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5/6/2025, 9:48:55 AM

キミから届いた手紙を開けると、ほのかに、キミの香りがした。
「…いつもつけてる香水の香りだ」
キミとの連絡はスマホだから、なぜ手紙を。と思ったけれど、遠距離でなかなかキミと会えなくて、淋しがってる僕が、淋しくないように、キミを身近に感じられるように。という気遣いなのかもしれない。
「優しいなぁ」
そう思いながら手紙を開くと、僕への想いがたくさん綴られている。
「…会いたい」
手紙を読み終わると、会いたい気持ちがあふれてくる。
「僕も書こうかな」
手紙を封筒に戻そうとしたとき、封筒に水滴が落ちたような跡を見つける。
「…これって」
キミの涙の跡…そんなわけ…。
何の跡だか僕にはわからないけれど、すぐにでもキミに会いに行くと決めたのだった。

5/5/2025, 8:50:06 AM

sweet memories 青い青い すれ違う瞳 です

sweet memories

「私ね、転校することになったの」
公園のブランコに乗り、何でもないことのようにキミはサラッと告げる。
「…それって、いつ?」
平静を装い聞いてみると
「1週間後だよ」
キミは空を見上げ、答えてくれる。
「1週間…後」
「うん。それまでは、いつも通りに過ごしたいから、みんなには内緒ね」
淋しそうに笑うキミに
「…どうして僕には、話してくれたの?」
と聞いてみると
「…あなたには、知っててほしいと思ったから」
そう、言われる。
キミに片思いをしている僕。
キミと過ごせる1週間の間に、キミにも僕にも心に残る、sweet memoriesを作ろうと決意したのだった。

青い青い

どこまでも青い青い空を見上げふと思う。
みんな、元気かな。って。
学校を卒業してから、親しい友だちとしか連絡をとってないし、進んだ道は、みんなバラバラ。
特に、好きだった子がどうしているか、今でも気になっていた。
卒業式で、想いを伝えようか迷ったけど、その子には好きな人がいる。って聞いていたから、困らせたくなくてやめた。それなのに、どうしているか気になるなんて。
せめて、元気でいてほしい。
どこまでも青く広がる空を見上げながら、願うのだった。


すれ違う瞳

キミとすれ違うとき、ホントなら目を見つめたいけれど、僕の想いに気づかれてしまいそうで、見ることができない。
もしかしたらキミも僕を見ているかも。
そんな淡い期待も持っているけれど、やっぱり怖くて見ることができない。
それでも、キミとすれ違うときには
「すれ違う瞳に、僕を映して」
と願ってしまうのだった。

5/2/2025, 7:50:29 AM

軌跡 風と です

軌跡

僕が今まで歩んできた軌跡を振り返ると
楽しかったことより、辛かったことの方が多かったように感じる。
勉強も運動も人並みで、得意なこともなく、ただただ平凡で…。
そんな人生を歩んできた僕だけど、幸せな出来事が起きた。それは、僕を好きだと言ってくれる人が現れたこと。
それまで、暗い道を歩いていたような人生だったけど、一気にバラ色へと変わる。
他人から面白味がない。そう思われていたとしても、真面目に生きてきて良かったな。
心からそう思えるほどの奇跡に出会えたことに、僕は感謝したのだった。


風と

そよそよと吹く風に乗り、桜の花びらが空に舞う。
「キレイだね」
桜の木の下で空を見上げるキミは、うっとりとした表情で、それを眺めていた。
「そうだね」
空を埋めつくすほど空を舞う桜。その圧巻の風景をキミの隣で見ていると
「キャッ」
とキミが声を上げる。
「どうし…」
理由を聞くまでもなく、キミがかぶっていた帽子が、空に舞っているのが視界に入った。
「あ、待って」
帽子を追いかけ、舞う桜の中に飛び込むキミ。必死になって帽子を追う姿が、僕には、桜の花を身にまとい、風と遊ぶ妖精のように見え、胸の鼓動がドキドキと騒ぎ出す。
「捕まえた」
舞った帽子を手に持ち微笑むキミがあまりにもキレイで、思わず僕はスマホを取り出し、シャッターを切ったのだった。

4/30/2025, 9:29:04 AM

家が隣同士の幼なじみ。
一緒に遊ぶことが多かったけど、意地悪されることも多かったから、私は苦手だった。
そんな、一緒に遊ぶけど意地悪する彼を
好きになれない、嫌いになれない
そう思っていたのに、彼に彼女ができた。って知って、胸がズキッとしたのは何でなんだろう?
これからは、一緒に遊ぶことがなくなっちゃうからなのかな。
痛みの意味がわからないまま、私はため息を吐くのだった。

4/29/2025, 9:05:07 AM

どんなに離れていても ふとした瞬間 夜が明けた。 です


どんなに離れていても

半年間、海外での仕事が決まり、キミにそのことを伝えたら
「え、半年間も会えないの」
と泣かれてしまった。
「時差はあるけど毎日連絡するよ」
キミを抱きしめそう言ったけれど、キミの涙は止まらない。
「…俺のこと、こんなにも好きでいてくれてありがとう。俺もキミと離れるの、すごく淋しいし、油断すると泣きそうだよ。でも仕事だから仕方ない。って、割り切ることにした」
俺は抱きしめる腕に力を込め
「半年間、離れてしまうけどこれだけは覚えていて。…どんなに離れていても、キミを愛する気持ちは変わらない。俺にはキミしかいないから」
そう伝えると
「…私もだよ。私にもあなたしかいない」
俺の背中に腕を回し、抱きしめ返してくれる。
淋しい気持ちは変わらないけれど、与えられた試練は越えられる。俺は確信したのだった。


ふとした瞬間

ふとした瞬間思い出す。転校してしまった彼のこと。気がつけば、目で追っていた彼が転校すると知って、目が腫れるくらい泣いて泣いて…。
彼が学校に来る最後の日。全員が手紙を渡すことになっていたから、私は自分の気持ちを書いた。
返事が来ることはなかったけれど、ずっと彼が忘れられなかった。
「どうしたの?」
大きな木の下で、ジュースを買いに行った彼を待っていた私。
「…大きな木を見ると、学校にあった木を思い出すんだよね」
木を見上げ、広げた枝を眺めていると
「…懐かしいな、校庭にあったよね」
私の隣に立ち、彼も木を見上げる。
「僕たちが再会したのも、大きな木の下だったよね」
「うん、そうだったね」
返事は来なかったけど、偶然会えた私たち。
大きな木を見るたび、切ない気持ちを思い出してしまうけれど、その分、彼への想いはこの木のように大きく大きくなっていく。
「行こっか」
「うん」
これからも、忘れられなかった想いと、偶然会えて彼になってくれた彼を大切にしようと思うのだった。


夜が明けた。

夜が明けた。
また今日が始まる。
昨日終わらなかった仕事を、まずは終わらせないと。
そう思いながらベッドから起き上がると、隣で寝息を立てているキミの寝顔が目に入る。
「大変だけど、キミのためにも頑張らないとね」
俺はキミの頬にキスをすると、寝室をあとにしたのだった。

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