海が見たかった。
人を愛してみたかった。
自分みたいな奴にも、心はあるの。
そう…………
たとえ、自分のように小さな蟻でもね!!
毎日毎日、仲間が「今日も人間に踏まれそうになった」って死にかけながら帰ってくる顔を見ている自分は、『人間は恐ろしいもの』だと思っていた。
本当にやめて欲しい。
今やこの世界の支配者は人間みたいな風潮がある。
まあ認めざるを得ない、だって彼らは彼ら同士で質の高い意思疎通ができるんだから。
彼らは自分たち蟻とは話せないし、なんなら犬とか猫とかしか話せない…と思う。
『心』は誰にでもあって、時に傷が付くけど、時に愛で埋まる。
そんな心が、蟻にもある。
「俺最近海?行ったんだけどよ、青すぎてよ」
これは、最近自分の友達の犬から聞いた話だ。
海という場所、その存在を知ったのはこの話がきっかけだった。青い色をする『海』。
どんな景色なのだろうか、と好奇心が芽生えた。
「じゃあ、今度自分も連れてってよ。背中に乗せてもらえれば、自分も行けるんじゃない?」
「おぉ、確かにな。今は長い時間主人といれるからな、日は近いと思うぜ。絶対ぇ行こうな!」
「約束だよ」
「てなわけで今度犬とデートしに行くので、この家は君に任せるから」
「ええ……」
「聞こえてるけど」
「何も言っておりません。私めにお任せください。
何も心配することはございませんので、どうぞ楽しんでお過ごしください」
「ありがと。
………蟻だけに」
「女王様それは」
#2024.8.23.「海へ」
蟻(女王)と犬(ダチ)と蟻(部下)。創作。
なんか適当に書き出したらこうなりました。
女王様は「ですわ!」口調じゃないです。
表裏一体。
この言葉って結構当たってると思う。
表だけ良いツラでいても、どこかで裏の顔…ボロみてぇなもんが出る。
たまにこの言葉を体現するヤツもいるけどな。
でも"表"って"裏"だ。
どう足掻いても、どうもがこうとも、やっぱりどうしても無理な場面はある。
だったら最初から表裏一体で過ごせばいいじゃんと思う時もあった。
でも実際は、多少演じないとやってらんねぇ。
表は裏。
切れそうで切れないこの強い繋がりって、一生自分と付き合っていくものだと思うんだよね。
#2024.8.22.「裏返し」
「一緒に好きに飛ぼうな」
そう言った犯罪者。
彼に翼なんて生えてはいないのに。
気の良い奴で、お人好しで、仲間想いで。
さいごの最期まで、彼は、彼の仲間を護ろうと涙を流して。
一生懸命に叫んで。
彼が決めた道だった。だから俺なんかの説得なんて聞き入れてはくれなかった。当然だと思った。
選んだ道は悪だった。でも心そのものの本質には、それにあるのが小さな欠片だとしても、ヒーローだった。どこまでもやさしい奴だった。
仲間の為に生きて、護って、死ぬことが、彼の歩んだ「幸せな人生」だった。
鳥のように自由に飛べる俺だから。
あなたとも、手を取って飛べたらな、って。
#2024.8.21.「鳥のように」
hrak。
「そんな顔すんなよ笑 死にたくなっちまう」
「やだよ、やだ、やだ…!まだ…あなたと…!」
「ああそう、別れの言葉を言う前に……言いたいことがあったんだ」
「………なに?早くして、」
「はいはい。…実はさあ、うん、やっぱり…ずっと一緒にいたかったんだ」
「っ、ねえ、」
「早まるなよ。…もし、生まれ変わってまた出会えたら…その時は必ず、好きだったって伝えてやるよ」
「………ぁ、ああ、ねえ…、ねえ…!」
「じゃーな」
炎の火は燃え盛って消えないまま、呑気で、平和な世界は進んでいた。
さよならを言う前に、伝えたかった言葉があった。
「 」
#2024.8.20.「さよならを言う前に」
どっちが死ぬ側?
また、あの執事と夢で会う。
知っているのは燕尾服を着ていることと「アイザック・ガーデン」という名前。名前からしてどこか海外の執事であることは間違いないのだが、何故か毎回夢で会う場所はその執事の部屋、しかも日本語が通じるのである。
初めこそ「ついに性癖が夢にまで現れてしまったのか」と動揺した。でも夢にしてはちゃんと会話しているので、きっと向こうも存在する人間なのだろう。
アイザックが海外の人というなら、この先の人生で出会う確率はほぼゼロに等しい。なので自分は生意気だと思われるだろうが上手く使えないよりマシだ、と敬語を使っていない。
そんなわけで、冒頭に戻る。
「それ、捨てないの?」
「え?ああ、この鏡のことですか?」
「うん。」
「捨てません。 " 捨てられ " ません。」
「理由を聞いてもいい?」
「……君にはまだ理解できませんよ。
…それと、お願いですが、こいつには絶対触らないでください。触らせないでください。」
「わかった。…触ったらどうするの?」
「殺します。俺の世界で、一番大事な物に触れるんですし。何も知らない第三者に触れられてしまうのは、俺とその鏡の想い出を穢すのと同じです。」
「ふーん。大事な物なんだね、それもあんたの世界で一番に。」
「…俺にとっての " 世界 " が、周りから見てどれだけ小さくても、俺には大きく見えたんです。」
「まるでアイザックの世界に鏡しかなかったみたいな口ぶりだね?」
「まあ、大雑把に言ってしまえばそうですが。」
「この鏡の向こうへいくまで、俺が、………」
「…ザックは、その鏡の持ち主だった人の執事?」
「いいえ。…もうこの話はよしましょう。」
「………ごめん。」
「夢ですから、君に知られても別に大丈夫です。
でもそれは今じゃなくてもいいでしょう。
それに、ちゃんと俺が言えないのではあの鏡も、…君も困るでしょうし」
「………。」
「さて、そろそろ仕事ですので、また。」
「あ…はい。」
「………まーじで誰やねん…。」
夢も醒めて起き上がる。
数回頭を掻いて自室のカーテンを開けた。
「…………………はぁ。」
深呼吸をして朝日を浴びる。
いつもは綺麗に見えた青空だったけど、今日は雲が出ていて少し濁った青をしていた。
「あの鏡……どういうことなんだろう」
#2024.8.20.「いつまでも捨てられないもの」「鏡」「空模様」
創作夢の執事と多分学生。
てか思ったけど海外の人間なら寝る時間違くね?
いろいろお題詰め込んだらちょっと長くなっちまったぜい…。