「悲しい」なんて可愛いものじゃない。

「苦しい」なんて単純なものでもない。

「痛い」なんて安っぽいものでは語れない。


人で溢れかえるこの世界で
たった1人になってしまったよう。

底のない沼に沈んで
呼吸ができなくなってしまったよう。

つたに縛られた身体を鋭い刃で
跡形もなく切り裂かれてしまったよう。


そんなものじゃないんだ
この気持ちは

誰にも分からないんだ
この感情は

誰にも伝えられないんだ
この想いは


たとえ、どんな言葉を使ったとしても。

　

「失恋」by 翠蘭

「私」はみんなに囲まれている
わたしは笑顔を振り撒く

「私」はみんなに褒められる
わたしはウソを吐く

「私」はみんなに頼られる
わたしは振り回されていく

「私」はみんなの憧れの存在である
わたしと「私」が離れていく


息ができない



「正直」　by 翠蘭

空が曇る
わたしの心も曇る

低い天
閉塞的な空気

大きくて重たい雨粒が
日々、わたしを叩きのめす

さあ、今こそ傘を開いて
わたしの色で、夢で
鈍色の世界を彩ろう

澄み渡った空を
思い切り羽ばたける

その日まで


「梅雨」　by 翠蘭