貴方の見ている世界は、どれほど色鮮やかで、美しいのだろう。どんな、世界が見えてるんだろう。
「えぇ?うーん、なんて言えばいいのかなぁ?」
貴方は人差し指を口に当てて、右下を見つめた。私が見えている世界は白黒に見えるけど、それでも貴方の美しさは伝わってくる。
「そうだな、とってもカラフル……って、そういうことじゃないよね。うーん」
貴方を困らせるつもりは無かったけど、貴方は言葉をつまらせてるようだった。
「貴方は、色が見えないんだよね。無色の世界……どんな、世界なんだろう?」
「私の、世界?」
考えたこともなかった。私は、なんとかして言葉を振り絞った。
「何も感じたことは無いけど、貴方が見ている世界と私が見ている世界が違うって思うと、なんだか、つまらない世界だなって思う」
「……じゃあ、きっと、貴方にとって、私の見ている世界は、とっても楽しくて、キラキラしていると思う」
当たり前になった無色の世界。つまらないという感情さえ抱かなくなったけど、貴方の話を聞いて、もっと今の世界がつまらなく思えたし、貴方がキラキラしているように見えた。
「いつか、一緒に見ようね。色んな景色をさ」
そう言って、貴方は私の手を握った。
無色の世界でも、貴方の笑顔は色鮮やかに輝いているようだった。
4/18/2024, 12:27:03 PM