いおりん

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あじさい


辛い。ただただ辛い。
高校を卒業し、バイトを初めて約2ヶ月経つが、
もう辞めたい、仕事に行きたくないと思ってしまっている。18歳でありながら、SNSでよく見る「仕事やだ」を痛感してしまった。働く前は、自分の好きな物を扱う仕事だしと思ってはいたが、次第に雲行きが怪しくなっていた。もちろん自分の好きな物に触れている時は幸せすら感じるのだが、いかんせん、私は人と関わる事が苦手なのだ。そのため、職場の先輩との接し方やマニュアルはあれど、お客様の接し方などなど私にとっては難しすぎる問題があるのだ。一応、接客業無しで自分の好きなものに触れられる職業があるのだが、成ることが難しい上に、稼ぎが少ない時と多い時のピンキリ。
つまり、慣れしかない。不運にも私にはお金は必要で
幸運な事に、今のバイト先のお給料がいい。
休憩中そのような事をボケーっと自分の中の上司を納得させる様に考えていると、私よりも少しだけ歳上のかっこいい先輩が、こちらの方を見て、「東さんはこのアニメ見た?」と近くに置いてあった漫画本を指さし問いかけて来た。もちろん私はどう答えていいか分からないので、首を縦に激しく振って答え、以降会話は弾まなかった。それもそのはず、私は、話しかけるな! オーラをとてつもない量放っていたからである。
休憩が終わり、今日も数々の失敗をして、先輩達に迷惑をかけ、恥をかく。仕事終わりの帰り道、失敗した自分への慰めとして、自分の好きな物が展示、置いてあるお店に行く。幸せな時を過ごしながら、やっぱり自分は何かを売るのではなく、消費する方が向いているんだなと感じた。そして、この瞬間のためにお仕事を頑張ればいいんだと気付き、軽い足取りでお店を後にした。

6/13/2023, 10:31:09 AM