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12/16/2024, 6:14:25 AM

雪を待つ


【第0章 鬱の始まり】
『クリスマスは人を鬱にさせる』そんな言葉をどこかで聞いたことがある気がする。
しかし私はそんなクリスマスの半年前からデッキブラシを両手で持ち今鬱になっていた。


【第一章 時の待ち人】
"ミーン""ミーン""ミーン""ミーン"
「はぁ、あっつぅ」
私は動かしていたデッキブラシの手を止めて、額の汗を袖をまくっている腕で拭った。
「愛美のせいなんだから。働けぇー!」
佳奈はちょっと不満そうに、けどデッキブラシを持ったまま両手の拳を空に掲げて無邪気に言った。
「へいへい。」

それにしても不思議な感覚だ、水の入っていないプールの中にいるなんて、、、
「変なの」
「ん?なんか言った?」
不意に出た心の声が数メートル先で働いている佳奈に聞こえたらしい。
「なーんにも」
私は空を見上げた。
今となっては鬱々とする晴天だ。
再びプール底に目を向ける途中で校舎の大時計に目がいった、17時30分。
さて7時間程前まで遡ろう。


【第二章 終了の合図】
"キーンコーンカーンコーン""キーンコーンカーンコーン"
「はい試験終了、後ろから解答用紙だけ前に」
試験中に静かにほうきで教室の掃除をし終えてゆっくりしていたジャージ姿の先生、否私が所属するバレー部顧問が試験終了の合図をした。
その合図と同時にクラス中がざわめき出して、いつもの休み時間となった。
「ねぇ愛美!この後どう?」
周りの喧騒に紛れて隣の席の佳奈が話しかけてきた。
「んー何するの?」
今日は試験最終日、部活も何も無い久しぶりのオフ。
家でゆっくり過ごそうと思っていたが、、佳奈とだったら別にいいかと考えながら一応なんとなく聞いてみた。
「もうすぐさ、試合じゃん!?だから気合入れに一緒にパッーとい•つ•も•のファミレス行かない?」
試合、同じバレー部の佳奈からそう言われてもうすぐ試合があることを思い出した。
そして肯定の言葉を出そうとしたその時
「佳奈!試合も近いから今日は急遽だが練習する!他のバレー部にも伝えといてくれ!」
試験監督の仕事をあらかた終えてあとは解答用紙を持って帰るだけとなった試験監督兼バレー部顧問の先生が言った。
「ちょっと!なんで?!」
佳奈が驚愕の声と疑問の声を出した。
「じゃあそういうことだからよろしく!」
先生は軽くあしらうように言って去っていった。
「もぉ〜!」
佳奈は天を仰いで絶望を体現していた。
ちなみに私も同じ気持ちだ。
「あっお昼食べてからだから一旦家帰って14時体育館な!じゃっ」
先生は行ったと思いきやドアからひょっこり顔だけだして付け足していった。
「ぐぅ〜」
佳奈は何も言わずにドアの方を睨み続けていた。


【第三章 魔物】
私と佳奈は自然と別れて家へと一旦帰る流れとなった。
13時30分頃に2人の家の中間地点にある公園で再び待ち合わせることを約束して別れた。
「それにしても暑いなぁ」
5月末なのにもう夏空になった天を仰いでひとりごちる。
"アーイス"アイス"アーイス"ヒューヒュー"アーイス"アイス"高乳牛"
そんな機械的な歌声が聞こえてきた。

私は気付けば少し丘になっている大きい木の影の芝生に座り、アイスクリームを片手に持っていた。
「これは夏の魔物だ」
真っ当な女子中学生として毎月お小遣いだけでやりくりしている身からすれば189円のアイスクリームは少し痛い出費だった。
だが食欲には抗えない、人間のサガというものだろうかと考えながら私はスマホを取り出し時間を確認した。
11時14分。
時間に余裕はある。
最近試験続きで毎晩夜更かしをしていたせいなのかアイスクリームを食べてお腹が膨れたからなのか、もしくはこの気持ちのいい晴天の木陰のせいなのか睡魔が襲う。


【第四章 鬱の終わり】
17時30分。
案の定私は遅刻した。
ついでに待ち合わせしていた佳奈も道連れにして。
練習終了後プールの管理を任されているであろう顧問の先生に罰としてプール掃除をさせられていた。
「憂鬱だぁ~」
再びデッキブラシを動かしながらそう呟いていた。
「何が?」
今度はちゃんと聞こえていた私の呟きに佳奈は片手間に反応した。
「もうすぐでプールの授業が始まること」
「今じゃないんだ」
微笑みをこちらに向けながら佳奈は言う。
「大っ嫌いなプールの授業の手助けを自分がしてると思うと鬱になる」
鬱憤晴らしに唸りながらより一層強い力でプール底を擦る。
「いいじゃん!力入ってるぅ~」
佳奈は私の感情とは裏腹に言う。

「愛美はやっぱり冬のほうが好き?」
佳奈はすごく優しい、自分のせいで今しなくてもいい労働をしているのに不満を抱いていない。
これからも友達でいようと決意しながら私はこの物語の回答を口にする。
「うん、好き。早く雪降らないかなぁ〜」
2人で顔を合わせて笑い合った。

8/26/2024, 9:07:16 AM

向かい合わせ

幸「ねぇ怖いんだけど、一階でいいじゃん」
私は首筋を固め優子の手首を握りながら言った。
優子「ダメだよ、『七不思議』通り3階のトイレの鏡でしないと意味ないから」
優子は目をキョロつかせながら2階への階段を上がる。


私達は今、優子の提案で夜の学校に七不思議の1つである『合わせ鏡の松野さん』が本当かを確かめに来ていた。
いつもとは雰囲気の違う学校に私達は怯えている。
『合わせ鏡の松野さん』とはうちの学校に伝わる七不思議の1つで、深夜1時旧校舎三階の女子トイレの鏡と手鏡を合わせ鏡にすることで、トイレの鏡に松野さんという人が映るというものだ。
私達がなぜこんなことをわざわざするかというと、その松野さんがイケメンだという情報を仕入れたからなのだ。
見てみたい


優子「電気!」
トイレの扉を少し開けて暗いことに気づいた優子はそう言った。
幸「これだよね」
いつもとは違う暗い廊下のせいだろう、優子はトイレが暗いことに気づかず、私は電気の位置が不確かになった。
優子「ちょっと安心だね」
明るくなったトイレに2人で入る。
幸「確かに、ちょっとは怖くなくなったね」
明るくなってもいつもとは雰囲気の違うトイレに多少の怖さはあるが、先程よりかは安心した。
優子「え〜と、後2分だね」
優子はスマホで時間を確認して言った。
今は0時58分ということを理解した。
幸「手鏡持ってきてる?」
私は先程スマホを出した優子のバッグを指差して言った。
優子「うん!あぁ〜る!」
優子は肯定したはいいものの、バッグを一応確認して取りだし確定させた。
幸「じゃあもう準備しちゃって、ちゃっちゃとしちゃお」
廊下を歩いてる段階で目的よりも早く帰りたいという気持ちが強くなってしまっていた。
優子「そんな急がなくても大丈夫だから」
優子は笑いながら言う。
優子のモチベーションは『イケメン』なのだ。


優子「よし!オッケー」
私が手鏡をトイレの鏡に合わせるように持ち、その間にいた優子が言った。
幸「時間は?」
優子「あっもうなってる!」
幸「えっ?!」
優子「あっ!!今見えた!」
幸「えっ?!」
"キー"
「君たち何してるだぁ!」
優子、幸「わぁぁぁーー!!」
急に扉が開き怒声が聞こえてきて2人で驚いた。


幸「びっくりしたぁー」
優子「ホント、あはははは」
私達は警備員さんにちゃんと叱られて帰路についていた。
幸「そういえばぁ、どうだったの?」
叱られる直前優子が「見えた!」と言っていたことについて聞いた。
優子「そうだぁ!忘れてた、あはははは」
気づいたら二人共怖さから解放されて、柔らかい喋り方になっていた。
優子「見えたよ!、松野さん」
幸「イケ•メン、だったぁ?」
そこが目的だったのだから聞いて置かなければならない。
優子「んん~普通かなぁー、あはははは」
幸「そうだったんだぁ、うふふふふ」
目的の結果は残念だったがいい思い出になった、そう2人で思うことにした。
幸「関係ないんだけどさぁ、あの警備員さんさぁ」
私は警備員さんに思うところがあったので、それについて話した。
優子「そう!そうだよね!警備員さん、めちゃイケメン!」
幸「だよね!!」
私が思ってたことを優子も共感してくれた。
優子「だってぇ絶対松野さんよりイケメンだったもん、あはははは」
幸「うふふふふ」

2人で笑い合ったことで一夏の思い出のできあがり

8/25/2024, 7:42:26 AM

やるせない気持ち

僕はフルラソン、42.195kmを完走した。
ずっとそれが目標だった、それが僕にとっての有終の美になると思っていた。
もちろん完走した今も思っている、でも引っかかる部分はある。

どんなことでもそうだ、人は常に2つ以上の感情を持ちながら生きる生き物。
最後に到達するまでの過程で沢山の選択をしてきて、その選択に後悔をしたこともある。

でもそういう後悔も含めて僕は人生を完走しきった。

そこに後悔はない

8/23/2024, 11:30:02 AM

海へ

『青は進め、赤は止まれ』

晴人「はぁはぁはぁ%#^:~"•✕_-」
久々に重たい体を動かしたせいだろうか、呂律がぶっ飛んだ。
裕二「あぁ?なんてぇ〜?」
俺も同じセリフを言うだろうというセリフを裕二に言われた。
晴人「だからぁ、もうすぐぅ、夜だってのにぃ、どこまでぇ、いくんだぁょ」
息が整うのが永遠に訪れないかのような声が出た。
裕二「そりゃ決まってるだろ」
こんなけ走ったんだ、大した理由じゃなきゃ俺の拳は人生初火を吹くことになるだろう。
裕二「あっ!青になった、行くぞ!」
晴人「ちょぉっおいぃ!」
大事な部分だけ言わずに裕二は走っていく。
しかも陽気に白い線の上だけを踏んで。
晴人「なんなんだよぉ〜」
俺もそう言いながら裕二の進む方へと走っていく。
しかし少しの反抗心で白い線は踏まずに。


裕二「ふぅ〜よし!着いたぁ!!」
節々が痛い体を持ち上げて、目の前を見る。
晴人「おぉい、裕二ぃ」
俺は火を吹く準備をした。
裕二「なんで拳出してんだよ」
裕二は今一番口にしてはいけない言葉を放った。
晴人「そりゃぁ、そうだろぉ!こんなけ走ってぇ、ただの海ってぇ、まじでぇ、いくぞ!」
絶え絶えの声で言葉を放った。
裕二「まぁ待てって、え〜と」
そう言って裕二は腕に巻いている腕時計型のスマホを見た。
裕二「あと5分!あと5分だけ待ってみろ」
なにがあるのか理由がわからなかった。
晴人「299秒、298秒、297秒、」
俺は火を吹くまでのカウントダウンをはじめた。
裕二「あはははは、なんのカウントダウンなんだよ」
295秒後にはわかるだろう。


晴人「10、9、8、7」
俺がずっとカウントダウンをしている間裕二は呑気にスクワットをしていた。
憎たらしいやつだ。
晴人「6、5、4」
裕二がやっと口を開いた。
裕二「来たぞ、ほら見ろ」
晴人「3、2、あぁ?」
俺はカウントストップしてただの海の方を見た。
すると、、、
絶句、感動
裕二「ふふん!すごいだろ」
そこには、青いはずの海が真っ赤に染まっていた。
まるで海外の知らない地に来たような感覚に陥った。
人生観が変わるほどの感動が押し寄せる。
晴人「これは、、」
裕二「マジックアワーってやつだ」
今日はこの海のように火を吹かないことにした。
晴人「ありがと」
俺の顔が少し赤らむ。
裕二「あぁ?なんてぇ〜?」
バレてない、マジックアワー万歳。
晴人「何も」

6/17/2024, 2:28:16 PM

未来

私は未来がどこにあるのかわからない

過去はわかる、曖昧かもしれないがある程度覚えている

今はどうだ、今なんて直ぐに消え去るもの
生まれては消えてを繰返す、いわゆる「過渡期」というやつだ。

とりあえず、最初に戻ろう
未来とはどこに?
未来は一つではない、複数ある
なので未来とはすなわち『可能性』

この後起こり得る可能性が無限大に用意されていて、それが時間が経つことに可能性の数が減ってきた。


要するに僕が言いたいことは
時間は有限だから、未来の可能性が狭まる前に自分のやりたいことを早くしないといけない


可能性は歳を重ねるほどに減っていく

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