見知らぬ街 もう一歩だけ、素足のままで です。
書けた分だけですが、よろしくお願いします。
見知らぬ街
どこをどうやって歩いて来たのか、気付けば、見知らぬ街にいた。
「ここ、どこだろう?」
辺りを見渡すも、場所がわかるようなものはない。
「どうやって帰るかなぁ」
なんて思ってみたところで、ポケットを探れば、スマホがあるわけで。
「スマホがない時代は、人に聞いたりしてたのかな」
スマホを取り出し、現在地を調べようとしたけど
「やーっめた」
スマホをポケットに戻す。
「忙しいわけじゃないし、せっかくだから、のんびり散策でもしてみるか」
帰れる手段はあるから。と、見知らぬ街を散策することにしたのでした。
もう一歩だけ、
もう一歩、もう一歩だけ、その一歩分だけでも、キミに近づけたら、伸ばしたこの手は、キミに届いたのかな。
友だちとして仲が良い、僕とキミ。そう、どんなに仲が良くても、キミが好きでも友だち止まり。なぜなら、キミには彼がいるから。
だから、キミが彼のことで泣いていても、僕は友だちとしての対応しかできない。
そばにいて、大丈夫?と声をかけることしか…。
こんなとき、あともう一歩だけ、キミに近づけたら、優しく背中や髪を撫でることもできるのに。
僕とキミを隔てる見えない壁。その壁を壊したとき、僕たちは何か変わるのかな。
今はまだ手が届かないキミ。だけど僕は、手が届くまで諦めないと、キミの涙に誓うのだった。
素足のままで
素足のままで、アスファルトに触れてみる。
「うわっ、あっつ」
やけどしそうなくらい、アスファルトは焼けている。
「普段、履物を履いているから気付かなかった」
思っていたよりも、ひどい現状に
「気づかなくてごめんね。今度からは、朝早くと夜になってから、散歩は行くようにするね」
キミを抱きしめ謝ると
「ワン」
キミはうれしそうに、尻尾を振ったのでした。
君と飛び立つ Midnight Blue 遠雷 です。
書けた分だけですが、よろしくお願いします。
君と飛び立つ
君と飛び立つとしたら、どこに行こう?
どこへ?か。…そうだなぁ。俺たちを知る人がいないところへ。
でもそれって、淋しくない?
うーん、淋しくない。と言ったら嘘になりそうだけど、俺には君がいるから大丈夫。愛する君だけがいれば、淋しくても辛くても、やっていける。
そっか。あなたは強いね。
いやいや、俺は強くないでしょ。
え?
だって、俺には君がいないとダメなんだよ。君がいなかったら俺は、何もできやしない。君がいるなら、俺は強くなれるかも。いや、君のために強くなってみせるよ。
ありがとう。何だかやれそうな気がしてきた。
でしょ?俺たちなら大丈夫。お互いがいればね。
俺たちならどこに飛び立とうが大丈夫。何とかなる。そう強く思えたのだった。
Midnight Blue
「見てみて。Midnight Blueがどこまでもひろがってるよ」
両手を広げ、砂浜ではしゃぐキミ。俺は、キミと2人で深夜の海を見に来ていた。
「ホントだな」
闇のように深い青。夜空の星や月の輝きで、より一層、深い青に見える。まるで、闇に落ちてしまいそうなくらいに。
「あと数時間後には、ここで撮影だね」
「ああ」
ウェディングフォトを撮るため、お願いしたフォトスタジオの方たちより早めに来た俺たち。この日が来るのを楽しみにしていたからか、よく眠れず、外に出て来たのだ。
「…こんなに遅い時間はムリだろうけど、夜も撮りたいな」
夜空を見上げ、つぶやくキミ。
「そうだな、お願いしてみるか」
太陽に照らされ、ギラギラ輝くSea Blueと、月と星たちに静かに照らされ闇に支配されそうなMidnight Blueを背景に、撮る写真。どう写るのか、俺も見てみたくなった。
「ま、いつ撮っても、キミが1番輝いていることは間違いないだろうけど」
「え?」
恥ずかしいのか、両頬を押さえるキミ。そんなキミを微笑ましく思いながら、昼と夜の顔の違いを楽しみにする俺なのでした。
遠雷
遠くの方で鳴っている雷。遠雷を聞きながら、俺は彼女の家へ向かっていた。
「…なんとなく、だんだんと音が大きくなっているような…」
雷は、正直苦手な俺。できるなら、雷が鳴りそうな日に出かけたくはないのだが、具合が悪いという彼女のため、そうも言っていられない。
「ちょっと風邪気味なだけだから、心配しないでね」
電話口で彼女はそう言っていたけれど、それを知ってしまったら、居ても立ってもいられず、気がつけば、車に乗り込んでいた。
「あ、雨が降ってきた…」
苦手な雷の方に向かっているかも。と気付きながらも、彼女の身を案じ、車を走らせるのだった。
終わらない夏 足音 なぜ泣くの?と聞かれたから きっと忘れない です。
まだまだ書けていないお題がたくさんあるので、少しずつですが、書きたいと思っていますm(_ _)m
終わらない夏
「はぁ~、今日も暑いなぁ」
8月も終わりだというのに、太陽がギラギラと照りつけ、外回りをする営業職の俺の体力は、ジリジリと削られていた。
「そうですねぇ…あ、かき氷食べません?」
一緒に行動をする新人の彼。営業の仕事を教えるため一緒にいるのだが、汗をタオルで拭きながら、かき氷の暖簾を見つけ、にこにこしている。
「そうだな、少し休憩するか」
「やった~」
彼はうれしそうに店へと駆けていく。
「若いっていいよな」
苦笑いしながら、俺も店へ足を運んだ。
「う~ん、冷たくておいしい」
頬に手を当てはしゃぐ彼に
「元気だなぁ」
ハハッと笑うと
「暑い中外を歩く、僕たちの癒しじゃないですか、かき氷」
フフッと笑い、かき氷を堪能している。
「まあ、そうかもしれないけど…早く涼しくなってほしいよ」
ふぅ。とため息を吐くと
「そうですね。でも僕は、夏にしかできないことを、まだやりきってないので、まだまだ終わらない夏を満喫します」
と、ニコッと笑う。
「そうか。楽しんでくれ」
終わらない夏にうんざりしている俺は、彼のキラキラとした笑顔を見ながら、かき氷を口に運ぶのだった。
足音
「ただいま」
玄関を開けそう言うと、パタパタと奥から音が聞こえる。
「おかえりなさい」
パタパタの音は、キミの足音。帰ってきた僕を迎えるために、毎日手を止め、玄関まで来てくれる。
「お疲れさまでした」
労う言葉に優しい笑顔。キミがいてくれるだけで、仕事の疲れが取れていく。
「ありがとう」
1人じゃない。と教えてくれる足音。足音は、僕にとって、幸せの音なのでした。
なぜ泣くの?と聞かれたから
なぜ泣くの?と聞かれたから
泣きながら、胸が苦しいから。と答えた。
どうして苦しいの?とさらに聞かれたから
あなたのことが好きだから。と素直に答える。
え?と口元を手で押さえ、困惑する彼に
私はクラスで目立たない存在でしょ?私の名前もわからない人がいるくらいに。でも、そんな私のことを気にかけて、声をかけてもらえて、うれしくて。気が付いたら、あなたのことを好きになってた。
そう言うと、あなたは私から目をそらす。
ごめんなさい。気持ちを伝えたら、あなたを困らせる。わかってたから、言うつもりはなかった。でも、想いがあふれて苦しくて…。
慌てて謝ると
いや、そうじゃなくて
あなたは、そらしていた目を元に戻し
俺も、キミのこと、気になってて。だから、声をかけてたんだ。
ほんのり、頬を紅く染める。
確かにキミは、クラスでいつも1人でいる。けれど、そのことを気にすることなく、臆することなく、凛としていてカッコいいと思ってたんだ。だから…
あなたは私に手を差し出し
もっとキミのことが知りたい。それで、俺のことも知ってもらったあと、良ければ付き合ってほしい。だからまずは、友だちになってください。
ニコッと笑う。
ありがとう。お願いします。
差し出された手をそっと掴むと、私は微笑んだのでした。
きっと忘れない
きっと忘れない。あの日の出来事を…。
俺が小学生のとき、夏休みに遊びに行っていた祖父母の家。
近くに住んでいる女の子と川で遊んでいたとき、2人とも川に流された。
運良く2人とも助けてもらったけど、流される恐怖、女の子の助けを呼ぶ声、助かったときに女の子と抱き合って泣いたこと。今でも心に、耳に、残っている。
女の子の名前は覚えていない。でも、しばらく訪れていない祖父母の家を、近々訪ねてみようと思う。
君が見た景色 !マークじゃ足りない感情 遠くの空へ です。
君が見た景色
「うわっ、キレイな海。これってどこ?」
旅行が趣味の大学時代のサークル仲間が、お土産を渡したい。と連絡をくれ、久しぶりにカフェで会っている。
「これはね…」
写真を見ながら、旅行した場所と思い出を語ってくれる彼女。楽しい思い出だからなのか、にこにこと笑いながら、時にはそのときのことを思い出すように目を閉じたりしながら話してくれる。
「いいなぁ、俺も旅行に行きたい。けど…どこがいいのか詳しくないし…」
君をじっと見ながらそう言うと
「私が行きたい場所で良ければ、今度一緒に行く?」
思惑通りの言葉をくれる彼女に、内心ガッツポーズしながら
「いいの?行きたい」
前のめり気味に返事をすると
「わかった。今度旅行に行くときに、声かけるね。けど、私と一緒…2人で旅行になるけどいいの?」
そう聞いてくる。
「もちろんいいに決まってる。俺は、君が見た景色を、隣で一緒に見たいんだ」
君の手をガシッと握ると、君は頬を紅く染めるのだった。
!マークじゃ足りない感情
「は?お前、彼女できたの?」
報告したいことがある。と連絡をもらい、久々に会った幼なじみ。同い年ということもあり、友だちというより、ライバル。と勝手に思い込み、学生時代を過ごしていた。
「で、相手は。相手はどんな人?」
ライバルだと思ったのはそこまでで、社会人になった今は、お互いにグチも話せる友だちだと思っている。
「相手は、お前も知ってる人」
「俺が知ってる。…だと、同級生の誰か?」
「いや、年下で、お前も知ってる人、いるだろ?」
「え?年下で、俺も知ってる…」
うーんと考えてみるが答えは出ない。
「ダメだ。考えてもわからん」
降参とばかりに両手を挙げると
「…わかんねえの?」
不思議そうな顔で彼にじっと見られるが
「全然わからん」
俺は首を横に振る。
「そっか。じゃあ、答えを言うよ。俺の彼女は…」
「お前の彼女は…」
「お前の妹」
「………は?」
彼の言葉に、俺の思考は停止する。
「だから、お前の妹だよ」
聞き間違えかと思ったが、どうやらそうじゃないらしい。
「え、マジで?」
「うん」
にこにこしながら彼が頷く姿に、!マークじゃ足りない感情を、俺は感じたのだった。
遠くの空へ
空を見上げ、キミがいる、遠くの空へ思いを馳せる。キミも同じ空の下で、頑張っているのかな。って。
パティシエになりたい。そう言ったキミに、パティシエの修行に、パリに行ってみたら。と提案したのは俺。
離れるのは淋しい。という感情より、夢を叶えてほしい。そう思って、キミの背中を押したけど、実際離れてみると、キミがいない淋しさで、胸が押しつぶされそうになる。
連絡がとれないことはないけれど、頑張っているキミの邪魔はしたくない。そう思って、こちらからは連絡しないと決めた。でもどうしても辛くなったときは、空を見上げ、キミも同じ空の下で頑張ってるんだ。そう思って、踏ん張っている。
キミが夢を叶えて戻って来るのを、俺は楽しみに待っているのだった。
風を感じて やさしさなんて こぼれたアイスクリーム 真夏の記憶 言葉にならないもの です。
風を感じて
仕事が忙しく、たまの休みは寝てるか家のことをしていたんだけど、久しぶりに時間が取れたので、のんびりと散歩をすることにした。
「こんなにゆっくりできるのは、いつぶりかなぁ」
歩きながら伸びをすれば、室内にばかりいて光を浴びていない体も、気持ちまでもスッキリした気分になる。
「うーん、気持ち良い」
やわらかい風を感じて空を見上げれば、どこまでも広がる、青い空。
「…家に閉じこもってばかりって、心にも体にも良くないのかもな」
今度からは短い時間でも、外に出て自然を感じようと思うのだった。
やさしさなんて
「ダメだよ、やさしくしないで」
涙を手で拭いながら、キミは強い言葉で僕をけん制する。
「やさしさなんていらない。やさしくされたら、自分がダメになってしまうから」
顔を両手で覆い、キミは泣き続ける。
「そんなことには、ならないと思うよ」
僕はキミの頭をそっと抱き寄せ
「むしろ、キミの場合は、もっと甘えていいと思う」
そう言うと
「え?」
キミは僕を見上げる。
「今までキミは、誰にも甘えることなく、仕事に打ち込んできたでしょ。今回は、1人で頑張りすぎて起こってしまったミス。これからは僕たちを頼ってよ。それとも僕たちは頼りにならない?」
困った顔でキミに問いかけると
「ありがとう。これからは頼りにさせてもらうね」
涙の跡はそのままに、キミは微笑むのだった。
こぼれたアイスクリーム
「うわーん」
ショッピングモールに響き渡る泣き声。何事かと、声のする方へ行ってみると、泣いている男の子と、床にこぼれたアイスクリーム。
「どうしたの?」
男の子の視線に合わせ、話しかけてみると
「アイスクリーム、こぼしちゃって。でも、拭くもの、持ってない」
一度泣き止んだ瞳が、うるうるしてくる。
「大丈夫だよ、僕が持ってるから」
バッグからティッシュを取り出し、床を拭こうとすると
「僕がやる」
男の子はしゃがみ込み、僕からティッシュを取ると床を拭きはじめる。
「お兄さん、ありがとう」
拭き終わった男の子は、汚れたティッシュを手に持ちニコッと笑う。
「いいえ」
僕も男の子に笑顔を返すと、男の子は僕に手を振り、その場を離れる。
「結婚して子どもができたら、男の子みたいな子に育つといいな」
その前に相手を探さなきゃ。と苦笑いしながら、遠ざかる男の子の背中を見送ったのでした。
真夏の記憶
真夏になると思い出す、真夏の記憶。
それは…
小学生のときに行ったプール。あまりの人込みで、一緒にいた親とはぐれた時のこと。
大人にぶつかられ、持っていた浮き輪を離してしまい、溺れてしまったのだ。
そこで助けてくれたのが、監視員のお兄さん。
溺れた恐怖と、助かった安堵で泣いてしまった僕を、優しく落ち着かせてくれた。
そのときのお兄さんのようになりたい。そう思い、今僕はプールの監視員をしている。
僕の真夏の記憶は、良い思い出とは言えないけれど、僕の夢を作ってくれたのでした。
言葉にならないもの
「ねえ、私のこと、どれくらい好き?」
僕の目を見つめ、にこにこと笑いながら、よく聞くセリフを言うキミ。
「どれくらい。って、どう表現したらいいの?」
表現の仕方がわからず、キミに聞いてみると
「そうだなぁ。両腕をいっぱい広げたくらい…とか」
キミが聞いたのに、どうやら、的確な言葉はないらしい。
「僕がキミをどれくらい好きかというと…」
「うんうん」
「それは、言葉にならないもの。だね」
「ん?どういうこと?」
「どれくらい。って、言葉で表現するのは難しいよ。でも僕は、キミだけを愛してる。キミのことで頭も心もいっぱいになるくらいに。…こんな答えじゃダメかな」
そう言った僕の言葉に、キミは顔を真っ赤に染めるのだった。