「ラブソング」
水曜日は仕事を少し早く終われる日。
だから水曜日の仕事終わりは同僚とともにコンビニに立ち寄り、スイーツを買う。これが週一の楽しみだ。
今日は何にする?シュークリームかエクレアか、プリンも捨てがたいなんて話をしながら自動ドアを通る。
スイーツの棚に向かいながら、耳馴染みのある曲が流れていることに気づき思わず足を止める。
ああ、この曲は。
ずるいなあ、この曲が存在している以上は彼を完全に忘れ去ることなんてできないんだな。
同僚に心配され、ごめんなんでもないよと返す。
買い物を終えてコンビニを出たとき、
「そういえばさっきの店でちょっと前に流行った曲流れてたよね。今再ブーム来てるらしいよ、知ってる?」
と聞かれた。
私は少し考えて、「そうだったかな、忘れちゃった」と答えた。
夜風が、いつもより肌寒く感じた。
「手紙を開くと」
5月上旬、慣れない環境での生活に疲れてくる時期。
まだ素を出せる相手はおらず、口角の痛みを感じながら
愛想笑いで乗り切る日々に思わずため息がこぼれる。
過ぎ去ってしまった青春に思いを馳せ、友人に連絡をしようとするが、辞める。過去を引きずっている重い女とは思われたくないし、思い思いに楽しんでいる新しい生活に水を差す訳にはいかないからだ。
みんな私の事なんて忘れちゃったのかな。
なんて柄にもなくネガティブになってしまう。
ふと、本棚に目をやると卒業アルバムが見えた。
まだ1ヶ月しか経っていないのに懐かしいと思う自分を可笑しく思いながら、ページをめくる。
みんなの気持ちが詰まった寄せ書きページをゆっくり眺める。
今は離れてしまっているから私と卒業後も会いたいと思ってくれているのかは確認しようがないが、この時の私たちは、確実に互いの大切な存在だった。
過去は変えられないので後悔することも多いが、
反対に揺るぎない事実に救われることもある。
一長一短だなあと思う今日この頃。。。
「すれ違う瞳」
退勤ラッシュの時間帯。
大勢の人が、信号が青になるのを今か今かと待ちわびている。私もそのうちの一人としてまだ夜は肌寒いなあ、なんて思いながらぼうっと交差点の前に立っていた。
帰ったら明日の資料の確認しなきゃと意識を他に飛ばしているうちに信号が変わった。
周りにいた人たちが歩き出し、私もつられて足を動かす。
誰かとぶつかってもおかしくない程の人混みの中を、たくさんの人とすれ違いながら歩く。
ふと視界の端に、見覚えのある人影が見えた。
間違いない、彼だ。
交差点を渡りきり振り返る。
フラッシュバックする当時の記憶をひとつひとつ片しながらぼんやり彼の背中を見つめる。
風のうわさで結婚したと聞いた。
指輪、してたのかな。人が多すぎてよく見えなかった。
しばらく立ち止まっていたが、彼が見えなくなりまた自分の家へ向かって歩き出した。
気分は意外にも晴れやかだった。
わたし、成長したな。懐かしいとか思えちゃった。
今日はいいお酒を飲もう。
過去を乗り越えた祝杯をあげるんだ。
「青い青い」
幸せの青い鳥に会いたい
私にとっての幸せがなんなのか教えて欲しい