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8月31日、午後5時 夏の忘れ物を探しに ページをめくる secret love 言い出せなかった「」 信号 です。
やっと今までのお題が書き終わりました。
毎日提出されているみなさん。本当にすごいし、尊敬します。


8月31日、午後5時

8月31日、午後5時。今僕はピンチを迎えていた。
「あと、何時間だ。何時間ある?」
時計をちらりと見るが、疲れた頭では答えが出ない。
「だから、計画的に。って言ったでしょ」
そう言われて怒られても、僕には手を動かすことしかできない。
「とにかく、やらなきゃ」
夏休み最後だというのに、終わっていない大量の宿題を机に積み上げ、僕は奮闘するのだった。


夏の忘れ物を探しに

「あぁー、海だー」
駐車場にバイクを停め、砂浜へ降りる。そして、裸足になると、海に足をつけた。
「お、気持ち良い」
暑さが和らぐ時間帯。思っていたよりも水は冷たく、気持ち良かった。
「…来て良かったな」
夏に毎年来ている海。今年は行ける時間がなく来れていなかった。行けないなら行けないで、それでもいいかと思っていたのに、何となく、心が落ち着かない。もしかしたら、海に行けていないことが気になっているのかも。そう思った俺は、夏の忘れ物を探しに海まで来たのだ。
「心が、落ち着いた」
やっぱり、落ち着かない原因はこれだったのか。心残りを解消し、キレイな海も見られて、満足した俺だった。


ページをめくる

ページをめくると、その日の思い出がよみがえる日記帳。毎日書かなきゃ。って義務化してる気がしないでもないけど、こうして後で振り返ったとき、楽しい思い出、悲しい思い出、悔しかった気持ち。いろいろ思い出される。
自分が忘れてしまう出来事も代わりに覚えていてくれる優れもの。これからも日記を忘れずに書こうと思うのだった。


secret love

あなたに視線を送ると、それに気付いて笑顔をくれる彼。
禁止にはされていないけど、誰にも話していない、彼との社内恋愛。
悪い事なんてしていないけど、いつか誰かにバレてしまうんじゃないか。
公にしていないことで、誰かが彼を好きになってしまうんじゃないか。
そんな不安もあるけれど、毎日ドキドキしながら、彼とのsecret loveを楽しんでいる。


言い出せなかった「」

久しぶりに実家に帰ると、これまた久しぶりに幼なじみに会った。
「お、久しぶりじゃん。元気だった?」
出かけようと玄関を出ると、キミは家に入るところのようだった。
「久しぶり。元気だったよ」
久しぶりに会ったこともあり、近況報告をし合っていると
「そう言えば、今日はどうしたの?」
と、キミに聞かれる。
「今度、仕事で必要になるものがあるんだけど、買わなくても実家にあるよな。って思って取りにきたんだ」
そう答え
「そっちは?」
と返すと
「付き合っている彼と結婚することになって。電話で報告しても良かったんだけど、直接言いたくて来たんだ」
キミは幸せそうに笑う。
「そっか。おめでとう」
「ありがとう…っと、そろそろ家に入るね」
キミは時間を確認し、申し訳なさそうに告げる。
「ああ、またな」
キミが家に入る姿を見送り
「結婚、するのか」
僕はそっとつぶやく。
関係を壊したくなくて、言い出せなかった「好き」の気持ち。いろんな思いが胸に渦巻く中、この気持ちをどう昇華させようかと、空を見上げて立ち尽くすのだった。


信号

校内を歩いていると、キミと誰かが、人影の少ない場所で話しているところに遭遇した。
「聞かれたくない話でもしてるのかな?」
と思いながら近づいていくと、僕に気付いたキミが、目をパチパチと動かしているのが見える。
「あ、もしかして…」
キミが出す信号の意味がわかり、小走りで近づくと
「こんなところにいたの?スマホに連絡入れたけど返事がないから探してたんだ。教授が呼んでるから行くよ」
キミの腕を取り、歩き出す。
「ありがとう、気付いてくれて助かったよ。呼び出されて告白されたんだけど、断っても、友だちになって。とかしつこくて、放してくれなくてさ」
キミは疲れたようにため息を吐く。
「キミからの信号だからね。ちゃんと気付くよ」
「うん」
キミはうれしそうに笑うけど、僕が出す
「キミが好き」
の信号に気付いてくれたらなぁ。と思うのだった。

9/6/2025, 1:12:45 AM