君は今
『君は今』
私は知っている。
いつもクールな幼馴染のクールじゃない一面。
中学生の頃
テスト用紙を渡されてミスプリで白紙だと思い手を挙げたらただ裏面だっただけだったり。
高校生の頃
はしゃいでブランコに乗ったのはいいけど高く上がりすぎて怖くて降りられなくなったり。
今
娘の「赤ちゃんってどうやってできるの?」という質問にたじろいだり。
いつもクールな幼馴染は今隣にいる。
小さな命
『少年の命』
まだ残照で明るいコノウエの街が見渡せる丘の上に僕は幼馴染のペルーシャと来ていた。
エル「僕がもし死んだら土に埋めてさ、そこに種を植えてくれ」
ペルーシャ「何言ってんの、私達まだ16歳なんだからそんなこと言わないでよ」
エル「でもこんな力を持って生まれたんだ、僕がこの街を守らないといけない」
ペルーシャ「だからって、」
エル「奴がこの街にやって来る日は近い」
僕の名前はエル。
僕はコノウエの街で生まれて16年も街の人たちに育てられた。
そんな大切な街を僕は守らないといけない、恐ろしい悪魔から。
エル「来た」
感じた、街に悪魔が来た。
僕はすぐ立ち上がり、街へと走り出した。
ペルーシャ「待って!」
僕は後ろを振り返ってペルーシャを見た。
目尻には光るものがあった。
ペルーシャ「エルがやらないとだめなの?」
エル「僕は神に選ばれた特別な人間だから」
そう言って僕は街へと向かった。
ペルーシャ「なんでエルなの、、、」
街の入口から入ってきた悪魔と僕は相対した。
これが悪魔か、見ただけでわかる。
実体のない黒い靄(もや)、まるで恐怖の権化。
その黒い靄には恐ろしい目が3つに口が2つ。
恐怖に体が震えた。
悪魔「あぁ〜人の恐怖は密より甘いんだよなぁ〜」
ドンッ!!
ペルーシャ「#&!#&!エル!起きて!」
エル「ん、うぅ〜、何が、」
目を開けるとペルーシャが沢山の涙を流していた。
ペルーシャ「よかった、よかったよ、生きてる」
エル「何があった?」
ペルーシャ「悪魔が街を荒らしてて、それでエルがここで倒れてたから、私、心配して」
僕は周りを見てすぐに状況がわかった。
僕は悪魔に街の中心にあるコノウエの木まで弾き飛ばされたのだ。
そしてその木が倒れるほどの勢いでぶつかり気絶した。
エル「すぐ行かないと」
ペルーシャ「そんな怪我で行ったってどうもできないよ!」
エル「大丈夫、もう治った」
僕は特別な力を持って生まれた稀子(まれご)。
僕は光を作り出せる事ができるのだ。
その力で怪我を治した。
ペルーシャ「行かないで、、」
エル「僕は行かないといけない」
ペルーシャ「じゃあ、絶対に生きて勝って」
エル「あぁ絶対」
そう言って僕はもう一度悪魔のもとへと向う。
悪魔「はははははっもっと恐怖しろぉ〜」
僕は走る人達とは逆に走り悪魔と再び相対した。
街や人が悪魔にどんどん呑まれていく。
僕が止めないといけない。
エル「おい、悪魔、もうやられないぞ」
恐怖はもうなくなっていた。
悪魔「またお前か、今度こそちゃんと食ってやる!」
黒い靄がこちらへ向かってくる。
エル「はっ!」
僕は特大の光を体から放った。
悪魔「ゔぁ〜、クソッ体が!」
悪魔の弱点は光だ。
僕は悪魔を倒すために神から力を授かって生まれた選ばれし人間だ。
エル「もう一度だ!」
光を悪魔へと放った。
悪魔「ゔぁ〜、はぁはぁ、これぐらいじゃ死なねーぞ」
エル「はぁはぁはぁ」
僕は光をなんの代償もなく作り出せるわけじゃない。
体に大きい痣が現れる、痛い。
今にも倒れそうなくらい体が揺らぐ。
それでもやる!
エル「僕は街のみんなを、ペルーシャを守るんだぁー!」
僕は僕史上最強最大の光を悪魔に放った。
これでやっと気持ちを伝えられる。
ペルーシャ「やったよ勝ったよ」
僕は意識が朦朧としているが生きている。
エル「好きだ、ペルーシャ」
1000年後
子ども「ねぇねぇおばあちゃん、この大きな木はなんの木?」
おばあちゃん「これはね、コノウエを未来永劫悪魔から守ってくれるエルの木だよ」
今日にさよなら
制作中...
お気に入り
『僕のお気に入り』
僕の名前は富樫健(とがしたける)、普通の男子高校生だ。
なのだが普通じゃないことがよく起こる。
僕が好きになり仲良くなった女の子はみんななぜか死んでしまう。
だから僕はいつしか人を好きにならないようになった。
そんなある日のこと、僕は罪を犯してしまった。
そうだ、また人を好きになってしまった。
その子の名前は管藁文美(すがわらふみ)さん。
文美さんとはちょっとだけ会話をするようになっが壁を作ってあまり仲良くならないようにしていた。
たまに冷たい態度をとってしまった時はすごく心が傷んだ。
友達のようなでどこか距離を置くような関係性のまま時が過ぎた。
僕は自分の気持ちをすべて文美さんに打ち明けた。
健「僕、文美さんのことが好きです」
文美「ありがと」
文美さんは涙ぐんだ声で言った
健「でも!好きになれないんです、僕が好きになった女の子はみんな死んでしまうんです、だからだめなんです」
健「すみません、好きになってしまって、」
文美「大丈夫だよ、私は絶対に死なない、だって私も健くんのことが好きだから」
そう言って文美さんは僕を優しく包んでくれた。
僕は文美さんの胸の中で泣いた。
10年後
僕と文美は結婚した。
高校生の頃なぜ僕が好きになった人がみんな死んでしまい、なぜ文美だけ死ななかったのかは今もまだ謎だ。
でもそんなことどうでも良かった、だって今幸せだから。
文美は、僕のお気に入りだ。
『私だけのお気に入り』
私の名前は管藁文美(すがわらふみ)、普通の女子高生だ。
私には同じクラスに好きな男の子がいる。
その子の名前は富樫健(とがしたける)くん。
高校1年の冬
私はいつものように健くんのことをつけていた。
そしたら健くんは同じクラスのリコちゃんと仲良さそうに会話していた、それから時が経つにつれて2人はどんどん仲良くなっていく。
それをずっと見ているのが私は辛かった。
だからやるしかなかった。
時間をかけて丁寧に藁人形を作り、そして夜中に家の近くの神社へ行き、良さそうな木を見つけた。
その木にリコちゃんの顔写真をつけた藁人形を釘で刺し、金槌でその釘を叩きつけた。
何度も、何度も。
文美「死ね、死ね、死ね」
そしたら2日後にはリコちゃんは電車に轢かれて死んだ。
高校2年の夏
私はいつものように健くんのことをつけていた。
そしたら健くんは1つ年上の先輩のサチさんと仲良さそうに会話していた、それから時が経つにつれて2人はどんどん仲良くなっていく。
それをずっと見ているのが私は辛かった。
だからやるしかなかった。
やることは同じ、もうなんの躊躇いもなかった。
藁人形に釘を叩きつけた2日後にはサチさんは心筋梗塞で死んだ。
高校3年の春
私はいつものように健くんのことをつけていた。
そしたら健くんは2つ下の後輩のエリちゃんと仲良さそうに会話していた、それから時が経つにつれて2人はどんどん仲良くなっていく。
それをずっと見ているのが私は辛かった。
だからやるしかなかった。
やることは同じ、可哀想なんて全く思わない。
藁人形に釘を叩きつけた2日後にはエリちゃんは通り魔に刺されて死んだ。
高校3年の秋
私はついに健くんと仲良くなった。
しかし健くんはどこか距離を置いているようだ。
いつもは優しいのにたまに冷たい態度をとってきたり、同い年なのに敬語だったり。
なぜだろう。
そんなある日、健くんは私に打ち明けてくれた。
健「僕、文美さんのことが好きです」
私はやっと夢が叶い思わず涙を流した。
文美「ありがと」
健「でも!好きになれないんです、僕が好きになった女の子はみんな死んでしまうんです、だからだめなんです」
健「すみません、好きになってしまって」
全て理解した。
健くんがずっと距離を置いているようだったのは私が死んでほしくないくらい好きになっていたからなのだ。
嬉しかった、嬉しくてたまらなかった。
もう名前も忘れた3人の死のおかげで健くんの私に対する愛がわかった。
だから言ってあげた。
文美「大丈夫だよ、私は絶対に死なない、だって私も健くんのことが好きだから」
そう言って私は健くんを優しく包んであげた。
健くんは私だけのものになった。
健くんはは私の胸の中で泣いた。
健くんは、私だけのお気に入りだ。
誰よりも
『才能と努力』
どん!どん!どん!どん!
優斗「1999!2000!」
俺の名前は轟優斗(とどろきゆうと)、ヒーローだ。
俺は今日も仕事の合間に大きい丸太に拳をぶつけている。
この世界は単純にできている。
悪魔と契約して魔術を悪用する魔人、ヴィラン。
世界総人口の4割だけが使える魔術を扱って人々を救う魔術師、ヒーロー。
そんなヴィランとヒーローが戦う、ただそれだけだ。
俺は魔術師なのに魔術が使えない、拳に魔力を込めてそれを直接ぶつけることでしか戦うことができない。
才能を持って生まれてこなかったのだ。
だから毎日努力を怠らない、怠ってはいけないのだ。
ブーブーブーブー
スマホが鳴っている、電話だ。
優斗「もしもし、どうかしましたか?」
先輩「今通報があった、4丁目の角の公園にヴィランだ」
基本的に全国各所にある支部それぞれにヒーローがいて、それぞれ各所の地域をパトロールしたりする。
警察と似たような感じだ。
そして通報があればそこへすぐに向かい人々を救いヴィランを捕える。
優斗「はい!すぐ向かいます!」
電話を切ろうとしたとき
先輩「通報によると、ヴィランは炎に包まれた男らしい」
優斗「すぐ向かいます!」
先程より強く言って電話を切った。
俺は走って現場へ向かった。
才能もないのに俺がヒーローをやっている理由は兄の轟赤露(とどろきせきろ)がなし得なかったことをするためだ。
俺の兄もヒーローだった。
しかも才能を持ったヒーローだ。
炎の魔術を扱うヒーローで沢山のヴィランをその炎で捕まえた。
だがしかしとあるヴィランと出会ってしまったのが運の尽き、兄はヴィランに敗北し亡くなった。
その死に際、兄は最後の足掻きでヴィランに永遠に燃え続ける炎を浴びせた。
そのおかげでその場にいた人々の命は助かった。
ヒーローとしてはカッコいい死に様、美談だ。
しかしそのヴィランはまだ生きている。
だから俺はそのヴィランを捕えるためにヒーローをやっている。
そのヴィランの特徴は兄の炎で包まれた体だ。
炎の男「やっと来たかヒーロー!殺してやる!」
現場に着いたら炎に包まれた男がいた、そいつは確かに兄が捕まえそこねたヴィランだ。
優斗「やっと見つけた、お前だな俺の兄を、轟赤露を殺したのは!」
炎の男「あぁそうだ、あの野郎のせいで毎日毎日俺の左側が痛いんだよ!!復讐してやる、お前も殺してやる!」
ヴィランはこちらに向かって走り出した。
俺は集中した、身体の全ての魔力を拳に集中させる。
拳に極限まで魔力を込める。
優斗「もっと、もっと、もっとだ!」
さらに拳に魔力を込める、魔力の密度をどんどん高めていく。
極限まで魔力の密度を高めた拳はまるで燃え盛る炎のようになった。
その拳をヴィランに向ける。
この極限まで魔力の密度を高める技は才能のない俺が誰よりも努力をしたことで手に入れた技、その技の名前は
優斗「赤露!!」