まって
「待ってッ!!」
幼馴染の優子に横断歩道を渡ろうとしたら呼び止められ、腕を引っ張られた。
「ッ!?」
急に強い力で引っ張られたから体勢を崩してそのまま優子にのしかかる状態に。
「キャッ!?」
「うわっ!わ、わりぃ…」
思わず離れる。
後ろからは信号無視したトラックがゴーッと音を上げて通り過ぎていく。
「もしかして…助けてくれたのか…?」
「よかった…間に合って…」
優子は安堵で涙を流している。
確かに引かれたら最悪だと俺の命はなかったかもしれない。
「一億5989回目だったの…」
「え?何が?」
何だその途方もない数字は。
「私、結城を救おうとして、でもいつも救えなくて、一億5989回目のループでやっと救えたの…ッ!本当によかった…ッ!!」
急にこんな話をされても俺は信じる人間ではない。
でも、幼い頃からの幼馴染の優子は真面目で、こんな冗談言うタイプではい。
優子はしゃっくり上げて泣いて俺を全身で抱き締めている。
俺はどうすればいいか戸惑い、とりあえず抱き締め返して頭や背中を優しく撫でた。
5/18/2025, 2:07:47 PM