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お気に入り

『僕のお気に入り』

僕の名前は富樫健(とがしたける)、普通の男子高校生だ。
なのだが普通じゃないことがよく起こる。
僕が好きになり仲良くなった女の子はみんななぜか死んでしまう。
だから僕はいつしか人を好きにならないようになった。
そんなある日のこと、僕は罪を犯してしまった。
そうだ、また人を好きになってしまった。
その子の名前は管藁文美(すがわらふみ)さん。
文美さんとはちょっとだけ会話をするようになっが壁を作ってあまり仲良くならないようにしていた。
たまに冷たい態度をとってしまった時はすごく心が傷んだ。
友達のようなでどこか距離を置くような関係性のまま時が過ぎた。
僕は自分の気持ちをすべて文美さんに打ち明けた。
健「僕、文美さんのことが好きです」
文美「ありがと」
文美さんは涙ぐんだ声で言った
健「でも!好きになれないんです、僕が好きになった女の子はみんな死んでしまうんです、だからだめなんです」
健「すみません、好きになってしまって、」
文美「大丈夫だよ、私は絶対に死なない、だって私も健くんのことが好きだから」
そう言って文美さんは僕を優しく包んでくれた。
僕は文美さんの胸の中で泣いた。

10年後
僕と文美は結婚した。
高校生の頃なぜ僕が好きになった人がみんな死んでしまい、なぜ文美だけ死ななかったのかは今もまだ謎だ。
でもそんなことどうでも良かった、だって今幸せだから。
文美は、僕のお気に入りだ。






『私だけのお気に入り』

私の名前は管藁文美(すがわらふみ)、普通の女子高生だ。
私には同じクラスに好きな男の子がいる。
その子の名前は富樫健(とがしたける)くん。

高校1年の冬
私はいつものように健くんのことをつけていた。
そしたら健くんは同じクラスのリコちゃんと仲良さそうに会話していた、それから時が経つにつれて2人はどんどん仲良くなっていく。
それをずっと見ているのが私は辛かった。
だからやるしかなかった。
時間をかけて丁寧に藁人形を作り、そして夜中に家の近くの神社へ行き、良さそうな木を見つけた。
その木にリコちゃんの顔写真をつけた藁人形を釘で刺し、金槌でその釘を叩きつけた。
何度も、何度も。
文美「死ね、死ね、死ね」
そしたら2日後にはリコちゃんは電車に轢かれて死んだ。

高校2年の夏
私はいつものように健くんのことをつけていた。
そしたら健くんは1つ年上の先輩のサチさんと仲良さそうに会話していた、それから時が経つにつれて2人はどんどん仲良くなっていく。
それをずっと見ているのが私は辛かった。
だからやるしかなかった。
やることは同じ、もうなんの躊躇いもなかった。
藁人形に釘を叩きつけた2日後にはサチさんは心筋梗塞で死んだ。

高校3年の春
私はいつものように健くんのことをつけていた。
そしたら健くんは2つ下の後輩のエリちゃんと仲良さそうに会話していた、それから時が経つにつれて2人はどんどん仲良くなっていく。
それをずっと見ているのが私は辛かった。
だからやるしかなかった。
やることは同じ、可哀想なんて全く思わない。
藁人形に釘を叩きつけた2日後にはエリちゃんは通り魔に刺されて死んだ。

高校3年の秋
私はついに健くんと仲良くなった。
しかし健くんはどこか距離を置いているようだ。
いつもは優しいのにたまに冷たい態度をとってきたり、同い年なのに敬語だったり。
なぜだろう。
そんなある日、健くんは私に打ち明けてくれた。
健「僕、文美さんのことが好きです」
私はやっと夢が叶い思わず涙を流した。
文美「ありがと」
健「でも!好きになれないんです、僕が好きになった女の子はみんな死んでしまうんです、だからだめなんです」
健「すみません、好きになってしまって」
全て理解した。
健くんがずっと距離を置いているようだったのは私が死んでほしくないくらい好きになっていたからなのだ。
嬉しかった、嬉しくてたまらなかった。
もう名前も忘れた3人の死のおかげで健くんの私に対する愛がわかった。
だから言ってあげた。
文美「大丈夫だよ、私は絶対に死なない、だって私も健くんのことが好きだから」
そう言って私は健くんを優しく包んであげた。
健くんは私だけのものになった。
健くんはは私の胸の中で泣いた。
健くんは、私だけのお気に入りだ。

2/18/2024, 9:40:04 AM