question
「美波先生!質問です。『恋と愛の違い』は何ですか?」
「悟くん。この2次関数のグラフをかいてください」
私は何事もなかったように生徒の質問を無視した
「美波先生!質問です。『恋と愛の違い』は何ですか?」
そうくるか、
「悟くん。この2次関数の頂点と軸を求めてください」
私はまたしても無視して問題文をそのまま読み上げた
こんなに生徒のことを無視することのない私が無視するのはそれだけ心を許しているということだ
「美波先生!質問です。『恋と愛の違い』は何ですか?」
悟くんはいつもそう、諦めが悪い。
そこが悟くんの良いところでもあるが、それが今は少し悪く出ている。
「はぁ〜、、わかりました」
こっちが折れるしかなかった
「じゃあ先生はわからないのでチャットgpt先生に聞きますね」
私はスマホを取り出しチャットgptの検索エンジンに『恋と愛の違い』と入力した
「美波先生!僕は先生に聞いてるんです!」
「ん~簡単に言うと時間の差かな」
そんなに長くない文章をまとめる
「時間?」
「恋は短期間で強く感じるもの、愛は長期的で安定した絆ってとこ」
この質問には答える
「不安定と安定ってことですね、先生はどっち派ですか?」
「それだけ聞くと、安定になっちゃうな」
当たり前の答え
「じゃあ愛か、美波先生!ちなみに僕は将来公務員になるので、よろしくお願いします」
「まぁでもみんな口では安定を求めてるって言うけど無意識に刺激的な不安定を求めるものだからな」
自分の考えを答える
「結局どっちなんですか?というか美波先生が思う恋と愛の違いはなんなんですか?」
やっぱり諦めが悪い、良いことだ
「私が思う違いは、理想と現実かな」
「そのこころは?」
「恋は妄想を膨らませて実在しない理想の人のことを好きになること、愛は実在する現実の人のことを好きになること」
「で?」
この子の欲している回答は結局私はどっち派ということに塗り替わった
「私はどっちも大事だと思う」
「さすが美波先生!、予想の斜め上の答え」
「だからこの問題の解答は『バランス』。理想と現実、恋と愛のバランスをうまく調節することが恋愛がうまくいくコツ」
これが悟くんが求めていた解答だと最初からなんとなくわかっていた。
最近同じ塾に通ってる女の子との恋愛に悩んでるのは見ていてわかってた。
私は全てわかっていた、そんな私に悟くんが私の顔を凝視して言った。
「何ですか?そのドヤ顔」
総じてみると私はどっちかというと悟くんに対しては『愛』があるということらしい
3/6/2025, 4:45:06 AM