桜の人生は、短い。
「私の人生は、あと何年かな?」
「さぁ?でも貴方のことだし、100歳超えそうだけどね」
「えーそう?」
それぞれ、なりたい職業について、一人暮らしをして、新しい人間関係にも慣れて、なんだかんだ充実した日々を送っていた。
そして今日の夜、貴方と駅で合流して、私の家で飲もうという話になった。その道中に、儚く散っていく桜の姿がとても印象に残ったのだ。
「美しいものは、すぐ枯れる。人間もきっと同じよね」
「……そうだね」
肯定したくなかったから、曖昧に返事をした。
だって、貴方は美しい人だから。それが本当なら、貴方はすぐ散ってしまう。
「ま、そんなのどうでもいいよね。そんなことよりさぁ、今日同僚がね!」
こうやって、貴方と楽しく会話をしたのが、今日で最後になった。
桜散るこの夜、貴方は家に帰る途中で車に轢かれたらしい。
やっぱり、美しいものは、すぐ枯れてしまうらしい。
4/17/2024, 10:20:06 AM