ノブメ

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2/20/2023, 3:12:29 PM

誰かの苦しみを食べた
誰かの怒りを飲んだ
誰かの痛みを舐めた
あの娘の悲しみを平らげた

とても甘い味がした
脳がふわりと溶けた気がした

誰かの感情を夢中で求めた
美味しくて
美味しくて
美味しくて
美味しいフリをして

私は動けなくなった
吐き気が止まらない

誰かの苦しみを
誰かの怒りを
誰かの痛みを
あの娘を悲しみを

気持ち悪くて
我慢出来なくて
飲み込んだものを全部吐き出す
私は汚れていく、汚れていく

汚れた私の苦しみ、怒り、痛み、悲しみ
誰もそれを食べてくれない

私のはきっと美味しくないから
皆のと比べて美味しくないから

私はどんどん、汚れていく

「−同情−」

2/20/2023, 3:45:06 AM

天に昇っていく煙を眺めていた
煙突から真っ直ぐに立ち昇る煙

その煙が、少し揺らいだ
髪を乱す風にのって
足元に落ちる一枚の落ち葉がはらり

側には紅く染まった葉っぱで飾られた
紅葉の木が一本

鮮やかな色のその紅葉の木は
風に吹かれて落ち葉を散らす

それらが安っぽく散っていく様は
とてもとてもよく泣ける

使い捨ての涙を流すことを
私は強く望んでいる

私から切り離された空想で
私から切り離された現実で

何かの今日が消される度に
私の今日が息をする

「−枯葉−」

2/19/2023, 6:41:23 AM

待合室の自動販売機でジュースを買って
本を読んで、水を飲んで
日記を書いて

なんだか眠くなってきた
何も生み出さなかった私
ごめんなさい、おやすみなさい

***

朝起きた
洗面台で、顔を洗って、口をゆすいで
水を飲んで
ベッドでボーッとしてると
窓のカーテンが開けられて朝食が運ばれてくる

今朝の献立
食パンとジャムとサラダとヨーグルト
不味くはないけど
不味くはないけど

廊下を散歩して、本を読んで、水を飲んで
またベッドに戻ってボーッとしてると
昼食が運ばれてくる

今日の献立
−割愛−
そんなにお腹空いてない
こんなに食べれない

中庭を散歩して、本を読んで、水を飲んで
またベッドに戻ってボーッとしてると
夕食が運ばれてくる

今晩の献立
野菜スープ
量が少なくて丁度良い

待合室の自動販売機でジュースを買って
本を読んで、水を飲んで
日記を書いて

なんだか眠くなってきた
何も生み出さなかった私
ごめんなさい、おやすみなさい

***

朝起きた
洗面台で、顔を洗って、口をゆすいで
水を飲んで
ベッドでボーッとしてると
窓のカーテンが開けられて朝食が運ばれてくる

今朝の献立
食パンとジャムとサ

「−今日にさよなら−」

2/18/2023, 9:51:27 AM

金曜日、大通りのコーヒーショップ
いつも頼むドリンクをトールで買う

席を取って夜の車道を眺めると
窓に映るメガネをかけた私

オーバルフレームのメガネ
耳についた大ぶりのフープピアス
足首丈のロングトレンチコート
手に持ったホットの豆乳ラテ

考えていないふりしてるけど
私が気に入っているもの全部
君が好きだった物、結局

そりゃそうだ、君と紡いだ長すぎた歴史
どこを見ても君の糸が編み込まれていて
ほつれる糸を引っ張っても
糸を切り離すハサミが見当たらない

時間が経てばきっと忘れるだろう
その時に残った私の服は
どこかで売り飛ばせたらいい

これはどうでもいい道化話

私のお気に入りはいっぱいあるけど
君のお気に入りにはなれなかったね

「−お気に入り−」

2/16/2023, 4:02:16 PM

死屍累々と積み上がる
赤い血染めのシャレコウベ
骸骨で出来た小山の上に
ソレは独りで立っている

髪は逆立ち、目は吊り上がり
切れた皮膚から血が滲む
かつて身につけていたものは
ほとんど全てが削げ落ちて

資格があるのは一人だけ
何にも優る者だけが
君を所有するだろう

誰が言い出したわけでもなく
気づけば始まる殺戮ショー

手にしたナイフを強く握って
君の為に刃を振るう

私は誰よりも強く、賢く、優れている
私は誰よりも君を手にする権利がある
私は誰よりも風雅で優雅
私は誰よりも×××で×××

全てが終わったそのあとに
唯一残った君のこと

私だったその生き物は
黒い血が滴るカギ爪で
君のその腕に手を伸ばす

私だったその生き物は
この世界で誰よりも

「−誰よりも−」

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