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4/21/2024, 11:12:09 AM

雫って聞いたら、何を思い浮かべる?

「うーん、涙とか、雨とか」

「汗、とかもいいんじゃない?あと、ペットボトルとかで表面が濡れるやつ……結露、だっけ?」

そうそう、あとは……と無限に続く連想ゲーム。

物語を書く仕事をしている貴方の、なにか役に立てないかなと思って、このゲームを提案したのだ。楽しくてお酒も進むし。

「最近手進まなかったからさ、とても助かるよ。やっぱり、考えたり、想像したりって、楽しいね」

貴方は小さい頃から変わらない、純粋な笑顔を私に向けた。

「そうだね。でも、雫か……もう思いつかないや」

「うーん、じゃあ雫ってどんなイメージ?」

「えぇ?イメージか」

雫、パッと思いつくのは、雨と涙。捉え方によっては、雨も涙も、明るいイメージにはなる。でも、第一印象はやっぱり、暗くて悲しい。

「暗くて、悲しい……かな」

「へぇ。ちなみに私は、綺麗とか、美しいとかかな」

あまりマイナスなことを口に出さない、貴方らしい回答だと思った。

すると、貴方は窓を見た。

外では、しとしとと雨が降り始めていた。

「あ、雨」

「ほんとだ」

最初は穏やかに降っていたのに、段々と地面を強く打ち付ける音が聞こえてくるほど、強い雨になっていった。

「力強い……」

「ん、どうしたの?」

「いいや、なんでもない。いいアイデア思いついちゃった」

そう言って、貴方はスマホを取り出して人差し指を滑らせた。そして、とんとんとリズム良く文字を打っていた。

私は、何も言わず、その姿を見ていた。

4/20/2024, 12:12:25 PM

何もいらない。

といえるほど、私はこの人生に満足してない。

本音を言えるほど仲のいい友達が欲しいし、やり甲斐のある仕事が欲しいし、夢中でいられる趣味が欲しいし、あと……。

なんて、私は強欲だと思う。

でも、求めてしまうのは、今の人生に満足していないから。

それなら、欲しいものを手に入れるために努力をする。

何もいらないと、言えるようになるまで。

4/19/2024, 10:34:48 PM

もしも未来が見えるなら、

未来の自分がどんな仕事をしているのかを見たいな。

ちゃんと、夢を叶えているのか。

それとも、他の生き方を見つけたのか。

楽しみだけど、ちょっと不安かも。

4/18/2024, 12:27:03 PM

貴方の見ている世界は、どれほど色鮮やかで、美しいのだろう。どんな、世界が見えてるんだろう。

「えぇ?うーん、なんて言えばいいのかなぁ?」

貴方は人差し指を口に当てて、右下を見つめた。私が見えている世界は白黒に見えるけど、それでも貴方の美しさは伝わってくる。

「そうだな、とってもカラフル……って、そういうことじゃないよね。うーん」

貴方を困らせるつもりは無かったけど、貴方は言葉をつまらせてるようだった。

「貴方は、色が見えないんだよね。無色の世界……どんな、世界なんだろう?」

「私の、世界?」

考えたこともなかった。私は、なんとかして言葉を振り絞った。

「何も感じたことは無いけど、貴方が見ている世界と私が見ている世界が違うって思うと、なんだか、つまらない世界だなって思う」

「……じゃあ、きっと、貴方にとって、私の見ている世界は、とっても楽しくて、キラキラしていると思う」

当たり前になった無色の世界。つまらないという感情さえ抱かなくなったけど、貴方の話を聞いて、もっと今の世界がつまらなく思えたし、貴方がキラキラしているように見えた。

「いつか、一緒に見ようね。色んな景色をさ」

そう言って、貴方は私の手を握った。

無色の世界でも、貴方の笑顔は色鮮やかに輝いているようだった。

4/17/2024, 10:20:06 AM

桜の人生は、短い。

「私の人生は、あと何年かな?」

「さぁ?でも貴方のことだし、100歳超えそうだけどね」

「えーそう?」

それぞれ、なりたい職業について、一人暮らしをして、新しい人間関係にも慣れて、なんだかんだ充実した日々を送っていた。

そして今日の夜、貴方と駅で合流して、私の家で飲もうという話になった。その道中に、儚く散っていく桜の姿がとても印象に残ったのだ。

「美しいものは、すぐ枯れる。人間もきっと同じよね」

「……そうだね」

肯定したくなかったから、曖昧に返事をした。

だって、貴方は美しい人だから。それが本当なら、貴方はすぐ散ってしまう。

「ま、そんなのどうでもいいよね。そんなことよりさぁ、今日同僚がね!」

こうやって、貴方と楽しく会話をしたのが、今日で最後になった。

桜散るこの夜、貴方は家に帰る途中で車に轢かれたらしい。

やっぱり、美しいものは、すぐ枯れてしまうらしい。

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