君と一緒に住むようになって、僕が知らない一面を、いろいろ見せてくれるようになった。
口を膨らませて不満そうにしたり、口を大きく開けて笑ったり、知らない君に会うたびに、会えた嬉しさで胸が一杯になる。
でも、僕がまだ知らない君は、たくさんいるんだろうな。
これから長い物語を紡いでいく中で、少しでも多くの君に出会えたらいいな。と思うのだった。
部屋のカーテンを開け、眩しい陽射しが降り注ぐ中、背伸びをする。
「よしっ、今日も仕事を頑張るか」
そう思えるようになったのは、同じ部署にいる、キミのおかげだった。
いわゆる僕は、陰キャという日陰の存在。眩しい日向で注目される、陽キャの人たちの陰に隠れ、ただただ仕事をこなしていた。
けれどある日
「いつも仕事頑張ってるね。負けないように私も頑張らなきゃ」
キミにそう言われ
「見てくれている人は、見てくれてるんだ」
ということが分かり、今日も僕は、笑顔で仕事に向かうことができるようになったのでした。
「…嘘だろ」
俺は今、鏡の前で絶句している。
「こんなはずじゃ、なかったのに…」
事の発端は
「うーん、前髪邪魔だな」
から始まった。
「ちょっと毛先を切るくらい、俺にもできるだろ」
そう安易に考え、ハサミを持つと、鏡の前に立つ。
そして、前髪にハサミを入れたら…見るも無惨な姿になってしまったのだ。
「ど、ど、ど、どうしよう。とりあえず、美容室。美容室に行かないと」
俺は、前髪を隠すように帽子かぶって、美容室へ急ぐのだった。
わぁ! と 小さな勇気 です
わぁ!
「わぁ!」
夜空を見上げ、キミは感嘆の声を上げる。
「こんなにたくさんの星、初めて見た」
キラキラ輝く星たちに、うっとりと魅入っている。
「………」
しばらくキミは静かに星たちを見上げていたけれど、ふっと僕を振り返り
「連れてきてくれてありがとう」
ニコッと微笑む。
「気に入ってくれてうれしいよ」
僕は、キラキラ輝く星たちよりも、キラキラな笑顔のキミをずっと見ていたのでした。
小さな勇気
「…どうしよう」
さっきから僕は、どうしようかと迷っていた。
電車のドア付近に座っていたら、見るからに、具合の悪そうな方が乗ってきたのだ。
その方は、電車が走っている間、ドアにもたれかかり俯いている。
僕の他にも気づいている人はいるんだろうけど、誰も動こうとしない。
「…辛そうだな」
迷っている場合じゃない。そう思った僕は、小さな勇気を振り絞り、席を譲るために、立ち上がるのでした。
昨日のお題です。
終わらない物語
「おめでとう」
招待した方たちに祝福され、結婚式が笑顔で幕を閉じる。
「ステキな式になったね」
幸せそうに笑うキミに
「そうだね」
俺も笑顔になる。
「これからは2人きり。楽しい毎日にしようね」
俺の両手をギュッと握り、微笑むキミに
「ああ。俺たち2人の、終わらない物語を笑顔で紡いでいこう」
俺はキスを贈るのだった。