北野レイ

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3/28/2025, 3:32:18 PM

小さな幸せ

「これあけて!」
幼い娘が紙皿が入った袋を持ってきた。
どうやら、それで遊びたいらしい。
開けて1枚渡すと、ありがと!と言ってどこかへ行ってしまった。
しばらくしたら、部屋から出てきた。
「みてみて!これ娘ちゃんがはったの!」
紙皿の周りにはキラキラとしたシールが外側に隙間なく貼られている。
「わっ!凄いね!綺麗だね!」
私は思わず声を上げた。
それはまるで、娘の心の内側を表してるようで、母である私も嬉しくなった。

3/25/2025, 3:21:39 PM

記憶

私の記憶は1日持たない。
約1年前くらいらしい。
らしいというのは、自分の日記にそう記してあったからだ。
それは、今一緒に住んでいる彼と出逢った頃かららしい。
彼は私に一目惚れして、今はせっせと私の身の回りの世話をして、私の生活費を稼いでくれている。
正直ありがたい話だ。
それと同時に申し訳ない気持ちにもなる。
私は自分のことで精一杯で、彼の気持ちには一切応えられない。
何も与えられないのだ。
彼は、君は君のままでいい。
僕のそばにいてくれさえすればいいんだよと言ってくれた。
でも、私は申し訳ない気持ちで押しつぶされそうだ。
私は寝る前に今日あった出来事を日記に書いたあと、ノンカフェインの紅茶を飲み干した。



紅茶が入ったティーカップが二つローテーブルに並んでいる。
片方は、転がっていて、テーブルを濡らしてしまっていた。
その下にはソファーにぐったりと横になる女性がいる。

やった、やっと彼女が手に入った。
僕は彼女の恋人でも、友達でも、親族でも何でもなかった。
ただ、たまたま駅ですれ違って一目惚れした。
色素の薄い茶色の瞳、キラキラと陽光に照らされた髪の毛。
ひと目見た瞬間、彼女しか僕の隣にいる人はいない!と強い衝撃が走った。
僕は彼女を尾行して、彼女の生活拠点や、人間関係を知り、偶然を装い、彼女と知り合いになった。
そして、友達と呼べるくらいにはなった。
部屋へ呼び、紅茶を飲ませた。
これにはとある薬が入れてある。
彼女は眠っているが、単なる睡眠薬ではない。
記憶喪失になる薬だ。
記憶は1日しか持たない。
これは僕がこっそり開発した薬で、世界のどこにもない物だ。
それを飲ませた。
彼女はきっと、僕のことだけを頼り、やがて僕だけを熱い目で見つめることになるだろう。

3/20/2025, 4:05:48 PM

手を繋いで

幼い子供と手を繋いで歩く。
近所の公園や、最寄りスーパーや市民センター、病院など。
小さな手は段々と大きくなり、あと数年もしたら手を繋いで歩くことはなくなるだろう。
私自身はあまり成長はしないのに、子供はどんどんと心も体も大きくなっていく。

成長は嬉しいけれど、何故か、取り残された気分になる。

ああ、やっぱり私の心は昔、母に傷付けられた幼い少女のままなのかもしれない。

せめて、子供の心は傷付けないようにしたい。

私の二の舞いにはなってほしくないから。

3/17/2025, 10:58:09 AM

叶わぬ夢

中学生の頃だろうか、小説家になりたいと思った。
でも、それは叶わぬ夢だ。
中学生にもなると自分の実力は大体分かってくる。
それでも30代の今、その夢は叶わぬ夢ではなく、叶えたい夢になった。

何故だろうと考えた。

子供が出来て、私が誇れるもの、何か自慢出来るもの、そういうものが一つでもほしいと思ったからから。

私の中で唯一褒められたのが、文章力があるということ。
話を文章でまとめることは他の人よりは得意かもしれない。
その代わり、他のことは何をやっても上手くいかない。
だから、私はそれを伸ばすことにした。

とはいえ、ブランクもあるし、そもそも長編はまだ書けるほどの実力はない。

それに、私は元々ショートショートストーリーや、短編が好きだ。
短い文章の中で伝えたいことを上手く伝えるほうが楽しい。

今はショートショートや短編のコンテストをひたすら探して、お題や、〆切、文字数など最低限の情報をまとめた。
それを書いていこうと思っている。
すぐに結果は出ないとは思う。
でも、やれるだけのことはやりたい。

2/23/2025, 3:58:09 PM

魔法
この世界には魔法なんて便利はものはない。
ただ、魔法みたいなものなら沢山ある。
例えば、愛しい君が嬉しそうに笑ったとき。
落ち込んだときに誰かがそっと寄り添ってくれたとき。
この世界にある魔法は、手に入れるのは簡単そうで難しい。
自分自身もこの魔法を使えるようになりたいし、そうすることで、誰かがまた私に魔法を掛けてくれるはずだ。

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