ここ

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10/13/2023, 11:53:50 AM

子供心を忘れてしまった私たち。

夢を見ることも忘れていたこの頃、私は久しぶりに小さい頃良く通った公園へ足を踏み入れた。

夜の八時くらいだったから、誰もいなく、とても静かだった。

そして私は、ゆっくりブランコに座って、大きくブランコを揺らした。

大きく感じたブランコも、今では小さく感じられる。

あの頃の私は、どんな夢を見ていたんだろう。

子供のように、鮮やかな夢を見れる日がまた来るのだろうか。

10/12/2023, 10:40:39 AM

放課後、明日のテストに備えるため、図書館に行こうといつもとは逆方向の道へ進もうとする。
すると、誰かに後ろから手を掴まれた。
「どこ行くの? これから勉強?」
「そうだけど。あんたも来る?」
「私は今日自主練だから!」
「はぁ? じゃあなんでここにいんのよ」
いつものニコニコとした顔をこっちに近づけながら、彼女は話を続けた。茶色ののサラサラとした短い髪からは、ほんのりとフルーツの匂いがする。
「実はねー、自主練しようと思ったら、顧問の先生に勉強しろー! なんて言われちゃって。しかたなく図書館行こうと思ったら、君がいたんだよ」
「そう……。それじゃあ話はそれで終わり? 私も勉強しなきゃいけないの」
「私も一緒にやっていい?!」
「……」
そういえばこの人、部活ではすごい功績を残しているのに、勉強は全く出来ないんだっけ。
私と真逆じゃない。
「いいわよ。その変わり、あまり騒がないでよ?」
「小学生じゃないんだし! 大丈夫!」
ほんとかしら……なんて少し不安になりながら、彼女と一緒に図書館に向かって歩き始めた。
こんな会話をしているけど、実は毎日一緒に帰ってるし、部活も同じ。クラスは違うけれど、それでも唯一の友達……なのだ。
そう思うと、今日はいつもと違うようで、でもいつもと全く変わらない放課後なんだな。

放課後はいつも、彼女と一緒に四季の変化によって姿が変わる木を見ながら、お互い同じ目的地へ向かうんだ。

10/11/2023, 1:37:51 PM

蝉の声がうるさくて、目を開ける。

窓を開けながら寝ていたから、風でカーテンがゆらゆらと揺れているのが見えた。

そのカーテンの裏に、黒猫が凛と佇んでいた。

とても、綺麗だと思った。目の前にいる黒猫は、どこから来たのかは分からないけど。

ふわっ、と私が欠伸をした瞬間、風が強く吹いて、カーテンが大きく揺れた。

その瞬間、黒猫はどこかへ消えていった。

寝ぼけていたのだろうか。私は不思議に思いながらも、眠気には勝てずそのまままた眠ってしまった。

10/10/2023, 10:48:26 AM

「ねぇ!ちゃんと真面目にやろうよ!最後の合唱コンクールだよ?!」

と、いわゆる陽キャと部類されるようなとある1人の女子が、泣きながらそう叫ぶ。それと同時に、教室には色々な感情が入り交じる。

あからさまにめんどくさいと言う感情を表に出してる人、もらい泣きしている人、気まずそうにただ下を向いている人……。

でも、そんなことより私は、なぜ彼女がこうやって涙を流しているのかが分からなかった。

「真剣なのは私だけなの……?みんなでひとつになって歌を歌えるのはこれで最後なのに……」

さっきよりも小さな声で、彼女はそういう。

私は知ってる。彼女が裏で人の悪口を言っていること、いじめをしていること、他人の彼氏を奪って遊んでること。

それなのに、こんな立派に涙を流せるだなんて、私にはその理由がわからない。

だって、私の大切な人を奪ったんだもの。私をゴミ箱に向かって突き飛ばしたんだもの。私に聞こえるように悪口を言ったんだもの。

泣きたいのは、こっちだよ。

彼女の涙の理由なんて、きっと大したことじゃない。そうでしょ?

10/9/2023, 10:53:55 AM

目の前にいる猫の石像の口が、ニヤッと口角が上がる。私は、目の前で起こった光景を見て、体が固まった。

結界をすり抜けたコイツの正体は、私しか知らない。

「お前は勘違いをしている。我は神ではない。だが悪魔でもない。これで分かるだろう?」

コイツはそう私に問いかける。

私は腰につけている刀に手を伸ばす。目の前にいるコイツに刀が効くのかなんて分からないが、反射的にそうしてしまった。

「我と戦う気か?いいだろう。テかゲんはしナいぞ。イイな?」

目の前にいるこいつの声に、ノイズがかかる。そして、そいつの石の体がまるで生きている猫のように滑らかに動いた。

そして、私の目の前に立ってこう言った。

「ココロオドルナ?ムスメヨ」

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