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5/8/2025, 8:47:51 AM

ラブソング 木漏れ日 です


ラブソング

「ねえ、この曲、歌ってくれないかな?」
キミとカラオケに来て、2人で好きな曲を交互に歌い、少し疲れたね。と休憩しているときにお願いされる。
「どれ?…ああ、このラブソング?」
「うん、そう」
にこにこと笑うキミに
「ラブソングは、ちょっと…」
申し訳ないとは思いつつ、やんわり断ると
「えー、何で?…もしかして、この曲歌えない?」
思ったとおりの反応をされる。
「いや、歌えるよ」
「なら、私のために歌ってよ」
不満そうな顔をするキミに
「ごめん、キミのためにだと、なおさら歌えない」
そう言うと
「…私のこと、好きじゃないってこと?」
キミは悲しそうな顔になる。
「そうじゃない」
「じゃあ、どういう意味?」
今にも泣き出しそうな顔で俺を睨みつけるキミを
「大好きだから、歌えないんだ」
落ち着かせるようにそっと抱きしめる。
「好きだから歌えない。って、わけわかんない」
俺の腕の中から俺を見上げ、不満をぶつけるキミに
「ラブソングはさ、その曲を作った人が、大切な人を想いながら書いたものでしょ?その誰かへの想いを、俺がキミへの想いとして歌うことはしたくない。俺は、俺の想いを言葉にして、キミに伝えたい。曲は作れないから歌にはできないけど」
思っていることを伝えると
「大好き」
キミは俺にギュッと抱きついたのだった。


木漏れ日

木漏れ日が降り注ぐ公園のベンチで、目を閉じているあなたを見かける。
「外回りに出かけたと思ったら、こんなところで休憩してたんだ」
郵便物を出しに外に出たついでに、まだ取っていなかった昼休憩を取ろうと公園に寄ったら、偶然見かけたのだけれど。
「どうしよう、寝てるんだよね?」
ベンチに近寄ってみるけれど、寝ているようでピクリとも動かない。
「疲れてるのかな、このままにしておこう。けど」
何となくあなたのそばにいたくて、寝ているあなたの隣に座ったのだった。

5/6/2025, 9:48:55 AM

キミから届いた手紙を開けると、ほのかに、キミの香りがした。
「…いつもつけてる香水の香りだ」
キミとの連絡はスマホだから、なぜ手紙を。と思ったけれど、遠距離でなかなかキミと会えなくて、淋しがってる僕が、淋しくないように、キミを身近に感じられるように。という気遣いなのかもしれない。
「優しいなぁ」
そう思いながら手紙を開くと、僕への想いがたくさん綴られている。
「…会いたい」
手紙を読み終わると、会いたい気持ちがあふれてくる。
「僕も書こうかな」
手紙を封筒に戻そうとしたとき、封筒に水滴が落ちたような跡を見つける。
「…これって」
キミの涙の跡…そんなわけ…。
何の跡だか僕にはわからないけれど、すぐにでもキミに会いに行くと決めたのだった。

5/5/2025, 8:50:06 AM

sweet memories 青い青い すれ違う瞳 です

sweet memories

「私ね、転校することになったの」
公園のブランコに乗り、何でもないことのようにキミはサラッと告げる。
「…それって、いつ?」
平静を装い聞いてみると
「1週間後だよ」
キミは空を見上げ、答えてくれる。
「1週間…後」
「うん。それまでは、いつも通りに過ごしたいから、みんなには内緒ね」
淋しそうに笑うキミに
「…どうして僕には、話してくれたの?」
と聞いてみると
「…あなたには、知っててほしいと思ったから」
そう、言われる。
キミに片思いをしている僕。
キミと過ごせる1週間の間に、キミにも僕にも心に残る、sweet memoriesを作ろうと決意したのだった。

青い青い

どこまでも青い青い空を見上げふと思う。
みんな、元気かな。って。
学校を卒業してから、親しい友だちとしか連絡をとってないし、進んだ道は、みんなバラバラ。
特に、好きだった子がどうしているか、今でも気になっていた。
卒業式で、想いを伝えようか迷ったけど、その子には好きな人がいる。って聞いていたから、困らせたくなくてやめた。それなのに、どうしているか気になるなんて。
せめて、元気でいてほしい。
どこまでも青く広がる空を見上げながら、願うのだった。


すれ違う瞳

キミとすれ違うとき、ホントなら目を見つめたいけれど、僕の想いに気づかれてしまいそうで、見ることができない。
もしかしたらキミも僕を見ているかも。
そんな淡い期待も持っているけれど、やっぱり怖くて見ることができない。
それでも、キミとすれ違うときには
「すれ違う瞳に、僕を映して」
と願ってしまうのだった。

5/2/2025, 7:50:29 AM

軌跡 風と です

軌跡

僕が今まで歩んできた軌跡を振り返ると
楽しかったことより、辛かったことの方が多かったように感じる。
勉強も運動も人並みで、得意なこともなく、ただただ平凡で…。
そんな人生を歩んできた僕だけど、幸せな出来事が起きた。それは、僕を好きだと言ってくれる人が現れたこと。
それまで、暗い道を歩いていたような人生だったけど、一気にバラ色へと変わる。
他人から面白味がない。そう思われていたとしても、真面目に生きてきて良かったな。
心からそう思えるほどの奇跡に出会えたことに、僕は感謝したのだった。


風と

そよそよと吹く風に乗り、桜の花びらが空に舞う。
「キレイだね」
桜の木の下で空を見上げるキミは、うっとりとした表情で、それを眺めていた。
「そうだね」
空を埋めつくすほど空を舞う桜。その圧巻の風景をキミの隣で見ていると
「キャッ」
とキミが声を上げる。
「どうし…」
理由を聞くまでもなく、キミがかぶっていた帽子が、空に舞っているのが視界に入った。
「あ、待って」
帽子を追いかけ、舞う桜の中に飛び込むキミ。必死になって帽子を追う姿が、僕には、桜の花を身にまとい、風と遊ぶ妖精のように見え、胸の鼓動がドキドキと騒ぎ出す。
「捕まえた」
舞った帽子を手に持ち微笑むキミがあまりにもキレイで、思わず僕はスマホを取り出し、シャッターを切ったのだった。

4/30/2025, 9:29:04 AM

家が隣同士の幼なじみ。
一緒に遊ぶことが多かったけど、意地悪されることも多かったから、私は苦手だった。
そんな、一緒に遊ぶけど意地悪する彼を
好きになれない、嫌いになれない
そう思っていたのに、彼に彼女ができた。って知って、胸がズキッとしたのは何でなんだろう?
これからは、一緒に遊ぶことがなくなっちゃうからなのかな。
痛みの意味がわからないまま、私はため息を吐くのだった。

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