「今年の抱負」
昼食か夕食か、はたまたおやつとしてなのかもはや分からないくらいだらだらとずっと食事をしていた。
もしかしたらまだ朝ごはんかもしれなかった。
部屋の中にはずっとお笑い番組が流れていて、漫才やコントを贅沢にBGMとして扱いながらスマホを見る。
しばらくそうしているとぱっと画面が変わった。電話だ。名前を見て自然に口角を上げる。
テレビの音量を下げながら「もしもし?」と応えると、
「彼氏くん今なにしてんのーん」と陽気な声が聞こえる。
「いやね、昨日会ったとき今年の抱負聞き忘れたなって思ってさ」
思ったより内容しょぼいなという声は心にしまう。
『逆に彼女さんは今年の抱負決めたの?』と聞くと
待ってましたと言わんばかりに自分の抱負を語り出した。しっかり聞いていないが、要は今暇していたということだ。
「で、抱負なに???」
もう一度俺のターンが回ってくる。多分興味は無い。
惰性で聞いているだけなのが声だけで分かる。
『うーん早寝早起きかな』
普通すぎるな一周まわって珍しいなどの茶々が飛ぶ。
「そんなこと言ってー、ほんとは私と来年も幸せに生きることでしょ?」
おっと図星
「揺れるキャンドル」
乱雑に玄関を開け、右肩に乗る荷物をその辺に放る。
そして一直線に冷蔵庫へ向かい、もう片方の手に持っていた白い箱を中へ入れる。
白い箱はすかすかの冷蔵庫を大きく占領し、我が物顔で居座っていた。
部屋着に着替えたり諸々の準備を済ませ再び冷蔵庫の前に立つ。
先程より少し冷えた箱を机にだし、箱を開ける。
プレートをゆっくり引っ張り、まん丸のケーキを取り
出す。
ひとしきり写真を撮ったら、台所の引き出しからろうそくを1本抜き、ケーキの中央付近に差す。
電気を消し、ろうそくに火をつける。
この歳になると、お祝いの連絡も何人かからぽろぽろと送られてくるだけになり盛大に祝われることも無くなる。
だがしかし、私はそれでも誕生日はしっかり楽しむことにしている。
明日はクリスマスだが、そんなことは自分の誕生日に比べたらどうでもいいことだ。
ふうっと息をふきかけ、視界が真っ暗になる。
手探りでスイッチを探し、電気がつく。
再び現れたケーキは、より一層輝いて見えた。
「降り積もる想い」
心に積もる、貴方への愛。
だけど溶けだすことはない。
自らで昇華していくのみなのだ。
悲しいかな、
私の入る隙など存在していないのね。
今日も2人に背を向けて
暗い夜道をひとりで歩く。
「君と紡ぐ物語」
彼の背を目で追いかける。
まだ交わっていない貴方と私。
2人の視線がかち合う日を待ちわびて、私は今日も
過ごしている。
もし貴方と恋人になれたとしたら、
私と貴方はどんな顔でどんな会話をするのだろう。
喧嘩したとき先に謝るのはどっちだろう。
貴方は私のどこを好いて、どこを嫌うのだろう。
そうぼんやりと考えていた。
昨日までは。
2人だけの物語を紡ぎ始める日は
夢のまた夢、か、、?
「時を繋ぐ糸」
ぱらぱらと音を立てて紙をめくる。
紙どうしの擦れる音が心地いい。
私の知らない時代を生きていた人々との交流が叶うところが、本のいいところだと思う。
偉人が繋いでくれた糸を断ち切ることの無いよう、
繋いでいきたい。
いつまでも、いつまでも。
いつか、私も。
そう決意を新たにしながらテーブルに置きっぱなしだったペンと原稿用紙に目をやった。