放課後、明日のテストに備えるため、図書館に行こうといつもとは逆方向の道へ進もうとする。
すると、誰かに後ろから手を掴まれた。
「どこ行くの? これから勉強?」
「そうだけど。あんたも来る?」
「私は今日自主練だから!」
「はぁ? じゃあなんでここにいんのよ」
いつものニコニコとした顔をこっちに近づけながら、彼女は話を続けた。茶色ののサラサラとした短い髪からは、ほんのりとフルーツの匂いがする。
「実はねー、自主練しようと思ったら、顧問の先生に勉強しろー! なんて言われちゃって。しかたなく図書館行こうと思ったら、君がいたんだよ」
「そう……。それじゃあ話はそれで終わり? 私も勉強しなきゃいけないの」
「私も一緒にやっていい?!」
「……」
そういえばこの人、部活ではすごい功績を残しているのに、勉強は全く出来ないんだっけ。
私と真逆じゃない。
「いいわよ。その変わり、あまり騒がないでよ?」
「小学生じゃないんだし! 大丈夫!」
ほんとかしら……なんて少し不安になりながら、彼女と一緒に図書館に向かって歩き始めた。
こんな会話をしているけど、実は毎日一緒に帰ってるし、部活も同じ。クラスは違うけれど、それでも唯一の友達……なのだ。
そう思うと、今日はいつもと違うようで、でもいつもと全く変わらない放課後なんだな。
放課後はいつも、彼女と一緒に四季の変化によって姿が変わる木を見ながら、お互い同じ目的地へ向かうんだ。
10/12/2023, 10:40:39 AM