翠蘭

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6/8/2024, 12:41:47 PM

道は1本ではない
まるで木のように
何度も曲がっていて
何度も枝分かれをしている
そうでないと光には辿り着けないから

歩みを止めなければ
ただ光を追い続ければ
いずれ輝かしい世界に辿り着くだろう

ただし勘違いしてはいけない

光は人生じゃない
ただ光を追い求めた
あなたが育てた木
それがあなたの人生だ


はたしてどんな木を

あなたは育てるのだろうか


「岐路」

6/7/2024, 12:48:07 PM

雲一つない快晴
丘の上で地面に座り込む2人
俺は少し腰を丸めた
俺より少し低い肩を
背筋を張って寄せてくるから

ただ黙って辺りを眺める

下に建ち並んでいた建物は跡形もなく崩れ
人々の喧騒に塗れた交差点も
今では静まり返っている

見たこともない明るい
流星群が降り注ぐ
もちろん俺たちの方にも

綺麗だね。

小さな頭に俺の頭を重ねて
そう問いかける


繋がれた手は硬く握られていた



「世界の終わりに君と」

6/6/2024, 4:16:34 PM

頁を捲る手を止めて小さな窓を眺める

昼か夜かも分からない曇天
今にも雨の降りそうな湿っぽい空気

頭痛が止まらない
目を閉じると今でも鮮明に思い出す
まるで悪夢のように
何度も
何度も

救急車の音が近づいてくる
俺は大きく息を吸い
止まりそうな心臓を必死に動かす

大丈夫、大丈夫だ。

ただひたすら自分に言い聞かせる

救急車の音が遠のいていくと
再び身体が正常に働きだした気がした

今日はオール確定だな、

張り詰めた筋肉を意識的に緩めながら
開いていた頁に変色した銅の栞を挟む
本を丁寧に机の上に置くと
空のマグカップを持って立ち上がった

机の上には読み込まれた本と
冷めた紅茶の入った色違いのマグカップ


「最悪」

6/5/2024, 1:02:32 PM

窓から差し込む光がキラキラ輝いて
渋い声のおじいちゃん先生がBGMを奏でる

わたしは斜め前に目を向ける
少し猫背な背中
机の中に窮屈そうに詰め込まれた足
脇腹にシワの寄った白いワイシャツ
軽く座り直して窓を眺める横顔

とっさに教科書を立てて顔を隠す
「やばい。見すぎた。」
少し教科書をおろし、さりげなく周りを確認する
「バレてなさそう。セーフ。」
頬が緩み、小さくため息をつく

そしてまた一点を見つめる


これはわたしだけの秘密




「誰にも言えない秘密」

6/4/2024, 2:08:52 PM

手に馴染まない鍵を握りしめて
見慣れない扉を開く

窓から差し込む眩しい光
少しくすんだアイボリーの壁
艶のあるナチュラルなフローリング
所狭しと敷き詰められた段ボール

ここは大都会にひっそりと佇む小さな孤城
わたしと苦楽を共にするであろう唯一無二の相棒

わたしは姿勢を正し、静かに一礼した。



「狭い部屋」 by 翠蘭

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