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9/9/2025, 9:09:28 AM

クラスでいつも、1人で過ごしている人がいる。
他のみんなが話していても気にすることなく、本を読んだり、お昼ごはんも1人で食べている。
「あいつって、静かだよなぁ」
「そうだなぁ」
とは言っても、嫌われているわけではない。
「でも、1人でいて、つまらなくないのかな」
僕は昔、友だちができなくて、焦っていたときがある。友だちができない、どうしよう。あの輪に入りたいけど、仲間になれなくて、泣いたこともあった。
今は気の合う友だちがいるから、毎日が楽しい。
でも、彼を見ていると、友だちがいなくてもつまらなそうではないし、むしろ、孤高の存在のようでカッコよく見える。
仲間になれなくて不安だった自分。今なら、みんなには友だちがいるのに自分にはいない。と焦る必要はないし、仲間になれなくても、自分らしく楽しめばいいんだ。と思えるようになったのでした。

9/8/2025, 9:15:01 AM

「あ、強くなってきた」
就業後、会社を出るとき、邪魔になる程度の雨が降っていた。
「強くなるかもしれないし、念の為、置き傘を取ってくるか」
面倒くさかったけれど、傘を取りに戻って正解だった。
「良かった、取りに行って」
傘を広げると、さらに雨は強くなる。
「…通り雨かな」
でき始めた水溜りを避けながら駅へ歩いていると、コンビニの明かりに照らされた、雨と君が見える。
「あ…」
「傘、持ってないの?」
近くまで行くと、君が僕に気付いたのでそう言うと
「はい。小雨だったので油断しました。傘を買おうと思ったら品切れしてて…また小雨になるまで雨宿りさせてもらってます」
あはは。と笑う。
「良かったら、狭いけど入る?」
と誘ってみると
「いえ、申し訳ないですから…」
思った通り断られる。
「でも、いつ弱くなるかわからないし。ね。」
もう一度誘ってみると
「…ありがとうございます」
君はおずおずと傘に入ってくる。
「じゃ、行こうか」
「はい」
気になっている君と並んで歩く。改めて、傘を取りに戻って良かった。と思ったのだった。

9/7/2025, 8:58:14 AM

誰もいない教室で、1人、掃除をする。
「昨日、掃除当番なのに、時間になっても来なかった。と報告が来ています。昨日掃除をしなかった代わりに、今日、1人で掃除してください」
昼休みに担任にそう言われ
「わかりました」
今に至るわけなんだけど。
「みんながいるときはわからないけど、教室って、結構広いんだな」
机と椅子を後ろに運び、前のスペースをほうきで掃く。サッサッサッという音が響き、1人でいる。という現実を、嫌と言うほど理解させられる。
「ま、急ぐ用事もないし、ゆっくりやるか」
と、のんびり掃除をしていると
「私も手伝うよ」
背後から声が聞こえた。
「あれ、どうしたの?」
振り向くと、そこにいたのは同じクラスの女子で。
「帰ったんじゃなかったの?」
掃除の手を止め、そう聞くと
「友だちと一緒に帰ってたよ。けど、その子から、今日の掃除はあなたが1人でやることになった。って聞いて…」
走って来てくれたのか、息を整えながらキミは答える。
「昨日、あなたが掃除しなかったのは、私のせいなのに…」
申し訳なさそうにされ
「キミのせいじゃないよ、気にしないで」
笑ってみせるけど
「ありがとう。そう言われても、私は気になっちゃう。だからね、手伝わせて」
キミは譲らない。
「わかった。じゃあ、悪いけどお願いするよ」
「うん」
昨日、掃除をしなかった理由。それは、廊下で倒れたキミを、保健室に運び、しばらく様子をみていたから。掃除をしなかったことは悪いことだけれど、倒れたキミを放っておく自分にならなくて良かった。と思ったのだった。

9/6/2025, 1:12:45 AM

8月31日、午後5時 夏の忘れ物を探しに ページをめくる secret love 言い出せなかった「」 信号 です。
やっと今までのお題が書き終わりました。
毎日提出されているみなさん。本当にすごいし、尊敬します。


8月31日、午後5時

8月31日、午後5時。今僕はピンチを迎えていた。
「あと、何時間だ。何時間ある?」
時計をちらりと見るが、疲れた頭では答えが出ない。
「だから、計画的に。って言ったでしょ」
そう言われて怒られても、僕には手を動かすことしかできない。
「とにかく、やらなきゃ」
夏休み最後だというのに、終わっていない大量の宿題を机に積み上げ、僕は奮闘するのだった。


夏の忘れ物を探しに

「あぁー、海だー」
駐車場にバイクを停め、砂浜へ降りる。そして、裸足になると、海に足をつけた。
「お、気持ち良い」
暑さが和らぐ時間帯。思っていたよりも水は冷たく、気持ち良かった。
「…来て良かったな」
夏に毎年来ている海。今年は行ける時間がなく来れていなかった。行けないなら行けないで、それでもいいかと思っていたのに、何となく、心が落ち着かない。もしかしたら、海に行けていないことが気になっているのかも。そう思った俺は、夏の忘れ物を探しに海まで来たのだ。
「心が、落ち着いた」
やっぱり、落ち着かない原因はこれだったのか。心残りを解消し、キレイな海も見られて、満足した俺だった。


ページをめくる

ページをめくると、その日の思い出がよみがえる日記帳。毎日書かなきゃ。って義務化してる気がしないでもないけど、こうして後で振り返ったとき、楽しい思い出、悲しい思い出、悔しかった気持ち。いろいろ思い出される。
自分が忘れてしまう出来事も代わりに覚えていてくれる優れもの。これからも日記を忘れずに書こうと思うのだった。


secret love

あなたに視線を送ると、それに気付いて笑顔をくれる彼。
禁止にはされていないけど、誰にも話していない、彼との社内恋愛。
悪い事なんてしていないけど、いつか誰かにバレてしまうんじゃないか。
公にしていないことで、誰かが彼を好きになってしまうんじゃないか。
そんな不安もあるけれど、毎日ドキドキしながら、彼とのsecret loveを楽しんでいる。


言い出せなかった「」

久しぶりに実家に帰ると、これまた久しぶりに幼なじみに会った。
「お、久しぶりじゃん。元気だった?」
出かけようと玄関を出ると、キミは家に入るところのようだった。
「久しぶり。元気だったよ」
久しぶりに会ったこともあり、近況報告をし合っていると
「そう言えば、今日はどうしたの?」
と、キミに聞かれる。
「今度、仕事で必要になるものがあるんだけど、買わなくても実家にあるよな。って思って取りにきたんだ」
そう答え
「そっちは?」
と返すと
「付き合っている彼と結婚することになって。電話で報告しても良かったんだけど、直接言いたくて来たんだ」
キミは幸せそうに笑う。
「そっか。おめでとう」
「ありがとう…っと、そろそろ家に入るね」
キミは時間を確認し、申し訳なさそうに告げる。
「ああ、またな」
キミが家に入る姿を見送り
「結婚、するのか」
僕はそっとつぶやく。
関係を壊したくなくて、言い出せなかった「好き」の気持ち。いろんな思いが胸に渦巻く中、この気持ちをどう昇華させようかと、空を見上げて立ち尽くすのだった。


信号

校内を歩いていると、キミと誰かが、人影の少ない場所で話しているところに遭遇した。
「聞かれたくない話でもしてるのかな?」
と思いながら近づいていくと、僕に気付いたキミが、目をパチパチと動かしているのが見える。
「あ、もしかして…」
キミが出す信号の意味がわかり、小走りで近づくと
「こんなところにいたの?スマホに連絡入れたけど返事がないから探してたんだ。教授が呼んでるから行くよ」
キミの腕を取り、歩き出す。
「ありがとう、気付いてくれて助かったよ。呼び出されて告白されたんだけど、断っても、友だちになって。とかしつこくて、放してくれなくてさ」
キミは疲れたようにため息を吐く。
「キミからの信号だからね。ちゃんと気付くよ」
「うん」
キミはうれしそうに笑うけど、僕が出す
「キミが好き」
の信号に気付いてくれたらなぁ。と思うのだった。

9/3/2025, 9:32:20 AM

ここにある 夏草 心の中の風景は ふたり です
残りも時間がかかっても書きます。
よろしくお願いします。

ここにある

「あ~、楽しかった」
出口から園内を振り返ると
「うん、楽しかったね」
隣に立つキミも、僕と同じように振り返る。
2人で初めて来た、話題になっている遊園地。閉園時間までたっぷり遊んで、帰るところなのだ。
「楽しかったけど、話題なだけあって混んでたね」
はぁ。とため息を吐くキミに
「そうだね。でも、それは仕方ない」
僕は苦笑いする。
「そのせいで、写真いっぱい撮りたかったのに、全然撮れなった」
ぷぅと頬を膨らませ、不満を露わにするキミに
「大丈夫。写真は撮ってないけど、今日の楽しかった思い出は、ここにあるでしょ」
自分の胸を指差し僕がそう言うと
「うん、そうだね」
キミは自分の胸に手を当て微笑む。
「じゃ、そろそろ帰ろうか」
僕がキミに手を差し出すと
「うん」
キミは僕の手をギュッと掴む。
手をつないだまま遊園地を、後にしたのだった。


夏草

ソファに腰掛け、窓の外に目をやると、夏草が風に揺れているのが見える。
「あら、いい風が吹いているのね」
そんなことを呟きながら紅茶を飲んでみるけれど、それは現実逃避をしているだけだと、きちんと理解している。
「こんなに大きくなるまで、放置していたなんて」
ギラギラと照りつける太陽の下、草取りをしなくてはならない。その逃げられない現実に、頭を抱えるのだった。


心の中の風景は

目を閉じると浮かんでくる、俺の心の中の風景は、ひまわり畑を背にキミが微笑んでいるところ。
病気療養のため、遠くに行ってしまったキミ。元気になって戻って来る。と約束してから2年の月日が流れたけれど、音沙汰はない。
「何年経ってもいい。またキミに会えるなら…」
キミに会えたら連れて行きたい場所。ひまわりのように明るく笑うキミを、ひまわり畑に…。
いつ叶うかわからない想い。その想いが叶うまできっと、目を閉じると同じ風景が浮かぶんだろうな。


ふたり

気付けばいつも、キミとふたりだった。
幼なじみ。なだけなのに、出かけるときは一緒だったし、隣にいる。それが普通だと思っていた。
その普通が揺らいだのは中学生になってから。
キミが告白されているのを見てからだった。
そのときキミは、断っていたけれど、僕と一緒にいるのは、普通でもないし、当たり前でもないと気づかされた。
当たり前じゃないなら、キミと一緒にいるにはどうしたらいいのか。
答えは簡単だけれど、僕のキミへの想いが、言葉にするなら何なのか。がわからない。
妹のような存在。なのか、好きな子。なのか。
でもきっと、告白されているのを見たとき胸が痛んだから、妹とは思っていないだろう。
これからもキミとふたりでいるために、僕は素直な気持ちをキミに告げる決意をしたのだった。

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