いおりん

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岐路


良い子はみんな深い眠りに着く頃、襖の隙間から
光が漏れていた。当時六歳だった僕は、不思議な力で引き寄せられる気がして、意識が戻ると向こうの世界を覗き込んでいた。そこには眠気を飛ぶほどの光景と嘆きが純粋な耳に届いてしまった。簡潔に言うと両親の喧嘩だ。次の日、六歳児の子には到底理解が出来ないような事を母親から言われ、質問をされた。
「私とお父さんどっちが好き?」
「どっちかとしか一緒に居れないとしたらどっち?」
幼い子には難しい質問だ。
「どっちも好き」「みんな一緒がいい」が僕の答え。
もっと大きくなった時に聞かれたかったなと、
今では考えてる。どちらにしてもその後は学園に預けられて、そこまで深く関わって無いのだから、本当はどうでもいいと思っているのだが。
僕に子供が出来たら二の舞にならないように生きようと思った。あの事件も今ではいい経験だったんだろうな。

6/8/2023, 11:02:19 AM