲しいからじゃない。嬉しいから泣いたんだ。嬉しい気持ちが溢れてしまったから…。

「そろそろ帰ろう」
泣き終わった。やることはやった。勝瑠の言葉に頷く。
『待っている人外たちがいる、未来へ』

2/4/2023, 2:02:50 PM

テーマ:Kiss  #84

囚われていた勝瑠と合流する真たち。真はそこでミッドナイト組織のボス・化け物に出会うーー

『真兄さん! 早く逃げて!!』
後ろの方で勝瑠が叫んでいる。ごめんな、勝瑠。こんな兄ちゃんで。お前のことを今でもはっきり思い出せない。こんなの兄ちゃん失格だよな。
『真兄さん!!』
その声がだんだんと遠のいていく。シャドウのおかげだ。
「僕は僕なりのけじめを」
そう言って、第三の目を開いた。時が動き出す。
正確な時を……。


『なんでだよ、何で。シャドウ、リーリエ……』
僕は絶望した。真兄さんを置いて出てきてしまった。抱えているシャドウが口を開く。
『アイツが…真が、絶対に帰ってくると約束したからだ』
シャドウは、真兄さんがいる方向と反対側に走ったまま言った。
『真兄さんが…?』
『あぁ。そうじゃねぇと俺が許可しねぇよ』
ケケケッと笑うシャドウは、それだけ余裕があるようだ。僕は不思議でたまらなかった。あの体格、真兄さんの2倍はあった。
『心配か? 真が』
『当たり前だろ!』
『そんな弱いやつじゃねぇよ』
シャドウの声色が変わった。表情が見えたわけでもないのにシャドウは、真剣な感じがした。

『ここまで来れば大丈夫だろ』
シャドウはそう言って、僕を下ろす。
『勝瑠、よく聞け。一度しか言わねぇ。これはもう、真とは話をつけてあることだ』
シャドウはそう言って話し始めた。今後のことを……。

数時間後。真兄さんが出てきた。無傷とは言わないが、軽症ですんでいた。
「さぁ、行くか」
真兄さんがそう言うと僕の手を取る。僕は兄さんを見た。そして頷く。兄さんの第三の目が閉ざされる。僕の左手にはいつものように『閉ざされた日記』がいつの間にか失言していた。
『行ってこい。そしてまた未来で会おうぜ、真』
『勝瑠も。気をつけて』
そう言ってシャドウとリーリエが僕たちを見た。
「『行ってきます』」
僕たちはもう一度時を駆ける。


人には、たくさんの思い出がある。
辛い思い出、悲しい思い出。細かく言えば喧嘩したり、いじめられたり、勝負で負けたり……。
一方、楽しい思い出、嬉しい思い出もある。誰かと仲良くなったり、恋人になったり、Kissしたり……。
まぁ、少しマニアックなものも時にはある。とにかく、どんな思い出も時が動くことにより記録されている。それを捻じ曲げることは、本来あってはいけないこと。
しかし、これをしなければ僕たちは今後誰かに怯えて生きなければならない。それには過去を変える必要があった。
だから僕たちは、『1000年』いやその少し前の時へと戻ることにした。

♡1100ありがとうございますm(_ _)m

2/3/2023, 2:26:58 PM

テーマ:1000年先も #83

ララキも加わり人外(ハーフ込)4人でミッドナイト組織へ向かう一同。一方、囚われている勝瑠が見たものとはーー

『おい。お前ら』
一気に空気が凍りつく。僕はゴクリと唾を飲み込んだ。呼吸すらも忘れてしまいそうだ。
『『は、はいぃ!! ボス!!』』
『ちゃんとやってんだろうなぁ!!』
『『はいぃ!!』』
これが…この組織の、ボス。
『お前か。時使いは』
その男はデカい体をしていた。人間ではないしかし、人外でもない。まさに化け物だ。僕はその男から目を離さなかった。いや、離せなかった。
で、デカい…。こんなのと戦ったら、すぐに骨を何本も折られそうだ…。
『お前ら、コイツを出せ』
『はいっ!!』
1人が返事をして、ガチャガチャと鍵を開けようとするが震えている。やばいかもしれない。殺されるかもしれない。怖さで顔が強張りそうだ。もう、強張っているかもしれない。ここで顔をそらせば、一瞬で首を掴まれそうだ。そうなれば……
『早く出ろ!』
鍵をやっと開けた見張りが言った。声も震えている。
出るしかない。僕は歩き出そうとするが後ろに引っ張られる。
『あ、そうだ。忘れてた』
そう言って震える足で入ってくる見張りが、僕を繋ぐ鎖を外した。途端、僕は猛スピードで檻から出る。これは着いてこれないだろう。そう思ったのもつかの間、服を誰かに引っ張られる。
『ゲ、』
僕は掴まれた相手を見てギョッとした。それはあの男だった。
『離せっ!』
僕がジタバタしていると床に叩きつけられる。
『グハッ!』
衝撃が僕の体中を走る。やばい…殺される…。
そう思ったその時
「やめろ!!」
そう声が聞こえた。


「あれは…勝瑠!?」
僕は勝瑠を大きい何かが、押し倒しているのを見た。見張りはなんとか潜り抜ける(倒すこと)ができたが、何だあれは…。
「やめろ!!」
僕が叫ぶと大きい何かがこっちを向く。なんだ…あれ。
『化け物登場ってか?』
シャドウはこんな時もケケケッと笑う。
『全く、本当だったのか。あの噂は』
呆れたように言うララキ。
『勝瑠っ!!』
そう言うリーリエは僕より先を行く。「リーリエ、危ないっ!」そういう前にリーリエは飛び出して化け物に向かう。
『あぅっ!』
リーリエはあっさりと化け物に捕まった。
『やめっ、!』
リーリエがもがいている。
『真!』
「分かっているって!」
僕は第三の目を閉ざす。化け物は止まるはず…が、止まらない。ただ、動きが鈍くなっているのを察するとリーリエを掴む手を掴み力を入れるとデカい腕の力が弱まりリーリエが開放される。勝瑠もシャドウが抱えている。
「みんな、早く行くんだ!」
僕はそう皆に言う。
『真兄さん!』
僕の呼ぶ声が聞こえた。僕は化け物を睨み前に立つ。
『ダメだ! シャドウ!! 離せ!!』
後ろでそんな声が聞こえてくる。ごめんな、勝瑠。僕は勝瑠のことを覚えていないのに…。でも、僕はリーリエとシャドウに教えてもらった。
僕たちはコイツと過去に会っているらしい。


約10万年前。僕たちは生まれた。
それから50年くらい経ったある日、両親と勝瑠と共にクルーズ船に乗った。その時の経験が前に見た夢。あれは過去に実際に起こった出来事なのだ。
それならなぜ、僕はその時のこと勝瑠のことを忘れていたのか。それはこの化け物が関わっているらしい。

船が沈没した理由は、この化け物が行う人体実験のための人間の器集めのためだった。ミッドナイト組織は人間を改造し、人間と人外のハーフを人工的に作り出す悪趣味な組織だそうだ。リーリエは組織内を調べ回り情報を集めたらしい。掴めた情報からこれがわかった。
そしてシャドウとリーリエがともに教えてくれた真実。それは僕も勝瑠も記憶を消されたということだった。人体実験のために沈められた船の中にいた僕たちは、一緒にミッドナイト組織のこの本部に連れてこられた。
人体実験を行うため、記憶を消す作業が行われたらしい。その記憶を消す最中、1人の子供が1人の記憶をなくした少年とともに逃げ出した。それが、勝瑠と僕、真だった。兄弟とも知らない僕は、そのことを知らずただ、勝瑠とともに逃げた。そんなことも僕の中にはなかった。しかしそれは、両親が僕たち兄弟を記憶があるうちに逃がそうとした、決死の行動だったらしい。
僕たちの母親が人外だと知られたことから、人外とのハーフの子どもたちが逃げたと知られ、能力が伝承されている可能性のある僕たちは、追われる身となった。

僕は勝瑠のことを1000年近く、思い出していないらしい。そんな僕はこの化け物に、何もせずに帰るわけには行かなかった。
実は記憶を消された後、一度だけ僕らは時を駆けた。
『1000年先も』行くことができたらしい。
人外の寿命は長い。人間よりも遥かに。

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