うも

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5/11/2025, 11:24:21 AM

「未来への船」

私は貴方を見ているけれど、
貴方は私を見ることは無い。

貴方は私以外の人を船に乗せようとしている。
自分の未来へ共に連れていこうと必死だ。

わたしはこんなに近くにいるのに誘ってもらえない。

私は船には乗れず、港で旗を振り応援するしかない。
貴方に覚えてもらえる方法はただそれだけ。

5/10/2025, 11:41:26 AM

「静かなる森へ」

がたんがたん、がたんがたん
私は電車に揺られていた。

窓の外の景色は、視力が上がりそうな程の緑一色。
相変わらず田んぼしかないなあ、とぼんやり思う。


繊細で気にしいな性格の私は、新学期の慌ただしい生活にすっかり心を病んでしまった。
それを心配した両親が気晴らしになればと遠方の祖母宅に送ったのだ。

いらっしゃい、としわしわの笑顔に迎えられ家に入る。当然祖母以外に知り合いはいないので、することがなくて近所を散歩してみることにした。

平坦な田舎道を歩いているうちに、荒んだ心がゆっくり和らいでいくのを感じた。

自然に囲まれたこの場所は、静かで居心地がいい。
誰の目も気にすることなく、それでいて優しく見守られているようで温かくなった。

また嫌なことがあればこの「静かなる森」に来よう、と心に決めた。





















かなり無意識だったけど思い出のマーニーみたいになってしまった...オマージュということで...

5/10/2025, 1:22:24 AM

「夢を描け」

先生が言った。貴方の夢は何ですか、と。

少し考えて私は答えた。特にないです、と。

その後、
本当は考えてることがあるんでしょうと言われた。

先生には、私が筆を持ちたがっていることもお見通しだったようだ。
美大も考えたことはあるが、多額のお金をかけ、たゆまぬ努力を続けたとしても報われるとは限らない、きびひい世界だと分かっていたから、諦めていた。

「口に出さないと叶わないよ。まず夢を描く勇気を持たねばいけない。」

その言葉がひどく印象的だった。

5/8/2025, 12:52:11 PM

「届かない...」

仕事を終えて帰宅し、家の玄関を開けると彼女が高いヒールのある靴を履いているところだった。
髪も巻いており、綺麗な服を着ている。新しく買ったのだろうか、今までに見たことのないブラウスだった。

「...どこか行くの?」
「うん、友達と飲みー」
俺が何か答える前に彼女はじゃ、いってきまーすと言って出ていった。静かな玄関に、外を歩く彼女のヒールの音がよく響いた。

珍しくもない出来事に気分を沈ませながら部屋に入り、ソファーに腰を下ろす。さっきまで座っていたのだろう、ソファーの右側はへこんでいた。左側に座った俺は、へこんだ部分を優しく撫でる。


ーーー本当はもう、分かっていた。薄々どころではないくらい、彼女の気持ちが俺に向いていないことには、完全に気がついていた。

気づいてしまってからはいつ振られてしまうのかと毎日怖くて、彼女の目もまともに見れなかった。
それでも、彼女への愛はちゃんと伝えられているつもりだった。

何が足りなかったのかな。


胸の中に燻る想いを、今日もアルコールで溶かしていく。



5/7/2025, 11:30:51 AM

「木漏れ日」

ある放課後、わたしは廊下を走って教室に戻っていた。
忘れものしちゃうなんて本当についてない。
吹奏楽部が練習してたらどうしよう気まずいな、とか
考えながらそっと自分の教室のドアを開ける。

教室に入り私は、そのまましばらく動けなかった。
貴方が顔を伏せて気持ちよさそうに眠っていたからだ。窓際の席で暖かい太陽の光を浴びながら眠る貴方は、まるで1人だけスポットライトが当たっているようだった。

貴方を起こさないようそっと忘れものをかばんに入れ、ゆっくり席に近づいて貴方の顔をのぞき込む。

長いまつ毛がよく見える。

みんなの知らない貴方を独り占めしていると思うと嬉しくなって、「好きだよ」なんて呟いてみる。

「今度はちゃんと起きているときに言うからね」と
声をかけ、教室のドアの方へ向かう。

その後、物音がして振り返ると、貴方は穏やかな顔で
こちらを見つめていた。

木漏れ日の振るなかで微笑む貴方は、
ひどく綺麗だった。

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