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誰よりも

『才能と努力』

どん!どん!どん!どん!
優斗「1999!2000!」
俺の名前は轟優斗(とどろきゆうと)、ヒーローだ。
俺は今日も仕事の合間に大きい丸太に拳をぶつけている。
この世界は単純にできている。
悪魔と契約して魔術を悪用する魔人、ヴィラン。
世界総人口の4割だけが使える魔術を扱って人々を救う魔術師、ヒーロー。
そんなヴィランとヒーローが戦う、ただそれだけだ。
俺は魔術師なのに魔術が使えない、拳に魔力を込めてそれを直接ぶつけることでしか戦うことができない。
才能を持って生まれてこなかったのだ。
だから毎日努力を怠らない、怠ってはいけないのだ。
ブーブーブーブー
スマホが鳴っている、電話だ。
優斗「もしもし、どうかしましたか?」
先輩「今通報があった、4丁目の角の公園にヴィランだ」
基本的に全国各所にある支部それぞれにヒーローがいて、それぞれ各所の地域をパトロールしたりする。
警察と似たような感じだ。
そして通報があればそこへすぐに向かい人々を救いヴィランを捕える。
優斗「はい!すぐ向かいます!」
電話を切ろうとしたとき
先輩「通報によると、ヴィランは炎に包まれた男らしい」
優斗「すぐ向かいます!」
先程より強く言って電話を切った。
俺は走って現場へ向かった。


才能もないのに俺がヒーローをやっている理由は兄の轟赤露(とどろきせきろ)がなし得なかったことをするためだ。
俺の兄もヒーローだった。
しかも才能を持ったヒーローだ。
炎の魔術を扱うヒーローで沢山のヴィランをその炎で捕まえた。
だがしかしとあるヴィランと出会ってしまったのが運の尽き、兄はヴィランに敗北し亡くなった。
その死に際、兄は最後の足掻きでヴィランに永遠に燃え続ける炎を浴びせた。
そのおかげでその場にいた人々の命は助かった。
ヒーローとしてはカッコいい死に様、美談だ。
しかしそのヴィランはまだ生きている。
だから俺はそのヴィランを捕えるためにヒーローをやっている。
そのヴィランの特徴は兄の炎で包まれた体だ。


炎の男「やっと来たかヒーロー!殺してやる!」
現場に着いたら炎に包まれた男がいた、そいつは確かに兄が捕まえそこねたヴィランだ。
優斗「やっと見つけた、お前だな俺の兄を、轟赤露を殺したのは!」
炎の男「あぁそうだ、あの野郎のせいで毎日毎日俺の左側が痛いんだよ!!復讐してやる、お前も殺してやる!」
ヴィランはこちらに向かって走り出した。
俺は集中した、身体の全ての魔力を拳に集中させる。
拳に極限まで魔力を込める。
優斗「もっと、もっと、もっとだ!」
さらに拳に魔力を込める、魔力の密度をどんどん高めていく。
極限まで魔力の密度を高めた拳はまるで燃え盛る炎のようになった。
その拳をヴィランに向ける。
この極限まで魔力の密度を高める技は才能のない俺が誰よりも努力をしたことで手に入れた技、その技の名前は
優斗「赤露!!」

2/17/2024, 9:35:38 AM