いおりん

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8/3/2023, 2:05:23 PM

目が覚めるまでに

体育館の裏で今、カースト高い女子に告白されている。
僕のカーストは中間くらいで頑張ればカースト高い人と付き合えるくらいの位置。本来こっちから告白するのが一般的だが、今回は違う。 もちろん、罠の可能性もある。僕に限ってそんなこと無いと思うのだが、数パーセントでも有り得るなら片隅に置いておこう。
でももし、彼女が罰ゲームとして告白するなら、もっとブスで頭悪くて運動が出来ない人間を抜粋するはず。
なら、やっぱり、本当なのかもしれない!そうに違いない!だって僕はカースト中の上くらいだからね!!
僕は内心ウキウキして、でもちょっと上から目線目線でOKを出した。 その言葉を聴いた彼女は、笑っていた。

7/4/2023, 9:53:46 AM

この道の先に


「それじゃ、また明日ね」
家の外から聞こえる若々しい声。
平和なこの世の中では、人々は、当たり前のように明日が来ると思っている。 そんな保証は無いのに。
 
ボクは朝を迎えるといつも、ここは死後の世界かどうかを確かめる。 詳しく言うと、外はいつもの風景か、身体は正常に動かせるかなどなど、何かに警戒しながらその日の朝を過ごす。ボクは一人暮らしなので、基本的に寂しいのだが、皮肉な事に「それ」のおかげでそんな気持ちは吹き飛んでしまう。
 
昼、「それ」は朝にしか活動しないので昼からは安らかに過ごすことができる。
ただ、夜には「やつ」が活発になる時間帯なので、また警戒しなければならない。
 
「やつ」はきっとボクのような人間を狙っていて、
ターゲットに隙ができたところをプスりするのだろう。
だって人間というのは醜い生き物で、自分勝手でわがままで、思い通りにいかないと、何をするかわからない。
だから、ボクを狙うんだ。嫉妬するんだ。妬むんだ。
「殺せばいいんだ」

今日も彼は、どこで生成されたのか分からない殺意を
どこにいるのかのかも分からない誰かに向けるのだった。

6/13/2023, 10:31:09 AM

あじさい


辛い。ただただ辛い。
高校を卒業し、バイトを初めて約2ヶ月経つが、
もう辞めたい、仕事に行きたくないと思ってしまっている。18歳でありながら、SNSでよく見る「仕事やだ」を痛感してしまった。働く前は、自分の好きな物を扱う仕事だしと思ってはいたが、次第に雲行きが怪しくなっていた。もちろん自分の好きな物に触れている時は幸せすら感じるのだが、いかんせん、私は人と関わる事が苦手なのだ。そのため、職場の先輩との接し方やマニュアルはあれど、お客様の接し方などなど私にとっては難しすぎる問題があるのだ。一応、接客業無しで自分の好きなものに触れられる職業があるのだが、成ることが難しい上に、稼ぎが少ない時と多い時のピンキリ。
つまり、慣れしかない。不運にも私にはお金は必要で
幸運な事に、今のバイト先のお給料がいい。
休憩中そのような事をボケーっと自分の中の上司を納得させる様に考えていると、私よりも少しだけ歳上のかっこいい先輩が、こちらの方を見て、「東さんはこのアニメ見た?」と近くに置いてあった漫画本を指さし問いかけて来た。もちろん私はどう答えていいか分からないので、首を縦に激しく振って答え、以降会話は弾まなかった。それもそのはず、私は、話しかけるな! オーラをとてつもない量放っていたからである。
休憩が終わり、今日も数々の失敗をして、先輩達に迷惑をかけ、恥をかく。仕事終わりの帰り道、失敗した自分への慰めとして、自分の好きな物が展示、置いてあるお店に行く。幸せな時を過ごしながら、やっぱり自分は何かを売るのではなく、消費する方が向いているんだなと感じた。そして、この瞬間のためにお仕事を頑張ればいいんだと気付き、軽い足取りでお店を後にした。

6/8/2023, 11:02:19 AM

岐路


良い子はみんな深い眠りに着く頃、襖の隙間から
光が漏れていた。当時六歳だった僕は、不思議な力で引き寄せられる気がして、意識が戻ると向こうの世界を覗き込んでいた。そこには眠気を飛ぶほどの光景と嘆きが純粋な耳に届いてしまった。簡潔に言うと両親の喧嘩だ。次の日、六歳児の子には到底理解が出来ないような事を母親から言われ、質問をされた。
「私とお父さんどっちが好き?」
「どっちかとしか一緒に居れないとしたらどっち?」
幼い子には難しい質問だ。
「どっちも好き」「みんな一緒がいい」が僕の答え。
もっと大きくなった時に聞かれたかったなと、
今では考えてる。どちらにしてもその後は学園に預けられて、そこまで深く関わって無いのだから、本当はどうでもいいと思っているのだが。
僕に子供が出来たら二の舞にならないように生きようと思った。あの事件も今ではいい経験だったんだろうな。

6/7/2023, 11:28:14 PM

世界の終わりに君と


少々暑い室内。季節が夏という事もあるが、
今、温暖化と隕石落下が問題としてあったからだ。
ある人は天に祈り、ある人は諦めの境地に居たり、
やはり人それぞれだ。戦争が起こる訳だ。
ちなみに僕は割と諦観気味である。
妻と受け入れ、一緒に過ごす。これがこの世界に生きる僕の最後。また来世でも一緒に生きていけると信じて。

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