汚水藻野

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 「一緒に好きに飛ぼうな」
 そう言った犯罪者。
 彼に翼なんて生えてはいないのに。
 気の良い奴で、お人好しで、仲間想いで。

 さいごの最期まで、彼は、彼の仲間を護ろうと涙を流して。
 一生懸命に叫んで。

 彼が決めた道だった。だから俺なんかの説得なんて聞き入れてはくれなかった。当然だと思った。
 選んだ道は悪だった。でも心そのものの本質には、それにあるのが小さな欠片だとしても、ヒーローだった。どこまでもやさしい奴だった。


 仲間の為に生きて、護って、死ぬことが、彼の歩んだ「幸せな人生」だった。

 鳥のように自由に飛べる俺だから。
 あなたとも、手を取って飛べたらな、って。

#2024.8.21.「鳥のように」
 hrak。

8/21/2024, 2:00:08 PM