わたしもようのそら
私が泣くと、そらも雫の数々を落とした
私が笑うと、そらのお顔も晴れわたった
それって、すごく素敵なことに思われる
ねぇ、そら。なんて、静かに問いかける
なあに。なんて、上目遣いで答えてくる
そらに向かって、私が右の手を伸ばすと
そらは、その手を確かにぐっとにぎった
このまま、手を繋いで生きていこうと、
私はにこやかに、そう思うのであった。
身体投棄未遂
いつまでも捨てられないものといわれて、真っ先に思い浮かんだのは、自分の体だった。布団の中で、まるで胎児かのように丸まっているこの肉塊のことであった。
もし、この体を捨てるのなら、燃えるごみに出せばよいのだろうか。しかし、どうだろう。不完全燃焼のまま、何年も過ごしてきたこの体はきっと、簡単に燃えないに違いない。とはいえ、再利用なんてのはもってのほかである。
粗大ごみ、というのも悪くないかもしれないけれど、私は矮小な存在なのだから、ごみ袋に軽く三人は入れる。やっぱり、燃やすのがよい。
まあ、こんなことを考えても結局、いつまでも捨てられないのだけれど。
花咲いて、花散る
ディアスポラのおかげだろうか。
この地にも、やっと花が咲く。
土、水、とっておきの陽光を注がれて。
咲く、咲く、花が咲く。
花が咲いて、花が散る。
丸っこい、ちっちゃな種を残して。
あなたが落ちてくれさえ、するのなら
季節外れな、でも綺麗な花火が地面に咲いた。ひゅーと落ちて、どんっと散った。
私はそれを見下ろしていた。突っ立つ私の周りで微かに蠢いていた澱んだ夜の空気が、花火が散ったのと同時に滑らかに動き出してどこかへ消えていく。これで私は他と同じになって、また健やかに生き始めるだろう。
ふと、腕時計を見る。夜闇に溶けた針を目を凝らして見つけ出すと、もう夜はそれほど残されていないとわかった。私は屋上の縁に立ったまま、欠伸をする。眼下遠くに見える赤が月明かりに照らされて素敵だった。
にわかに風がやってくる。後ろから私の背中を押すみたいにやってくる。落ちるのも嫌なので、私は屋上の縁から離れ、それから服についた皺を手で伸ばした。もうここに用はない。私は鉄でできた重い扉に近づくと、その内側の鍵穴にしっかりと鍵を挿す。少し風が強いのが不安だが、自然に扉が閉じることはまあ、ないだろう。
私は屋上を後にした。
未だ最悪じゃない
空がぼんやり遠くて、地面があまりにも近い。辛くて、暗くて、苦しい感じ。自分がどこにいるのかも忘れてしまったようで。
でも、困ったことに状況ってやつはいつでも最悪じゃない。もちろん悪くて悪くて、悪いのだけれど、最悪じゃない。人は絶望にも裏切られるって、あれ言ったの、誰でしたっけ。
実際、私たちは心の中ではわかっているのでしょうね。期待しているのでしょうね。絶望に裏切られる、その瞬間が来ることを。
だから、私は思う。きっと、状況は未だ最悪じゃない。