もうすぐ春が来るという時期に、タンスの断捨離をしていると、普段は使わない引き出しの奥に懐かしい香水を見つけました。
高くもない、知名度もない、ひどく甘ったるい。そんな香水。
けれど誰とも会わないことをいい理由に、ひと吹きしてみました。
匂いはたぶん、香水を纏っていた当時の記憶が蘇らせる力がある。
4年間好きだった彼のこと。
今は疎遠の、無愛想で理屈ばかりの友人のこと。
今は流行らないであろうシンガーソングライターのあの曲。
だから私は何かの区切りに身に纏う香水を変えることにしています。
大好きな彼を思い出すため。
当時の感覚を取り戻すため。
大切な記憶を忘れないため。
いいえそれよりも、
私が私を失くさないように。
現役学生の頃から油物が苦手であった。
苦手、という表現が適しているかと言われるとそうでは無い気もするが。
なぜなら油物自体は好きであったから。
豚カツも唐揚げも焼肉も好きだった。
だが1つ、舌は好んでいても体、内蔵が全否定をすることが問題。
歳のせいとは言い難い現役頃から油物を食べると決まって深夜腹を下していた。
予兆の感覚は空腹に近いので、特に薬を飲むことも無く眠りにつくものの、ある一定の時間になると(2時3時が多かった)激痛に悩ませられる。
そんな夜に共通していることは、外食をしたか、油物を食べたかであった。
試しに食後薬を飲んで対策をしてみたことがあるが、大して意味もなく
結局、朝決めたはずのTo-Doリストは未達成に終わってしまった。
残された時間は2時間。
なんとかあと1つ進めるだけの時間はあるものの、それを進めるだけの気力は残っていないらしい。
そういえば、今日ふと思ったことがある。
「過ぎる時間が長いほど劣等感に押し潰されそうになる。」
幼い頃から自分はポジティブであると、前向き思考であると、そう思っていた。というかきっと、自分で自分に言い聞かせすぎてしまった。
自分をよく認め、よく愛し、よく褒める。
そんな人間になることに、変に理想を抱いてしまった。
でも正直、こんな仕事をしているとそうなってもしょうがないのかとも思う。
常に横ある人と比べられ、第三者から成績をつけられる。
10点満点だと99人に褒め称えられても、1人に0点だと言われてしまったらそれだけが何処かで深く残っている。
いちいち傷ついている場合では無い、気にしている場合では無い。
わかっている、わかっているけれど。
誰かと比べられるということはそれくらい、残酷で劣等感と横合わせなことなんだ。
もっと面倒なのは好きという感情に理由が分からないことだと思う。
例えば、学生時代に友人と好きな異性のタイプについて語り合ったことがあった。
友人はぱっちり二重で肩幅のある、少しやんちゃな人が好きと確かに言ったが、結婚すると連れてきた相手は理想と正反対の人だった。
否定はしていない、寧ろ驚いてしまった。
理想とはあくまで理想で、誰がどんな人を好くのかはわからない。
ここでわかるのは、わざわざ好きな相手のタイプに合わせる必要はないということ。どんな容姿でもどんな性格でも、なるべくしてなるのだ。
なんとも難しい。人に好かれるというのはなんとも、、、
答えがないからこそ悩みは終わらず。
これだから1度空いた穴は塞がらない。
文学とは。
そもそも文学とは簡単に、言語によって表現される芸術作品のことを表す。
ところで文学は何故誕生してしまったのか。
古代の人々は自分の思想や趣を綴ることに何を求めたのだろう。
高揚か、享楽か、或いは優越感か。
さあ文学王国にお住みの皆さん、はじめまして。
そうですね、この国では自称を「訪問者」にでもしましょうか。
まず、文字をなぞることがお好きですね?
細ければ細かいほど、長ければ長いほど、けれど単調であってはつまらない、言葉にならないような感情に揺られ、ただひたすら流れるような文字の羅列に魅力を感じてしまう。
1種の病とも呼べる「それ」を好んでいますね?
ある年の夏。
まだ訪問者はランドセルを背負っていました。
家の大黒柱…青年としよう。
その青年と近くの書店まで足を運んだ時のこと。
本格的に文字を習って間もなかった当時の訪問者は当然、ちゃんと文学なんてものに触れたことはなかった。
(前述のように言語によって表現される芸術作品という括りで言ってしまうのなら国語の教科書であったり、なんなら絵本でさえももちろん文学に当てはまるのだが、これが文学だと意識するようになったのはあの夏以後のこと。)
そんな訪問者を見計らって青年が勧めてきたのは1冊の小説だった。
初めて文学に触れるには、とても向いていないというか。
挿絵もなく、文字も小さい1冊だった。
でも不思議とその訪問者は否定しなかったのである。
手に取ったその瞬間、未来を感じてしまった。
その頃からだろうか。
訪問者は文学に触れる、文字をなぞるという行為に取り憑かれてしまった。文学に触れれば、自分より何倍も世界を知る他者の人生を知ることができた。
まるで冒険だった。海の旅が終わったのなら山へ行こう。山での旅が終わったのなら宇宙へ行こう。文字の中でならヒーローになれた。夢があたかも簡単に叶うようだった。
ただ1つ。
訪問者ほ難点を見つけてしまった。
文字をなぞることに慣れてしまい、文字を綴ったことがないぞという事である。
これは大問題だ。
今すぐ解決すべき案件だ!!!
2022年12月23日
初夏の香り。
ゆずの葉が揺れた。
貴方はこうして、昔の人に会いたくなるのね。