小さな命
『少年の命』
まだ残照で明るいコノウエの街が見渡せる丘の上に僕は幼馴染のペルーシャと来ていた。
エル「僕がもし死んだら土に埋めてさ、そこに種を植えてくれ」
ペルーシャ「何言ってんの、私達まだ16歳なんだからそんなこと言わないでよ」
エル「でもこんな力を持って生まれたんだ、僕がこの街を守らないといけない」
ペルーシャ「だからって、」
エル「奴がこの街にやって来る日は近い」
僕の名前はエル。
僕はコノウエの街で生まれて16年も街の人たちに育てられた。
そんな大切な街を僕は守らないといけない、恐ろしい悪魔から。
エル「来た」
感じた、街に悪魔が来た。
僕はすぐ立ち上がり、街へと走り出した。
ペルーシャ「待って!」
僕は後ろを振り返ってペルーシャを見た。
目尻には光るものがあった。
ペルーシャ「エルがやらないとだめなの?」
エル「僕は神に選ばれた特別な人間だから」
そう言って僕は街へと向かった。
ペルーシャ「なんでエルなの、、、」
街の入口から入ってきた悪魔と僕は相対した。
これが悪魔か、見ただけでわかる。
実体のない黒い靄(もや)、まるで恐怖の権化。
その黒い靄には恐ろしい目が3つに口が2つ。
恐怖に体が震えた。
悪魔「あぁ〜人の恐怖は密より甘いんだよなぁ〜」
ドンッ!!
ペルーシャ「#&!#&!エル!起きて!」
エル「ん、うぅ〜、何が、」
目を開けるとペルーシャが沢山の涙を流していた。
ペルーシャ「よかった、よかったよ、生きてる」
エル「何があった?」
ペルーシャ「悪魔が街を荒らしてて、それでエルがここで倒れてたから、私、心配して」
僕は周りを見てすぐに状況がわかった。
僕は悪魔に街の中心にあるコノウエの木まで弾き飛ばされたのだ。
そしてその木が倒れるほどの勢いでぶつかり気絶した。
エル「すぐ行かないと」
ペルーシャ「そんな怪我で行ったってどうもできないよ!」
エル「大丈夫、もう治った」
僕は特別な力を持って生まれた稀子(まれご)。
僕は光を作り出せる事ができるのだ。
その力で怪我を治した。
ペルーシャ「行かないで、、」
エル「僕は行かないといけない」
ペルーシャ「じゃあ、絶対に生きて勝って」
エル「あぁ絶対」
そう言って僕はもう一度悪魔のもとへと向う。
悪魔「はははははっもっと恐怖しろぉ〜」
僕は走る人達とは逆に走り悪魔と再び相対した。
街や人が悪魔にどんどん呑まれていく。
僕が止めないといけない。
エル「おい、悪魔、もうやられないぞ」
恐怖はもうなくなっていた。
悪魔「またお前か、今度こそちゃんと食ってやる!」
黒い靄がこちらへ向かってくる。
エル「はっ!」
僕は特大の光を体から放った。
悪魔「ゔぁ〜、クソッ体が!」
悪魔の弱点は光だ。
僕は悪魔を倒すために神から力を授かって生まれた選ばれし人間だ。
エル「もう一度だ!」
光を悪魔へと放った。
悪魔「ゔぁ〜、はぁはぁ、これぐらいじゃ死なねーぞ」
エル「はぁはぁはぁ」
僕は光をなんの代償もなく作り出せるわけじゃない。
体に大きい痣が現れる、痛い。
今にも倒れそうなくらい体が揺らぐ。
それでもやる!
エル「僕は街のみんなを、ペルーシャを守るんだぁー!」
僕は僕史上最強最大の光を悪魔に放った。
これでやっと気持ちを伝えられる。
ペルーシャ「やったよ勝ったよ」
僕は意識が朦朧としているが生きている。
エル「好きだ、ペルーシャ」
1000年後
子ども「ねぇねぇおばあちゃん、この大きな木はなんの木?」
おばあちゃん「これはね、コノウエを未来永劫悪魔から守ってくれるエルの木だよ」
2/24/2024, 1:29:03 PM